所有から利用へ。
モノからサービスへ。
販売から関係づくりへ。
小売のサービス化が進んでいく中で、
その中心にあるのがサブスクリプション型のサービスだ。
サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方
- 作者: アン・H・ジャンザー,小巻靖子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2017/11/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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サブスクリプション導入の注意点
これはどの企業にも起こりうる話。
まずは試験的に導入してみようというやつ。
ただ、この試験的導入というのには大きな落とし穴がある。
本気にならないのだ。
これはテストだから、と関係者がベストを尽くさない。
お試しだからこそ、お試し期間は持てるリソースを全て突っ込むくらいの勢いで
トライしなければいけないのに。
テストがうまくいかない本質的な理由がここにある。
どうせこれはテストだから、という意識を払拭させることが、
正しいテストの第一歩。
これはリスクの比較的低い手法のように思えるが、コミットメントの欠如から失敗に終わることも考えられる。現在の売り上げが減ることを恐れて営業担当者はサブスクリプションを売り込もうとしないかもしれない。マーケティングチームはこれを試験的なものと考えて、理想的な顧客を求める十分な努力をしないかもしれない。顧客を成功に導くしああ署の段階で力を入れなければ、契約の更新離されず、チャーンレート(解約率)が高くなるかもしれない。
P.43
数字でとらえる
これはサブスクリプションに限らず、今の時代のマーケティング・スタンダードだと思うんだよ。
・顧客を1人獲得するための平均コストはいくらか。制約に至るまでのマーケティングや営業にいくらお金がかかるのか。
・契約者1人あたり収益はいくらか。
・顧客を維持するのにかかるコストは。
・顧客の獲得に要した費用を回収して利益を得るまでにどれだけの時間を要するか。契約更新が何回必要か。
・平均的な顧客はどれほどの期間サービスを利用し契約を更新するのか。現在のチャーンレート(解約率)はいくらか。
P.59
獲得と維持にかかる費用をどれくらいの期間で回収するか、その設計ができれば実行するのみ。
サブスクリプションモデルは一方通行のファネルじゃない
サブスクリプションモデルはいわゆる漏斗状の一方通行のファネルではない。
購入後の顧客をいかに満足させ、継続させるかという視点が重要になる。
したがって購入後のユーザーが再び見込み客になるようなフィードバックループが組み込まれていると考えられる。
・既存顧客を育成して契約更新につなげる。
・既存顧客にアップセルをかける。
・顧客の口コミによって新しい見込み顧客を創出する
P.69
ただ、これはサブスクリプションモデルに限ったことではない。
例えばファンベース的な考え方でコミュニティを育成していく時もこの考え方は有効だろう。
通販会社の高度なCRMもこの考え方が前提とされている。
結局、顧客との関係性の維持、という視点を持つと必然的にここに行き着くのだ。
個人的には伝統的なカタログ通販会社などがもっているCRMのノウハウはものすごく有効だと思っていて、
そのノウハウこそ、カタログ通販以外の業界が求めていると思うんだよね。
支払いという苦痛
サブスクリプションモデルはつどつど支払いという意思決定をする必要がない。
先払いで後は楽しむだけ。最初のハードルさえクリアすれば後はいかに満足してもらうかだし、
消費者のマインド自体が後は楽しむだけ、となるので満足感を与えやすい。
支払いという苦痛を体験してしまえば、あとはテニしたものを存分に楽しむことも認知科学でわかっている。(中略)先払いをした後で消費すると多くの喜びが得られる、と述べている。
P.79
顧客とストーリーを共有する
口コミやレビューを書いてくれとお願いはするけれど、既存顧客がそれを読みたがっているという視点を忘れがち。
自分が購入した行為を承認する効果もあるだろうから、満足度の向上にも寄与する。
自分が買った商品のCMを見るとちょっと嬉しくなることあるでしょ、私、これ持ってるよってなるやつ。
人は常に自分の選択が正しかったのか不安になる存在。
承認されたいニーズが無意識のうちに存在している。
だから、あなたの買い物は間違いなかった、他の人もこんなに喜んでいる、という
エピソードを提供するのは理に適っているんだよね。
マーケティングチームは既存の顧客に体験談を語ってくれるよう依頼をするが、彼らが体験談を聞きたいと思っていることは忘れがちである。ストーリーは、他の人がどのようにして成功を収めたかを雄弁に物語る。ストーリーによって顧客は自分が今どんな恩恵を受けているかを改めて認識するかもしれない。もっと商品、サービスを活用しようという気になることだって考えられる。
潜在顧客を引き寄せ、見込み顧客を創出するために、すでにストーリーは用意されているだろう。それを顧客に届けるのだから、それほど手間はかからない。すでにあるコンテンツを利用するこの戦略は、価値育成の無料お試しと考えてほしい。
・契約を済ませた顧客に適切なストーリーを届ける。
・新しい体験談を公開するときは、既存顧客にも届ける。
・顧客に成功談や、商品、サービスの興味深い活用法を聞かせてくれるよう積極的に働きかける。
P.107
顧客が得た恩恵をデータで示す
実際あなたはこれだけ得してますよ、みたいな情報をデータで示す。
データは、サブスクリプションによってその顧客がどれくらいの利益を得たかがわかるような形で示すとよい。時間をどれだけ節約できたか、どれほど健康的な食事ができたか、何度ブログを更新したか。あなたのビジネスに合えばどんな形でもよい。
P.111
これもまた色んな応用が効く視点。
例えばあなたはこれだけ得してます、を定量的に示す。
例えば通販サービスなら、あなたは年間送料無料キャンペーンでこれだけ得してます、とか。
コンテンツマーケティング
僕は下記の考え方には賛同できない。
コンテンツ・マーケティングは関係性を構築するのには向いていると思うが、
短期的な収益施策としてはよくないと思う。
自分がこういう思考に陥らないように気をつけたい。
ジョー・ピュリッジはこう述べている。「顧客をより長く引きつけ、より満足させる。そして/または、より多くの支払いをさせることが、コンテンツマーケティングの第一の目的である。
P.192 - P.193
エピック・コンテンツマーケティング 顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書
- 作者: ジョー・ピュリッジ,郡司晶子,大川淳子,長尾千登勢,坂井政文,醍醐辰彦,四宮拓真,中里慶昭,石井裕太
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2014/06/24
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↑ちなみにこの本でそういうことが語られているらしい。
賛同できそうにないけれど、読んでみようかな。。。
サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方
- 作者: アン・H・ジャンザー,小巻靖子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2017/11/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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