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学びや思いつきを記録する、超要約ノート

国内MBA2013年入学、2015年無事卒業!読んだ本、記事、などの読書ノート。 忘れないために超要約整理。そんな記録。

国家権力による不当な圧力に最後まで屈しなかった男の記録。 高杉良/不撓不屈

飯塚毅という実在した税理士の半生を描くノンフィクション小説。
その半生は、国家権力から目を付けられ、不当な調査、弾圧を受けた戦いの歴史でもある。

そして、この人は税理士の歴史を切り開いてきた人でもあるのだな。

読んでみるとしみじみ思うが、昔の人はなんというかそもそもの気合が違う。
恵まれない時代を経験した人のハングリー精神、といった次元ではなく、
なんというか真剣に生きている気がする。

浮いたところのない生き様が凄まじい。
逆境に負けない強い精神もだが、それ以外にも学ぶところは多かった。

不撓不屈〈上〉 (新潮文庫)

不撓不屈〈上〉 (新潮文庫)

不撓不屈〈下〉 (新潮文庫)

不撓不屈〈下〉 (新潮文庫)


税理士の独立を勝ち取った人

1980年の税理士法改正で、第一条に「独立」という文言を挿入することに尽力した人。
すなわち、税理士の独立を勝ち取った人。

検事と対等な立場で正義の実現に邁進すべき弁護士が、身分的に検事に隷属していて、どうして真の正義を実現し得ますか。同じことが税理士にも言えるんです。今日、有史以来の重税の中で、課税関係における公平と正義を実現しなければならないときに、税理士が身分的に税務当局に隷属していて、どうして真の公平と正義とを実現し得ましょうか。誰かが、税理士の実質的独立性の確保のために、当局の圧力を一身に受けて、闘わなければならないんです。わたくしは、その使命を帯びている
上巻 P.30

そしてとにかく勉強家。
しばし身を隠し、ホテル暮らしだった間も勉強することをやめない。

狭いシングルルームは書物や書類に占領されて、足の踏み場もなかった。
ワイシャツ姿の飯塚はデスクに向かって、万年筆で原稿を書いていた。
「すぐ終わるからな。ちょっと待っててくれ」
「はい。ベッドに坐ってもいいですか」
「うん」
真玄は、書物を片づけてボストンバッグを置くスペースをつくった。
そして、ベッドに腰をおろした。
肘掛け椅子が一脚あったが、そこも本で埋まっていた。
いわば、逃亡生活のはずなのに、そんな影はどこにもなかったし、こんな場合でも本を読み、学ぶことを忘れない父に対して、真玄は身のふるえるような感動を覚えた。
下巻 P.21

人生は常に勉強、学び続けることが大切だとはわかっていても、
本気でそれを実践するってのはこういうレベルなんだな、と。
自分もまだまだ甘い。


この人も、支える妻もすごい。

そして昔の人は本当に教養豊かだ。
哲学などにも通じているし、文学も教養として一通り読んでる。
それは飯塚のスピーチなどの端々に出てきていて、
こういう時代に比べると、現代の日本人の読書レベルは
相当低くなったような気がしてならない・・・

そして奥さんも夫の無実を信じてぐっと耐える。
で、不当に逮捕されていた飯塚の部下4人の無罪判決が出たとき、
この奥方は薔薇の冠を作り出し、詩を書き出す。
でも、たしかにそういうことしそうな雰囲気は所々にあるのだけど、
そういう行動に自然と出てしまう辺りになんか文化の違いを感じた。

でもそれこそ昔の少女趣味ってこんな感じな気もする。

そして、るな子は詩を書いた。
世は自から厳しさを
嵐はいかにすさぶとも
正義と愛との道を問う
まこと男の子の君を知る

女人の生命定めけり
戦う君の蔭にして
平和を護りてやがての日
仰ぐ君と共に消えん

君の心は如何ならん
君の涙は君のもの
君は新たに北の国
幸くいませよわが夫よ

君の五体のそのすべて
君の生命のそのすべて
そそぎにそそぐ凄まじさ
我が胸うちに眠りませ

明日は薔薇の冠を
君が頭に捧げなん
君がみそばにひざまずき
我が寿ぎを捧げなん

P.207 - P.208

経営者は真剣勝負。

太刀渡しちゃう。真剣ですから!
そういえば富士フィルムの改革をした古森社長も
幼少時、刀を渡されて、これで家族を守れと
いわれたみたいなエピソードがあった気がする。

一昔前の人は生きることに真剣だったんだな、とちょっと刺激を受けた。

飯塚は鞘に入った二尺三寸の太刀を真玄に授けた。
真玄は、両手で押し戴いた。
「きみの肩には何千人もの人々の運命がかかっている。
失敗したから、TKCを終りにしますではすまされんのだ。
命がけでTKCの経営に当たってもらいたい。
万一、失敗するようなことになったら、そのときは潔くこの刀で腹を切るんだな。
経営トップには真剣勝負の心構えがなくてはならない」

下巻 P.262

不撓不屈〈上〉 (新潮文庫)

不撓不屈〈上〉 (新潮文庫)

不撓不屈〈下〉 (新潮文庫)

不撓不屈〈下〉 (新潮文庫)