ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

アパレル関係者は必読。で、どこを攻めるのかフォーカスしないと駄目だね 福田稔/2030年アパレルの未来

ローランドベルガーのパートナーが著者。
というわけで、アパレル業界のファクトが色々書かれていてとっても便利な本。
マクロな市場規模推移とか目先の仕事に追われていると意識しないで日々過ごしちゃうけど、
マクロの変化を意識するのとか大事よね。

そしてこれを読んでどうするかなんだよ。
今のままで良いアパレル企業は非常に少ないはず。
どこを狙うかフォーカスしていかないと・・・。

2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

押さえておきたいファクト

・グローバルで見ればアパレルはまだ成長市場、成長チャンスは海外。
・2015年に143兆円→2022年195兆円 という予測
アメリカ、中国が世界最大の市場で両国合わせて市場構成比40%、しかも成長余地あり
・国内市場は衰退 現在9.2兆円、バブルのピークで15兆円。2030年は8.2兆円予想
・国内市場は人口減だけでなく、アパレル支出額が年間で1%減少した場合は7.2兆円、2%減で6.2兆円もありえる。
・中国から日本への越境EC注文 2017年1兆2978億円(125.2%) アメリカから日本への越境EC注文7128億円(115.8%)

イギリスから生まれた「デジタル・ファストファッション

ブーフー、エイソス、ミスガイデッドはオンライン特化型のファストファッション
画像解析や在庫、価格管理にAIを活用しているのも特徴。
で、筆者はこれらを「デジタル・ファストファッション」と呼んでいる。

グローバルでも通用する8セグメント

価値観の多様化が進んできているが、セグメントは大体8個、国によってそれぞれの構成比が異なるものの、
基本的にはこの8セグメントは共通なんだそうな。
これって結構面白い話。

P.177-P.183



2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

部下に読ませたい本・オブ・ザ・イヤー 斎藤広達/数字で話せ

ビジネス上の必須スキルだと思うのだが、
では一体どうすればよいのかと思ってる人も多そう。
それが、「数字で話すこと」なんじゃないか。

本書はそれをとても分かりやすく、平易に書いてくれている入門書。
改めてなるほどこういってあげるとわかりやすいな、といった気づきも多くて
部下への指導にも使えそうだし、何より「部下に読ませたい本・オブ・ザ・イヤー」である。

数字で話せ

数字で話せ

コツがある

大きな目標数字をそのまま伝えても自分事にはならない。
だから@変換するのが大切、というのがわかりやすい。
もう1,2段階かみ砕いてあげることが理解につながる。
売上が目標まであといくら足りない、ではなくて、
1日当たりあといくら足せるためにできることは何か、といった感じで。
まぁ本当に基本的なことなのだけど、基本こそ重要だし、
基本を平易に書いてくれることにはとても価値があると思う。


数字で話せ

数字で話せ

中国の小売りの進化の事例を紹介してくれる良書! 劉潤/新小売革命

小売りの進化の最前線を走っているのはシリコンバレーではなく中国。
で、その事例を多数紹介してくれているのが本書。

事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは?

事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは?

売上を目的としない体験型店舗

ブランド自らが売上を目的としない体験型店舗をオープンすれば、ネットではもっと安い、
店で買うから値引きしろ、といったお客様にはどうぞネットで買ってください、と言えるようになる。
どちらにしてもブランドの売上になるから。

さらに、財務の面では、体験型店舗の家賃や在庫管理コストなどの情報流コストは、将来的にはマーケティングコストとして計上することもできるだろう。
P.59

ECサイトが実店舗をもつことのメリット

体験性はインターネットでも目下代替することができない。もちろん今後VRといった分野の進化は期待されるけど、
それってつまるところECがリアル店舗に近づいていくだけなのかも?

実店舗での小売を始めてみると、キャスパーはプロモーションとマーケティングにかけるコストの予算が減少したことに気がついた。そして一番重要なのは、返品が減少したことだった。
これこそがオフラインの小売の持つ代替できない体験性である。インターネットの長所は情報流の「高効率性」にあり、より早く、より完全で、より安いことだ。オフラインの長所は情報流の「体験性」にあり、より複雑で、より多感で、より立体的であることだ。
P.69

「人が物を見つける」→「物が人を見つける」

人が物を見つけるから物が人を見つける世界へ。

人が物を見つける場合は行動範囲が限られるが、物が人を見つけるようになると新たな状況が生まれる。全世界から商品があなたの元へとやって来て、価格差もなくなる。これこそがインターネットのeコマースの物流の広範性という優位性なのだ。
P.98

現金決済させないスーパー

フーマーフレッシュは、オンラインもオフラインもある生鮮スーパーなのだけど、自社アプリをインストールさせ、アプリ決済でしか支払いを受け付けない。
それは、ユーザーをオフラインからオンラインへ移行させるための必須事項と位置づけているから。
短期的な売り上げを犠牲にしてでも、アプリインストールを優先させた事例。


事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは?

事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは?

2018年の美術展来場者数1位と2位を独占した美術館のPR戦略。 洞田貫晋一郎/森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術

SNSを効果的に活用している森美術館の事例、ノウハウをまとめた1冊。
そもそもなんで森美術館?と思うかもしれないけれど、
2018年の美術展来場者数1位と2位は両方とも森美術館の展覧会。
そのプロモーションで効果的に活用されていたのがSNSというわけです。

ちなみに1位はレアンドロ・エルリッヒ展、2位は建築の日本展。

シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略

シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略

美術館の集客も紙からデジタルへ

メインターゲット層が30代ということもあり、来場のきっかけや情報収集はインターネット、それもSNSの比率が多いらしい。

森美術館の場合、こういった交通広告を出すことはほとんどありません。確かに広告を見た人が興味を持ち、スマートフォンで検索をする、ハッシュタグで調べる、といった効果は期待できそうです。しかし交通広告の情報は、街で偶然出会った「ネット検索の素材のひとつ」になってしまったのではないでしょうか。
P.24 -P.25

しかも車内でもみんなスマホ見てるわけで、どれだけの人が気づいてくれるか・・・
ただ、リアルな場にある車内刷りとかOOHってネットの入り口としての機能が
どんどん先鋭化していくんだろうから
その中での活用の仕方が今後変わっていったりしそうだよね、とは思う。

実はすごく硬派な森美術館

元々インスタ映えするような企画を考えているように誤解されることもあるそうなのだけど、
あくまでも企画を考えるのはキュレーターであり、プロモーションありきの企画はあり得ない。

企画の芯の部分においては、「インスタ映え」のようなマーケティング的要素は盛り込まれていないということです。これは一般企業、特にメーカーをはじめとした商品開発などとは異なり、クリエイティブとマーケティングが分断されているスキームが正しいと思っています。
P.30 - P.31

こういう意識、というか矜持をしっかり持てていることは素晴らしいと思う。

意識的に努力しているとすればそれは作品を撮影OKにできるように交渉していることらしい。
海外の美術館では普通に撮影できるけれど日本の展覧会はとにかく撮影NGが多い。
でもそこを変えないと当然来場者はシェアできないわけで、
今までの当たり前を変えていく努力をちゃんとしている。

そもそも最上階に美術館を作るというのも森ビルの社長、森稔の信念みたいなものがあったらしい。

中には収益性の問題で高層階に美術館を設置することに反対する意見もありました。それでも森稔は、「文化・芸術は経済よりも上にあるべきものだ」と語り、文字通りタワーの最上層に森美術館を設置したのです。
P.50

シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略

シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略

数学でカジノと株式市場に買った男の物語。エドワード・O・ソープ/天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す

個人はカジノに勝てるか、この命題は長らくカジノには勝てないと言うことが証明されていた。
一定の確率で勝負がつくゲームにおいては資金力の差が勝敗を決することが証明されていたからだ。

ところが、著者はそのセオリーに真っ向勝負を挑む。
例えばブラックジャックで、場に出ているカードを全て記憶して計算すれば、
プレイヤーが確率的に有利になるシチュエーションはあるはずだ、と。
そういった場面にだけ大きくかけて勝負をしていけば、カジノにも勝てるのではないか、と。

その理論を完成させ、自ら実践し、実際にカジノに大勝ちした男。
その男の自伝がこの本だ。

マイクロソフトの日本法人代表だった成毛眞さん(稀代ののノンフィクション本読み)も
絶賛しているので興味を惹かれて読んだのだけど、これがすこぶる面白い。

カジノに買った後は戦場はデリバティブ取引に移り、そこでも勝ち続けている。

天才が金儲けに才能を使うとこうなるんだな、ということに尽きる。
実際彼はクロード・シャノンなんかとも交流があり、
研究者として生きていく道もあった人なのだけど、もう少し金儲けの方に軸足を置いた人。

それと、天才を育てるのも大変だなぁ、というエピソードもちらほら。
子供の頃に爆発物作りにハマってニトログリセリンを作ったことがあるらしいのだけど、
タンスの中からニトロとか出てきて欲しくないなぁ、と思ってしまった。

何れにしても、伝記って自伝でも、第3者でも、面白いもんだね。


AIの活用による新たな産業革命が起きようとしている。そして経済の中心はアジアへ、という話。 井上智洋/純粋機械化経済

著者は駒澤大学の准教授、硬いタイトルと分厚さに躊躇う人が多そうだけど、
予想に反して内容はとても読みやすく平易に書いてくれている。

AI全般のお話とそれが新たな産業革命に繋がると言う見立て。
そして中国経済の爆発的な成長が実現するのではないか、と言う予測に基づき、
中国の経済史も概観しているのでこれだけの分厚さになっていると言うわけ。


リオリエント

ヨーロッパ中心の歴史観を見直そうと言うグローバルヒストリーと言う考え方がある。

ヨーロッパで銃や大砲が戦争で使われるようになったのは、15世紀のことだ。それにもかかわらず、つい最近まで歴史学者の間でさえ、銃、大砲はヨーロッパ人が発明したものと考えられていたのである。
P.43

こういった誤認識を訂正していくことで、ヨーロッパ中心主義からヨーロッパを相対化した上で、地域間の相互関係を世界的視野から見る。
アンドレ・グンダー・フランクの『リオリエント』が紹介されていたのでちょっと読んでみたい。

リオリエント 〔アジア時代のグローバル・エコノミー〕

リオリエント 〔アジア時代のグローバル・エコノミー〕

リオリエントには再びアジアの時代になると言う含意も含まれているのだとか。
アジア(特に中国)は再び経済でも中心に戻りつつある。
本書によると経済面でヨーロッパが中国を凌駕するようになったのは1800年を過ぎてから。
そうなると中国の没落はたかだか2世紀程度の話になる。

日本が後進国

科学技術力が重要なこの時代に、国立大学への研究費交付金は毎年削られている。
一方で優れた研究課題に対して予算を配分する競争的資金は増えているらしいが、何れにせよアメリカや中国の大学に比べ予算の規模が違う。

リゾームは今なお有効な概念

経済の本でドゥルーズの『千のプラトー』が出てくるとは思わなんだ。
ここで提示されるリゾームという概念は、ツリー状の階層構造ではなく、中枢(コア)や回想なしに複数のユニットが相互に連結した構造のこと。
ネットワークはまさにリゾーム的だと言える。

自分の頭の中もリゾーム的なんだなぁ、とこれを読んで改めて思った。
やや強引な感はあるけれど、ニューラルネットワークディープラーニングリゾーム的だというのだけど、
ディープラーニングは層をなしているから階層的なんじゃないかしら、とも思ったけどな。

千のプラトー―資本主義と分裂症

千のプラトー―資本主義と分裂症

千のプラトー 上 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

千のプラトー 上 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

千のプラトー 中 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

千のプラトー 中 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

千のプラトー 下---資本主義と分裂症 (河出文庫)

千のプラトー 下---資本主義と分裂症 (河出文庫)

逆転クオリア哲学的ゾンビ

人は他人のクオリアを体験することはできない。(P.142)
リンゴを見て「緑」に見えていたとしても、その緑色がその人にとっては「赤」なので。
物理的には全く人間と同じだが、意識もクオリアも持たない存在を仮定した時、
振る舞いが人間と同じで泣いたり笑ったりするが、喜びや悲しみは感じていないとしても、
我々には見分けがつかない。
意識やクオリアを機械が持てなかったとしても、それ自体が機械が人間的に振る舞えない理由にはならない。

平均は終わった

アメリカの格差社会の例として出てきた話だけど、
平均と中央値の乖離が大きい(中央値が平均を大きく下回る)状態に所得格差があるのだという。
これは一部の富裕層への富の集中を象徴しているのだけど、
中間層が崩壊し、平均値に意味がなくなってしまっている。

平均は終わった、というのはタイラー・コーエン『大格差』に出てくるフレーズらしいが、
なかなかのパンチラインだな。

大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか

大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか

大分断:格差と停滞を生んだ「現状満足階級」の実像

大分断:格差と停滞を生んだ「現状満足階級」の実像

大停滞

大停滞

そして調べてみたらこの人、『大なんちゃら』がお好きなのね。
気が向いたら読んでみるのも良いかもしれないけど、格差社会の言説は少々聞き飽きた感はあるな。

認知の歪みというか、錯覚の仕組みを理解しておけば、自らその脳のクセをハックすることができる。 スティーブン・スローマン/知ってるつもり 無知の科学

世の中には知ってるつもりでいて実は知らないことのなんと多いことか。
自分がいかに知らないかを知ることは、人生においてもとても大切な気がするし、
一度それに気がつくと、好奇心に火がついてしまったりもする。

実は知らない、やったことない、わかっているつもりが
誤解している、ということは無数にある。

知ってるつもり――無知の科学

知ってるつもり――無知の科学

誤解のメカニズム

人間は基本的に因果関係で物事を考えやすい。
蛇口をひねると、水が出る、みたいな。
なのでなんらかの因果を推論してしまう。

本書で例に出されているのは、
寒い時に早く部屋の温度を上げようとサーモスタットの目盛りを一気に上げる人は多いけれど、
それは実際にそれによって特定の温度に達する時間が早くなるかというと全く関係無い。

カニズムの多くは、小さすぎたり(たとえば水が沸騰して水蒸気となる原因である分子の変化)、抽象的すぎたり(たとえば貧困の経済的要因)、あるいはアクセス不可能(たとえば心臓が体中に血液を送る仕組み)で観察できない。ワクチンがどのように機能するのか、食料の遺伝子組換えがどのように行われるのかを見ることはできないので、その欠落を自らの経験で補おうとする。それが誤解につながるのだ。
P.87

わからない部分を経験則で補おうとしてしまうから間違えてしまう。
きっとこうに違いない、という推論が全然違ったりする。

ある政策に関する実験(P.197)

ある政策に関して、支持するもしくは支持しない理由を問うと、人は必ずなにがしかの理由を見つけ出してきて、
自分の意見を強固なものにする。
でもその政策がどういった因果関係でどういう結果をもたらすのか、と問うと、
大抵の人は自分がその仕組みを理解していなかったことに気づき、
自分の意見を軟化させる。


環境を変える

まさにこれ、認知の歪みというか、錯覚の仕組みを理解しておけば、
自らその脳のクセをハックすることができる。

ナッジという手法から学ぶべき重要な教訓は、個人を変えるより、環境を変える方が簡単で効果的であるということだ。また認知にはどのような癖があり、それによってどんな行動が引き起こされるかを理解できれば、そうした癖がマイナスではなくプラスに作用するように環境を設計することができる。
P.270

知ってるつもり――無知の科学

知ってるつもり――無知の科学