SNSを効果的に活用している森美術館の事例、ノウハウをまとめた1冊。
そもそもなんで森美術館?と思うかもしれないけれど、
2018年の美術展来場者数1位と2位は両方とも森美術館の展覧会。
そのプロモーションで効果的に活用されていたのがSNSというわけです。
ちなみに1位はレアンドロ・エルリッヒ展、2位は建築の日本展。
- 作者: 洞田貫晋一朗
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2019/06/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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美術館の集客も紙からデジタルへ
メインターゲット層が30代ということもあり、来場のきっかけや情報収集はインターネット、それもSNSの比率が多いらしい。
森美術館の場合、こういった交通広告を出すことはほとんどありません。確かに広告を見た人が興味を持ち、スマートフォンで検索をする、ハッシュタグで調べる、といった効果は期待できそうです。しかし交通広告の情報は、街で偶然出会った「ネット検索の素材のひとつ」になってしまったのではないでしょうか。
P.24 -P.25
しかも車内でもみんなスマホ見てるわけで、どれだけの人が気づいてくれるか・・・
ただ、リアルな場にある車内刷りとかOOHってネットの入り口としての機能が
どんどん先鋭化していくんだろうから
その中での活用の仕方が今後変わっていったりしそうだよね、とは思う。
実はすごく硬派な森美術館
元々インスタ映えするような企画を考えているように誤解されることもあるそうなのだけど、
あくまでも企画を考えるのはキュレーターであり、プロモーションありきの企画はあり得ない。
企画の芯の部分においては、「インスタ映え」のようなマーケティング的要素は盛り込まれていないということです。これは一般企業、特にメーカーをはじめとした商品開発などとは異なり、クリエイティブとマーケティングが分断されているスキームが正しいと思っています。
P.30 - P.31
こういう意識、というか矜持をしっかり持てていることは素晴らしいと思う。
意識的に努力しているとすればそれは作品を撮影OKにできるように交渉していることらしい。
海外の美術館では普通に撮影できるけれど日本の展覧会はとにかく撮影NGが多い。
でもそこを変えないと当然来場者はシェアできないわけで、
今までの当たり前を変えていく努力をちゃんとしている。
そもそも最上階に美術館を作るというのも森ビルの社長、森稔の信念みたいなものがあったらしい。
中には収益性の問題で高層階に美術館を設置することに反対する意見もありました。それでも森稔は、「文化・芸術は経済よりも上にあるべきものだ」と語り、文字通りタワーの最上層に森美術館を設置したのです。
P.50
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