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数字の裏にある心理を読み解くことがいかに重要か! 勝見明/鈴木敏文の「統計心理学」

現在はセブン&アイの会長。
セブンイレブンの生みの親であり、名経営者としても知られる人。
でもこの人が実は出版業界と関わりがあったことを知る人は少ないのでは?
元々出版取次のトーハンに勤務し、出版科学研究所の仕事にも従事していたという
異色の経歴を持つ人物。

コンビニといえばPOSレジのデータを活用した合理的、
効率的な経営イメージが強いが、セブンイレブンの強さの裏には
トップの数字に対するセンスがものすごく生きている印象。

とにかく数字の裏で何が起こっているのかを考え続ける姿勢は、
ビッグデータや統計に注目が集まる現在でも非常に重要な視点。


物事の一面だけ見ても駄目

お客は、おいしいものを出さないと買ってくれません。
しかし、おいしいものにはもう一つの裏返しの意味があって、
それは“飽きる”ということです。
おいしければおいしいほど、それと同じくらい飽きる。
P.65

おいしいものを提供しないといけない、というのは至極当たり前のこと。
ただ、人は必ず飽きる。
だからおいしいものであったとしても常に同じものを
提供し続けていくだけでは駄目。
この「おいしければおいしいほど、それと同じくらい飽きる。」という
意識を持てるかどうかは、とても重要な視点なのだと思う。
常に新たな価値を提供し続けないと持続しないのだな。

この飽きるという視点も適当に言っているわけではなく、
来店頻度の話とも関連している。

セブン-イレブンの顧客の来店頻度を見るど、週二~三回が三一パーセントを占め、週四~五回と毎日来店を含めると、週二回以上のお客が六三パーセントにもなる。そうした来店頻度の高いお客にとっては、ABC分析でAランクの商品はそれだけ飽きやすいということです。ABC分析は昨日までのデータであって、明日を読むことはできないのです
P.66

分析をして、結果Aランクの商品だけあればいい、
それが合理的だという考え方は気をつけないといけない。


合理的、効率的、には気をつけないと・・・

売り手側か合理性を追求すればするほど、お客との隔たりが深まっていくように見えます。われわれが“合理的”という言葉を使うとき、それは売り手側の都合で考えていることが非常に多い。
P.68

合理性や効率を考えることは重要だが、売り手の論理になってしまって、
お客様をないがしろにしてしまっていないか、常に自問自答しないといけない。
お客様の立場に立ったら売れ筋に絞った品揃えは、飽きる、という可能性に
どこまで考えを巡らせられるか、意思決定をする時にこういう観点は非常に重要だろう。

数字の裏を考える

一〇種類のおにぎりがあって、そのうち三種類の売れ行きが非常によかったとする。その三種類を中心に品揃えをしておくと、しばらくの間はそれらが上位を占める。そのかわり、おにぎり全体の売り上げは落ちていく。その三種類はすでに飽きられていて、それでもなんとか売れ行き上位に入っていたのは、ほかがなくて仕方なく我慢して買うという消極的選択もあったからだ。
P.113

本書のタイトルにあるとおり、いかに数字の裏で起こっている、
人の行動を推測するか、それが重要であることを強調している。
売上の数字は10個売れたことしか示していないが、
その売上10個も買われ方には様々なパターンがあるはずだということ。
売れていても、必ずしも積極的な選ばれ方ばかりではないかもしれない。

こういった何が起きているのかを考える癖を、
出版科学研究所で学んだと言っていた。
数字はわかりやすいが、そのわかりやすさには
落とし穴もあるということを肝に銘じたい。


その他のメモ

とにかく仮説と検証を繰り返すことを重視しており、
PDCAサイクルを高速で回している様子が伺えた。
組織全体に浸透しているのが凄いが、浸透させるために
並々ならぬ努力をされている。

全国のフランチャイズのオーナーを集め、毎週欠かさず
鈴木氏が出席する会議を開催、直接鈴木氏の考え方を伝えているそうだ。
その徹底ぶりはなかなか真似できない。
だからそこに模倣困難性が生まれる。