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Web解析に携わることになった人はこれをしっかり読むのが一番の近道 アビナッシュ・コーシック/Webアナリスト養成講座

本書は分厚い。
書店で見かけたら怯むかもしれない。
だから、まずはamazonでポチッと買った方がよい。
大丈夫、絶対に損はしないし、これを読まずにWeb解析に関わっていくのは
モグリだろ、と思うほどよい本だ。

Webアナリスト養成講座 (CD-ROM付)

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本書が届いたら、やっぱり分厚さに少し怯むかもしれない・・・
でも大丈夫。少しずつ丁寧に読めば得られるものはすごく大きい。
初めて読むWeb解析系がこれ、というのも別段問題はないと思う。
だけど、自分としては小川卓さんの『入門 ウェブ分析論』を読んで少し考えてから、
この本に取り組んだことで、より理解が深くなった気がする。

ページ遷移データの取得方法を理解しておこう

サーバログ、WebビーコンJavaScriptタグ、パケットスニフィング、大きく4つの取得方法がある。
それぞれ、メリット、デメリット、クセのようなものがあるので、それを理解しておくことは大切。
自分が使っているツールが、どんな方式なのか、どこに気をつけて使うべきかを知っておくこと。

定性分析

ユーザー調査と、ヒューリスティック調査、両方から得られるものは大きい。
ヒューリスティック調査では、世の中的にはこの方がよいとされているベストプラクティスと、
自分たちの違いをチェックしていくアプローチになる。

Webサイト全体にかかわること
1. ユーザーが重要なタスクを行うのを邪魔したり競合したりしてはいけない。
2. 特定のタスクに関する要素は頻度や重要性、連続性に基づいて存在する。
3. ボタンとリンク以外は使わない。機能の名称を統一する。
4. ページを開いたときに音が鳴ったり、動画が流れたりしない。
5. ユーザ登録しなくても購入できる。


ページレイアウト
6. タスクの実行に必要なオブジェクトは、左から右、あるいは上から下に、タスクの流れに沿って配置する。ユーザはたいていタスクを行う前にコンテンツエリアをさっと眺める。
7. 1ページの長さを長くしない。トップページはスクロールしなくても見れる長さにし、2ページ目以降もそれぞれ2.5画面以内の長さに収める。
8. ページが簡単に印刷できる。印刷したときに、重要情報が切れずに印刷される。もしキレイに印刷されないなら、印刷用のページを別途用意する。


ビジュアルデザイン
9. 重要なデータについては、色以外でも重要だということがわかるようにする。
10. 重要な情報を広告と紛らわしいデザインにしてはいけない。


ナビゲーション
11. タスクをこなすのに何ページも移動するのであれば、すべてのページのナビゲーションを統一する。
12. 選択肢を見る際に、ユーザにマウスポインタを合わせることを強要しない。
13. リンク名がリンク先ページの内容を表している。「ここをクリック」等の安直なリンク名をつけてはいけない。
14. リンクテキストには必ず下線を引く。リンク以外のテキストには下線を使わない。クリックできる要素はすべてマウスポインタによって変化を見せるようにすべきである。
15. 一度クリックされたリンクは、違う色になるようにすべきである。


内容
16. ユーザが使う言葉を使うこと。
17. コンテンツの文章は簡潔に(短くシンプルに)、正しく(綴りや文法)、活き活きと面白く書く。
18. 価格を明記する、表示しないならその理由を書く。
19. ユーザが製品を並べて比較できるようにする。比較テーブルがあると、より製品の違いを比較しやすい。


読みやすさ
20. テキストのフォントサイズは10ポイント以上にする。
21. テキストの色は背景色と紛らわしくない色にする。
22.箇条書きにしたリストや導入の要約、わかりやすいタイトルを使うこと。斜め読みしやすいように段落間は1行空ける。
23. フォントサイズは固定せず、相対的にしておく。


検索
24. ページの右上には必ず検索ボックスを配置する。
25. 検索結果が(例えば、製品情報、サポート、プレスリリースなどの1カテゴリーごとに分けて表示されるようにする。

タグ実装のベストプラクティス

実装時に気にするべきベストプラクティスであり、チェックリスト。

1. すべてのページにタグを付ける
2. タグはページの最後に配置する。
3. タグはインライン要素の中に配置する。
4. 特定のページであることを識別する。
5. クッキーを賢く使う。
6. リンクコーディングに関する問題を考慮する。
7. リダイレクトに気をつける。
8. データが正確に取得されているかを確認する。
9. リッチWebエクスペリエンスを正しくエンコードする。

上位入口ページを気にかける

自サイトのトップページを過剰に重視している傾向が強いが、
検索サイト経由の流入はトップページ以外の所が入口になる。
トップページからスタートするユーザは一部に過ぎない。
そのことを正しく認識して、ナビゲーションを考えるべき。
企画の告知をトップページに掲載しても一部の人しか見ない。
入口ページ上位10位を告知にも活かしていくべき。

統計の力を使うこと!

A/Bテストも、多変量解析も、そもそも比較しているデータに出ている差が、
誤差なのか、意味のある差なのか、考えることが重要。
テストをしてみた結果が、まったく同じ数字になるわけはない。
とすると、必ず結果を評価してあげなくてはいけない。
そんなときは統計の力を使うこと。有意水準は通常5%だ。
有意差を計算してくれるツールも配布されているので、誰でも今日から調べられる。

セグメンテーションは分析の第一歩

小川さんの本を読んでからずっと考えていたけど、
本当にセグメントを切ることからすべてが始まる、と思う。
流入数が増えました、って言われてもだから何なの?ってこと。
どこからの流入なの?という切り口でセグメントを切ったり、
新規なのりピートなの?という切り口でセグメントを切ったり、
一歩踏み込むだけで、データが教えてくれることが一気に増える。

コンバージョンレート

これも、トレンドとセグメンテーションで見てみると得られるものは多い。
上位5つの参照元URLによるコンバージョンレートの計測も継続的に行うべき。
ページやリンクによる比較には意味がない。よく求められるが意味がない、ってことに気をつけるべし。
そして、とにかくセグメントを切ることで価値のある指標。

離脱率

離脱率もセグメント化すること。
単なる離脱率じゃこれまた訳わからん数字。
ショッピングカートでの離脱と、購入フローの中での離脱、分けて見てみると対策も考えやすい。

購入までの日と訪問回数

これも流入元などのセグメントで切ると面白そう!

トレンドデータには統計の管理限界を利用する

品質管理の世界でよく使われている管理図を用いると、
トレンドデータの変化が、通常の範囲内なのか、そこから外れている値なのかが判別できる。
上限値、下限値を超えた変化は、なんらかの深掘りをした方がよい、という示唆になるだろう。

管理図や統計手法が使えそうなフリーソフトを発見。

機会の大きさを過大評価しないこと

この話は、とても大切だと思った。
なんせ自分のまわりでも良く聞く話だし、なんだか違和感を感じている部分だったので。
76万8000人が107万5000回訪問し、16500人から注文があった。
これは標準的な計算方法だとCVRは2.1%となり、標準水準。
このとき、コンバージョンに至らなかった
768000-16500=751500人を機会の大きさと捉える?

これは過剰評価なんじゃないかってこと。
例えば直帰率を考慮に入れてみる。
直帰率20%だとすると、有効な訪問者はそもそも
768000*0.8=614400
614400-16500=597900
153600も過大評価していた!

さらに、そもそもサイトに来た目的(アンケート調査しがいのある項目)という
視点を入れて考えてみると、、、
一般論としては、大抵トラフィックの15%が購入層、
20%が事前調査、つまり35%が有効な訪問数となる。
768000*0.35=268800
268800-16500=252300
この場合、499200も過大評価していたことになる!!

何が言いたいかというと、CVRを1%改善すれば購入者数は桁違いに増える。
そう考えてしまうのは無理もない。が、1%あげることはとんでもなく難しいこと。
だって、全体に対してCVRを1%あげるためには、
この場合、見込み客に対して3%以上改善しないといけない・・・。
いつまでたっても、何をやっても、CVRが1%改善できないじゃないか、って
そりゃ当たり前だよ、って言う所があることを理解しておくこと。
また、たとえ1%改善していないとしても、施策の意味がまったくないわけでもない。

要するに名著だ。

というわけで、本書は名著です。2009年の本だけど、本質が書かれているので古びない。
そして、すべての立場の人に有益です。
現場担当にとっても、マネージャーにとっても、Web分析の可能性や、
どうすべきかの示唆を与えてくれるはず。
読み終えたらきっとアクションに繋がる1冊なので、ひるまずに読んで欲しいな。

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