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イノベーションとオペレーションの違いを理解して、トップはイノベーションの種を守らなくてはならない 小林三郎/ホンダ イノベーションの神髄

著者は16年かけてエアバッグの実用化を実現した元HONDAの技術者。
HONDAでの体験からイノベーションとは何なのかを語る。
今の経営者はイノベーションがどういうものかまるでわかっていない、というのは著者の言だが、
本当に1つ1つの考え方に説得力がある。
非常にわかりやすく明快に書いてくれているので、一読をおすすめ。

ホンダ イノベーションの神髄

ホンダ イノベーションの神髄

イノベーションとオペレーションの違い

イノベーションの本質を考える際には、仕事を大きく二つのタイプ、すなわち「オペレーション(執行)」と「イノベーション(創造)」に分けて考えるとよい(詳しくは2章参照)。
簡単な定義は、かけた時間にアウトプットがほぼ比例するのがオペレーションであり、二時間やると二時間分、三時間やると三時間分のアウトプットが出てくる。これと違い、イノベーションは時間に応じて成果が上からないが、長い時間やっていると突然アウトプットが出てくる。
従って成果主義、特に短期的成果を求めると、イノベーションは止まってしまう。イノベーションが止まって新しいものが出てこないと、企業の衰退が始まる。これが多くの日本企業が直面している状況だ。
P.6

この区分けはとてもわかりやすい。
そしてMBAはオペレーションの世界であり、MOTがイノベーションの世界に当たる。
MBAの理屈からではイノベーションは生まれてこない。

ここでもう一度、上司や周囲の人たちが、なぜ正しいという信念の下でイノベーションを阻害するのかを考えてみよう。その最大の理由は、オペレーションの価値観で、イノベーションを評価するからである。
一年から数年の期間限定で100%の成功を求められるオペレーションの視点からは、一〇年以上かけて九割が失敗するイノベーションのプロジェクトは欠陥だらけに見えるのだ。
P.32

これもまったく仰るとおりで意識が変わった。
と、同時にイノベーションはトップが関与して守らなければいけない、ということもよくわかった。
それでも長期間、芽が出るまで待てないと言うことも増えてしまったのだろう。
エアバッグも16年かかったと書いてあった。
実に気の遠くなる話しだし、16年かけても失敗する可能性は常にある。
それを守り続けるってのは並大抵のことじゃない。
小林氏の言うコンセプトがしっかりしていたからこそ、プロジェクトが継続したのだと思う。

ホンダ創業者の本田宗一郎・初代社長のこと。
我々は敬意と親しみを込めて、「おやじ」とか「おとっつぁん」とか呼んできた。
おやじはこう話している。
「理念・哲学なき行動(技術)は凶器であり、行動(技術)なき理念は無価値である」。
P.51

本田宗一郎というのは傑物だな。
彼自身のことをもう少し読んでみたくなった。

俺の考え (新潮文庫)

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