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学びや思いつきを記録する、超要約ノート

国内MBA2013年入学、2015年無事卒業!読んだ本、記事、などの読書ノート。 忘れないために超要約整理。そんな記録。

再販制度ってかなり奥深い。知ってるようで知らないことだらけ。木下修/書籍再販と流通寡占

出版関係

再販制度に関して正面から取り組んだ本。
意外にも書籍の再販指定はついでくらいになされていたものであることがわかる。
むしろ化粧品業界とかの方が熱心に制度の策定を望んでいたらしい。

そんな再販制度の歴史をひも解きながら課題を浮き彫りにしていく。
また、諸外国の再販制度にも随分幅があることを初めて知った。

フランスでは再販制度適用されているけれど、新刊は5%までの値引きは認められているらしい。
多少の価格決定権は小売り側にも持たせている弾力的な再販制度
こういうのを知ると、まぁ確かに色々とやりようがある気がしてくるけれど、
電子書籍が再販対象じゃない現在、紙の流通改革の前に大きな変革が起きて、
どうでも良い問題になってしまうかもしれない、とも感じる今日この頃。

書籍再販と流通寡占 (出版流通改革論 (2))

書籍再販と流通寡占 (出版流通改革論 (2))


再販売価格維持は強制ではない!

日本は市場メカニズムを原則とした経済体制をとっているが、出版物や新聞、音楽用CDなどの一部の商品は独占禁止法の適用除外として再販が例外的に容認され、定価販売されている。
これは再販売価格維持契約を結ぶことによって再販売価格維持(定価販売)を「してもよい」ということであるが、出版業界では「しなければならない」のだという理解が現在でも多く、義務再販的かつ共同実施であることが指摘されている。
時限再販・部分再販もほとんど実施されていない。
それだけでなく、再販制度下では取引制度(委託制・返品制・正味制など)が固定化されており、書籍流通に問題が多いことがかねてから指摘されているが、抜本的な改革策がとられていない。
P.3-P.4

結構これが勘違いしている人も多いのではないか。
制度上は再販売価格維持は「してもよい」ものであって、「しなければいけない」ものではない。
ところが業界ではあたかも「しなければいけない」ものとして扱われている。
再販売価格維持を前提に取引条件も硬直化しており、
市場も縮小を続ける今日、抜本的な見直しが必要、という状況。

ちなみに再販売価格維持っていうのはこういうこと。

再販売価格維持行為とは、商品の所有権が小売業に移転してしまった後も、メーカーが自己と直接関係のない取引に介入することであり、それは自由な販売価格の決定を拘束するものである。
再販売価格維持行為はいかなるメーカーでも行いうるものではなく、大規模メーカーや製品差別化に成功した有力メーカーが、流通系列化や商品力を背景に販社を使って小売業者の販売価格を拘束して価格競争を制限・排除するのが通例である。
すなわち再販売価格維持行為は、市場支配力のある企業、優越的地位にあるメーカー、市場が寡占的で競争が機能していない市場に属する企業がなしうる行為という点が特徴的である。
P.15

なので優越的地位の乱用を防ぐ、という目的で独禁法によって規制されてる。


書店業界への異業種参入

日本の書店業界は戦後約五〇年間の歩みにおいて大きな変貌を遂げてきた。過去二十数年間でみると新規参入者もさまざまであり、デパート、スーパー、鉄道、広告代理店、化粧品メーカー等が参入してきた。この十数年間でみると、「農業、漁業、製粉業、薬品業、鉄鋼業、建設業、八百屋、魚屋、肉屋、パン屋、菓子屋、燃料店、自動車販売店、飲食店、パチンコ店、旅行代理店、電鉄、不動産業、サラ金業者、病院」などのさまざまな他業種・異業種が書店業界に新規参入してきている。また中小零細書店の主力商品は雑誌・コミックス・文庫などであるが、それらにおいては二四時間営業のコンビニエンスストアを競争者として迎えている。そして九〇年代は大店法改正による規制緩和が進み、既存のナショナルチェーン以下の新規大型出店とリニューアル増床が活発となっている。
P.160-P.161

こんなにも多様な業種が参入してきた時代があったということをまったく知らなかった。
どちらかというと80年代からの郊外型チェーン店の勃興、書店の大型化、みたいな話に
注目していたけれど、その前はさらにごちゃごちゃしていて面白そうな時代だな。
どうやら下記の村上信明氏の本に詳しく書いてあるっぽいので読んでみようかしら。

書店業新時代

書店業新時代


再販制度は委託返品制度、正味体系などと共に出版産業の取引ルールの根底にあって複雑につながっている。もし再販制度が崩壊した場合、完全買切型、注文買切型の取引が増え、直取引も増え、正味体系が変わり、書店が価格決定権を持ち、書店マージンが引き上げられ、寡占取次の主導権がゆらぐなどのことが起ころう。つまり再販制度がなくなることは、これまで維持されてきた「四九年体制」=「昭和二四年体制」(*40)の経済システムの枠組がゆらぐのである。一九四九年に「日配」の遺産を東販(現、トーハン)と日販が引き継ぎ、それ以後二大取次が機軸となって出版業界の経済システムを形成し維持してきたが、それを崩壊させないためにも再販制度は維持すべきだという認識なのである。つまり経済システム維持派は、再販制度が存在しないシステムを想定した場合に生ずるかもしれない経済的矛盾、カタストロフィー、非効率等を挙げて、現状維持の必要性を証明しようとする。あるいは出版業界の秩序維持のために再販制度がルールとして必要不可欠であると主張している。
一方批判派は、現在の出版業界の経済システムは利益配分において偏りがあり、公正を欠き、ルールそのものが既得権者にもともと有利になり過ぎているとみる。再販制度は委託取引、正味制、配本ルールを固定化させ、そのことが結果的に二大取次をチャネルリーダーたらしめ、差別的取引を温存させる一因となっており、現体制のままでは新規参入出版社、中小出版社、中小書店、中小取次は周縁に置かれたままであり続けるというのである。この批判は業界の中からは主として新規参入出版社や中小零細書店、中小取次から出ている。また再販制度と返品制度は、書店の粗利を低水準に押さえつけてきた原因であり、出版社や取次にとってはそれは良きシステムであるとしても、小売書店にとっては諸刃の剣であるという見方が存在している。
P.212-P.213

買い切りで在庫リスクを負うというのはとてもリスクのあること。
おそらく、これやり始めるとまた書店が潰れる気がする。
で、売れ筋を買い切ろうとするんだろうけど、
出版社だって売れること分かってるベストセラーをわざわざ条件悪くして
卸すかねってのも考えた方が良い。
売れること分かってれば委託でいい条件で卸したいでしょ、普通。


日本では全く流行ってないブッククラブ

書籍に再販制度があるドイツ、フランス、そして非再販国イギリス、アメリカでもブッククラブは成功している。これは特別契約で本を大量発注・大量仕入して低価格で会員に販売するものである。わが国の著作物再販制度ではブッククラブに対する除外規定がなく、ブッククラブと提携した部分再販も行われておらず、価格面で会員に対するサービスができないために、事業として成功したケースはない。再販制度がなくなれば、ブッククラブは会員に価格サービスができるのでシェアは拡大していこう。
P.229

確かにベストセラーのブッククラブとかあれば、うまく行く可能性はある。
再販制度がなくなればチャンスのある業態かもしれないが、
これもアマゾンとかにやられてしまうかもしれないな・・・
まぁ、電子書籍読み放題時代が先に来てしまいそう。
結局紙の本の流通は業界として大きな変化を起こすことが出来ないまま今日を迎え、
気がつけば再販対象外の電子書籍がじわじわと存在感を増してきている。
流通改革は電子によってなされてしまうのかもしれない・・・。

書籍再販と流通寡占 (出版流通改革論 (2))

書籍再販と流通寡占 (出版流通改革論 (2))