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学びや思いつきを記録する、超要約ノート

国内MBA2013年入学、2015年無事卒業!読んだ本、記事、などの読書ノート。 忘れないために超要約整理。そんな記録。

コンビニの中でも群を抜くセブンの強さを思い知ると同時に、研究って凄いなとも思わせる1冊。 田村正紀/セブン-イレブンの足跡 - 持続成長メカニズムを探る

神戸大学の名誉教授、流通と言えばこの人といった感のある田村さんが
セブン-イレブンに関してまとめた本。

成長を続けるセブン-イレブンを様々な角度から分析する本書は、
同時に研究の視点のお手本にもなる。

セブン-イレブンの足跡 ― 持続成長メカニズムを探る

セブン-イレブンの足跡 ― 持続成長メカニズムを探る


初期のセブンの強さと新しさ

セブン-イレブンの開店時間帯に閉店している店舗は、競争上から見ると無店舗と同じである。セブン-イレブンが朝七時から二三時の営業時間の場合、大型店や商店街との無競争時間帯はその営業時間の五四%を占めた。二四時間営業になると、それは六九%に拡大した。無競争時間帯は、キムとモボルニュ(二〇〇五)がいうブルー・オーシャンである。
P.89

営業時間帯の長さは、それがまだ一般的ではなかった当時新鮮だったと思うのだけど、
それを営業時間の何%が競争の無い無競争時間帯だったっていう整理の仕方が
なるほどなぁ、と。
もちろん言われりゃ当たり前なんだけど、要するにこういうことって自分だったら整理できたかな。

そして、ターゲットのコンセプトの違いもこう整理されるとわかりやすい。

セブンーイレブンが発見しつつある覇権市場は、多くの流通企業が目指した覇権市場とはその性格がまったく異なるものである。
第一に、主婦消費者ではなく個人消費者が標的である。それまで多くの流通企業が対象にしたのは消費者といっても、主婦消費者を対象にしていた。主婦消費者は家族を代表して購買行動を行う。彼女は二人以上世帯の購買代理人である。彼女の商品選択は家族の嗜好や欲求を反映している。コンビニは主婦消費者から個人消費者にその消費者コンセプトを転換した。個人消費者は自分の個人的欲求や嗜好に基づいてのみ行動する。個人消費者の内容は、創業当時ではとくに単身世帯の勤労者や学生であった。
第二に、品質あるいは価格といった顧客便益ではなく、別の便益への欲求充足である。それまでの流通企業は、百貨店や専門店のように高品質欲求を狙うか、それとも量販店のように低価格欲求を狙っていた。コンビニはこれらのいずれかというよりも、距離や時間上のアクセス便益に重きを置いた。もっともこれらの便益は、近隣商店街などや孤立立地の小零細店舗によって提供されることもあった。しかしこれらの便益を覇権市場の基盤として編成しようとしたのはコンビニが最初である。
第三に、コンビニの品揃えは以上のような消費者の欲求に応えるために、加工食品や日用雑貨などから編集したものであった。その編集方針は欲求を感じればすぐに購買したい商品であった。コンビニが発見した流通新大陸は、即時の欲求充足が必要な商品の市場であった。
最後に、従来の流通企業はその立地点に、できるだけ遠くから、できるだけ多くの消費者を吸引しようとした。広大な商圏は流通企業の誇りであった。このために品揃え範囲は次第に大きくなり、店舗面積は増大した。百貨店、専門店、あるいはスーパー等の量販店の歴史は、品揃え拡大と店舗大型化の歴史でもある。
これにたいして、コンビニはできるかぎり消費者に接近した。標的とした消費者が存在するところにはどこにでも出店した。場所的、時間的に消費者のできるだけ身近に立地する。これが店舗立地の原則である。
P.100 - P.102

新世代家族はそれまでの家族とまったく異なっていた。家族の各成員が個人的欲望を主張し、商品選択の自由を持ち、それを支える自由裁量資金を多かれ少なかれ持つようになったからである。専業主婦に代表される家族消費が分解し始め、各成員が個人消費者として主体化していったのである。
P.168

家族構成の変化など、まさに時代の変わり目に生まれ、成長した企業なんだな。


朝令暮改

POS検討の打ち切り後、わずか四ヶ月後の八一年一一月、鈴木敏文は全店へのPOSの早期導入を方針決定した。朝令暮改との社内空気に対して、かれは「全体的な状況バランスから見て導入の時期が来たと判断した。変化している時代に朝令暮改は当然である」と応じて動じなかった(セブン-イレブン・ジャパン、一九九一)。日常業務のそれまでの流れから飛躍するまさに経営神学的決断である。
P.198

ビジネススクールに行って、朝令暮改は普通にありうることだし、
そこには何の矛盾も無いことが良くわかった。
意思決定はタイミングが命。そんなことを思ったエピソード。


順風満帆、楽勝な道のりだったわけじゃない

セブン-イレブンはお膝元の首都圏がローソンやファミリーマートの参入にさらされても、ローソンのお膝元の関西圏やファミリーマートが店舗展開を始めた全国各地へ出店しようとはしなかった。セブン-イレブンは、動かない山のごとく、首都圏と北海道、宮城、福岡など特定地域に事業活動を限定した。もしセブン-イレブンが競争者に対抗して全国的な店舗展開という正面攻撃で対応していたならば、財務的にその事業活動はいつまで持続できたであろうか。
離陸直後の飛行機と同じように、創業間もない企業も不安定である。その収益構造がまだ確立せず、安定成長軌道に乗っていないからだ。八三年頃までセブン-イレブンが目指したのは、出店の地域制限によって売上高成長率をセーブしながら、安定軌道を模索することであった。
P.222 - P.223

ローソンやファミリーマートとの競争は激しかったはず。
そんな中での舵取りは、想像するだに大変。
いたずらに地域を拡大せずに着実な成長を模索するこういった経営判断
自分がトップになったときに本当にできるか、考えさせられる。


フランチャイズのタイプとその変化

脱サラ組のコンビニ開業動機は、酒屋などからの事業転換組とはまったく異なっている。事業転換組の主要なコンビニ開業動機は、個人経営では売上が増えないなどということであった。脱サラ組の動機を見ると、資金が少なくても開業できる、商売経験がなくても可能と考え、また自前の土地・建物がなくても可能、といった動機が並ぶ。加盟店リクルート市場におけるこのような変化によって、加盟店のタイプも多様化し始めた。それらはAタイプ、Bタイプ、Cタイプなどと呼ばれる。
Aタイプ店では、土地・建物は加盟店主の自前物件を使う。Bタイプ店では、本部が賃貸した物件を加盟者に転貸し、内装投資などは加盟者が負担する。さらに、本部が土地所有者に差し入れた保証金や家賃も加盟店から徴収する。Cタイプでは、本部主導の開発物件を加盟者が受託運営するのである。本部へのロイヤルティは、A、B、Cの順で高くなる。
P.232 - P.233

全然業界が違うからこういうフランチャイズの裏側の話も、
知らなかったので興味深かった。

Cタイプに組み込まれた脱サラ組はセブン-イレブン複数の収益源を提供した。
Cタイプ店主になれば、不動産物件の賃借者である。
それによって、Aタイプの加盟店よりも高いロイヤルティーチャージを払ってくれる加盟店になった。またその開業資金が少ないため、セブン-イレブンから仕入などに関して、より大きい商業信用を受ける必要があった。これによって、銀行の貸出金利よりも高い金利を払ってくれる、セブン-イレブン資金の借り手になった。
商売の未経験者が多いから、本部の推奨商品の従順な販売人になった。幸いにして、店舗業績が順調に上がっていけば、CタイプからAタイプのへの転換にさいして、セブンーイレブン所有の店舗不動産物件の購買者になった。
P.237

脱サラオーナーが増えることは必ずしも良いことばかりではないと思うのだが、
それをマイナスを補って余りある強さに変えていくところが凄い。
根底には徹底的な情報武装があったのだと思う。
特徴を強みに変えるということが重要。
それができた時に模倣困難性も得られるんだろうな。


オムニチャネル

オムニという接頭辞からは、百貨店、スーパー、コンビニ、専門店など実店舗業態間を統合せよといっているようにも見える。しかしオムニチャネルの力点はそこにはない。統合すべきは、実店舗と店舗外情報チャネルである。店舗外情報チャネルとは、インターネット経由のパソコン、携帯端末、テレビなどである。店舗の外に出て、店舗外情報チャネルに現れる顧客の種々な買物関連行為をできるだけ捕捉せよ。そしてその情報を店舗運営と統合せよ。これらがオムニチャネルの叫びである。
この叫びから見れば、オムニチャネルは明らかにネット通販の攻勢にさらされる実店舗小売業の対抗策である。この点は、ネット通販の雄、アマゾンや楽天の動きにも明らかである。少なくとも現在までのところ、かれらには実店舗を開発・展開しようとする動きはない。彼らはオムニチャネルの展開に共鳴していない。かれらはオムニチャネルとは別軌道で発展しようとしている。
P.338

仰るとおり、オムニチャネルって実店舗小売業の必死の抵抗だよね。
攻めと言うよりも守りの話に聞こえちゃうんだよな。

セブン-イレブンの足跡 ― 持続成長メカニズムを探る

セブン-イレブンの足跡 ― 持続成長メカニズムを探る