ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

広報という組織にまつわる基本をまとめた真面目な本。 社会情報大学院大学編/デジタルで変わる広報コミュニケーション基礎

広報やPRに関して、全体感をざっと押さえられる本ないかな、と探しているときに目星をつけた1冊。

まぁやわらかいものを想像していたのだけど、
内容は思ってたよりもかなりしっかりめで固い話が多かった。

ちゃんとした広報組織、広報とはどうあるべきか、というスタンスから
基本的なことをちゃんとまとめてあるので、真面目に学びたい人にはいいんじゃないかな。

広報とか、PRとかそういう基礎も何もない現場に読ませる本としては、固すぎるかな、という印象。
まぁでも別にそれは自分が期待した役割との乖離であって本書の価値とは無関係の話。

広報の役割など

基本的には企業が発するメッセージは一貫性を持っていないと、
ステークホルダーから信頼されない、誤解を招く恐れがある。
だからコミュニケーションをしっかりマネジメントしましょうというのが前提としてある。
個別の部署がばらばらに発信してると矛盾が生じたりしやすい。

で、一過性のイメージではなく、認知の集積であるレピュテーションを高めましょう、と。

デジタル時代は使える手段も多様。
メディアもPaid,Owned, Earnedの3種類あり、それぞれをどう使っていくのかを考えていく。
それぞれを整理したものをPOEマトリクスとよんだりする。

ニュース性のある広報、人に語りたくなる話にする6つのポイントを
頭文字をとって PR IMPAKT の視点が重要。

Inverse
Most
Public
Actor
Keyword
Trend

上記6つがポイント(P.107 - P.109)、これはSNSなどの情報発信時にも共通の視点かも。

他にもお詫び、危機管理対応に関する記述などはいざというときに役立ちそうだった。
電話対応手順(P.228)などは具体的かつ実践的な内容。

上場企業とかだと気を使うこと多くて大変そうよね、と思った今日この頃でした。

読むと自分のモチベーションが上がる本。 尾原和啓/モチベーション革命

落合陽一の本とか、本書とか読んでいると、好きなこと、興味のあるものに対しての偏愛が
ヒトの強みなんだなって最近すごく思う。

合理性では説明のつかない偏愛、それこそ来るべきAI時代におけるヒトの強みだし面白さなんだろうなぁって。

そして、本書を読んで特に強く感じたのは、自分の好きなこと、興味のあることを、もっと自分で自覚しようということと、
それをオープンにしたほうが楽しい仲間がやってくるということ。

俺はこういうのが好きだ~って言う。ものすごく細かく突き詰めて言う。
それ、まずやろうって思ったのでした。
今まではひとりでとにかく楽しんでりゃいいやってスタンスだったんだけど、
この本を読んで大きく変わったな。


インサイトを求める旅

AIが人間の一部の仕事を担っているのではなく、人間はAIに、部品の一部として認識されてしまっている、ということでもあるのです。
よく言われるような「ロボットが単純作業を人間の代わりにやってくれる」という認識とは反対に「単純作業なんて、高度な知能を持つロボットではなく、人間にやらせてしまおう」ということが起きるかもしれないということなのです。
P.66 - P.67

これはちょっとドキッとするまるで星新一ショートショートの結末みたいな展開。
どうなるかはわからないけど、付加価値のないワーク、作業の価値はどんどん低くなることは確か。

じゃあ何が大切なんだ、付加価値のない作業がどんどん代替されていくとして、
偏愛という強みを活かしながらわれわれはどう働いていくのか。
本書ではビジネスはどんどんプロデューサー的な立ち居地が重要になると説いているし、
イデアというよりはインサイトを発見することの重要性が増すだろう、と。

で、実際にインサイトを見つけようとしたら、デスクワークしてるだけでは見つからない。
もっと街に出ろ、遊べ、体験して来い、ってのがインサイト発見には近道なんだと。
そしてインサイトを見つけることは何よりも価値があること。
だから、本当は残業なんてしている暇はないんだよ、ってのは面白い説明。

最近では日本でも、インサイトを重視して、社員に積極的に休みをとらせる会社が増えてきています。例えば、有機野菜など安全食材の宅配サービスで知られる「オイシックス」では、「50パーセント社員」制度を実施しています。1年のうち50%はオイシックスの社員として働き、50%は世界中を旅したり、大学での研究に打ち込んだりして、「インサイト」をたくさん拾ってこよう、ということです。
P.55

忙しくて、仕事に疲れてカスカスになってる人からインサイトとか出てこなそう。
自分も部下にはもっととにかくインプットして欲しいんだよね、と常々思う。

残業減らせって言うだけじゃなくて、ちゃんと制度としてやっていくのはとてもいいことだと思うし、
そういう働き方が出来るところで自分を成長させたいと思う若者も多いんだろうなぁ。


自分の好きや強みをもっと知ろう

自分のことは自分が意外とよくわかってないのかもしれない。
自分の強みって???即答できない人が大半なんじゃないか。

任天堂の故・岩田聡元社長の「”労力の割に周りが認めてくれること”が、きっとあなたに向いていること、それが”自分の強み”を見つける分かりやすい方法だ」という名言があります。
P.72 - P.73

そう、自分にとってはそんなに大変じゃなくても他人から認められることが得意なんだろうなぁ。
不得意なことは簡単に思いつくんだけどね。

で、本書でも紹介されていた強み発見ツールが『ストレングス・ファインダー』ってやつ。

自分の強みを判定してくれるWebテストが受けられる書籍。
こういった判定ツールを活用しながら、強みの違う人同士がチームになって仕事するってのが
イノベーション起こしていく上ではとても大切なのよ、と。

さっそく自分でも『ストレングス・ファインダー』を購入したので、やってみようと思う。
結果もここで公表してみようかな。

何が好きなのかという情報は価値。

日本の人工知能の権威、東大の松尾豊教授が、こんな話を聞いたそうです。「昔の資本は筋肉でした。肉体労働を集約できることが強かった。それが蒸気機関の発明で追いやられて、今の資本は頭脳になった。そして頭脳は人工知能によって効率的な仕事に追いやられて、次の資本は非効率を産業としていく嗜好になっていくのです。」これを受けて教授は「自分が何を好むのかという情報はこれから価値になります」と語っています。
P.76- P.77

合理性で語れない部分の価値がこれからもっと顕在化していくのかもしれない。
そうだとすると、コンテンツ産業とかアートとかの価値がまた変わってくるんじゃないかな。
それはそれで面白い世の中になりそう。

自分の好きなものに貪欲に生きていきたいなぁ、と改めて思ったし、
それがAI時代を生き抜く一番いい対策なんだとしたら、願ったり叶ったりだ。

マネジメントはWHYを共有していく

メンバー全員の「WHY」をすべて満たすのは至難の業です。そこで大事なのは、リーダーが強烈な「WHY」を提示することなのです。
P.145

WHYを提示し、個人の「WHY」と繋がる部分をすり合わせていく。
気持ちよく組み合わされば強い力を発揮する。
まったく、合わない人は、今回の「WHY」にはマッチしない、という判断も必要。
でもそれは理由が明確だから納得感もある。

その他、断片的なメモ

人に迷惑をかけるな、と言われる日本との違い!

インドでは日本の反対で、親は子に対して「あなたは誰かに迷惑をかけて生きていかなければならないのだから、他人の迷惑も受け入れてあげなさい」と言うそうです。
P.182

たった少しのニュアンスの違いで、ぜんぜん違う話になるね。

「自立とは、依存先を増やすこと」という言葉は、脳性まひの障害がある小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉です。
P.202

たしかに依存先が限定されていればいるほど、それ無しには生きていけなくなる。
自立とは依存先を増やし構成比を分散させることなんだな。

他にも好きなことが得意なことになって生きがいになっていく話とか、
前向きになれる示唆が本書にはたくさんあった。

自分にとって本書は読むとモチベーションが上がる本。


例えばこういう数字がある、っていう風にマッキンゼーが提示するファクトが面白い。 リチャード・ドッブス/マッキンゼーが予測する未来

グローバルで進む変化。
マッキンゼーが予測する未来、というタイトル通り、マッキンゼーが予測する未来のお話。
突拍子も無いことは書かれておらず、むしろ数字に裏付けられた堅実な未来予測と言える。

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている


自分自身は全くグローバルなビジネスに関わっていないのだけど、
そういう人にとっても読み物として楽しめる要素があるかも。

例えばこういう数字がある、っていう風にマッキンゼーが提示するファクト、
私にとってはそのファクト自体が面白い。

本書曰く、世界は今、破壊的な変化の途上にある。
で、それは4つの力によってもたらされている。

1.経済の重心の移動
2.テクノロジー・インパクトの増大
3.地球規模の老化
4.流れ(フロー)の高まり

こう見ると、最近元気がない日本も、
少子高齢化という世界のトレンドの最先端を走っているわけだから
この解決策を上手いことやると、高齢化対策先進国として
また一気に力をつけそうな気もする。

ただ、消費という意味では新興国市場の盛り上がりには勝てるはずもなく、
戦いの場が新興国の都市に移っていくのは避けられない流れだろう。
新興国の都市が発展し、都市の発展に伴い消費が質、量ともに加速度的に増加していく。
そんな市場の盛り上がりにTOKYOがまともに対抗しようとしても無理。

そう考えると落合陽一が言うような
「「少子高齢化ニッポン最強説」──ほとんどの問題は人機融合で解決する」て言う話なんだよなぁ。

wpb.shueisha.co.jp

そこを日本が解決できたら、めっちゃ面白い。
まぁそんなことを考えさせてくれるきっかけとして、知っておいて損はない話って感じの本でした。


マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

ビットコインが終わってもブロックチェーンは終わらないって話。 中嶋真志/After Bitcoin アフター・ビットコイン

盛り上がっている仮想通貨周りの理解のために本を探してて、
成毛さんの帯コメ付いてたからとりあえずこれを買って読んでみたという感じ。

仮想通貨、めちゃくちゃ盛り上がってるけど、
一体なんなの??ってことよね。
まぁ、細かなことは読んでもらうとして、いくつかめっちゃ面白いポイントが。

アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

ビットコインには発行上限がある

よくわかってなかったんだけど、ビットコインには発行上限があるんだってね。
つまり埋蔵量が完全に固定の鉱脈を掘ってる。
で、あと数年でほとんど掘り尽くされてしまう。

今は、ビットコインの報酬目当てでとんでもない設備で掘りまくる巨大マイナーの寡占状態。
ユーザーがみんなで、っていう元の思想とはかけ離れた状態になっている。
で、こういう投機的マイナーが、電気代かけていつまでマイニングを続けてくれるのかっていう問題。

上限と、報酬の半減期が決められていて、時と共にマイニングで得られるビットコインの量も減っていく。
ビットコイン価格が半減期に対してそれを上回る上昇をし続ければペイするけど、
これまでも半減するタイミングで引退するマイニング企業はあったらしい。

でもこのマイナー達の計算機のリソースを使った計算がビットコインの取引を支えている訳で、
誰もこれに協力しなくなると成り立つのかいな?という根本的な問題をビットコインは抱えてる。

もちろん、有限な発行量ということは、総量が一定でニーズが途絶えなければ、
値上がりし続けるってことでもあるのだけど、果たしてそううまくいくのかしら。

欧米の金融界も一瞬うわって盛り上がったけど、
今やビットコインに対しては冷めてて、
でもブロックチェーンの技術は本物だという雰囲気らしい。

ブロックチェーン≒分散型台帳

こっちが本物なんだという話なんだよね。
今までは所有や取引を記録する台帳は中央集権的な持ち方だった。
金融機関でもマスターの台帳は1つ。そこに全てを記録、保管する考え方。
でも、ブロックチェーンの考え方はこの取引の台帳を分散し、
分散されたそれぞれの台帳が正しさを保証する仕組み。

改ざんしようとすると瞬時にすべての関連する情報を書き換えねばならず、
改ざんが極めて困難。

だからこそ、取引の履歴だとか、所有権管理だとかに対して
すべて活用できそう、すげーなって話。

仮想通貨バブル

億単位で稼いだとか、何千万も損したとか、
取引所のコインが盗まれたとか、何かと話題に事欠かない
仮想通貨市場ですが、まぁちょろっと買ってみるくらいはしたほうがいいんだろうな。
持ってるほうが興味も持てるし。

実際、valuが盛り上がった時にビットコイン買って、valu買ったりしてたけど、
ここまで一気に投機的な動きが加速してジェットコースターのように乱高下するとは思わなんだなー。

捨ててもいいお金で持っておく分には思わぬお小遣いになるかもしれないし、なくなっちゃうかもしれない。
買うときはその程度がいいんじゃないでしょうかね。

で、ブロックチェーンのお勉強と活用法を考えることの方が大切な気がする今日この頃。

という訳で、ザーッと列挙してみた。

ブロックチェーンの未来 金融・産業・社会はどう変わるのか

ブロックチェーンの未来 金融・産業・社会はどう変わるのか

ブロックチェーン技術の未解決問題

ブロックチェーン技術の未解決問題

ブロックチェーン 仕組みと理論  サンプルで学ぶFinTechのコア技術

ブロックチェーン 仕組みと理論 サンプルで学ぶFinTechのコア技術

とりあえず野口さんの本は信用できそうだから、まずはそれかな。

アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

自分の報酬系を知り、自分で自分をハックするのだ!その上で、自覚的に人としての非合理性と向きあいたい。 落合陽一/超AI時代の生存戦略

この本を読んでふと気づいたのだけど、読了してもいまいちシンギュラリティの意味わかんなかった。
ちゃんと読んでないから?でも別に困らないよ、すげーいい話がたくさん書いてあります。

で、シンギュラリティってなに?っていう話なんだけど、

技術的特異点(ぎじゅつてきとくいてん、英語:Technological Singularity)、またはシンギュラリティ(Singularity)とは、人工知能(人工超知能、汎用人工知能、AGI)の発明が急激な技術の成長を引き起こし、人間文明に計り知れない変化をもたらすという仮説である。
Wikipediaより

ということらしいです。

でもAI時代が来ようが来まいが、さっさと意識しておいたほうがいいことがたくさん書いてあります。

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

ワーク アズ ライフ

ワーク、ライフバランスみたいなワークとライフの二項対立には意味がない。
ワークはライフの一部なはずで、ワークとライフは不可分。
むしろストレスなくワークとライフが地続きになっていることのほうが大切。

ワークアズライフとして考えるとき、バランスや均衡を求めるものはなんだろうか。「ワークとライフ」の対比で捉えるのではなく、「報酬とストレス」という捉え方のほうが今の働き方を象徴している。働く時間、休み時間という捉え方より、ストレスのかかることとかからないことのバランスのほうが重要だ。
P.33

ストレスを感じるか、感じないかで捉えることのほうが重要かもというお話。
自分が何にストレスを感じ、何に喜びを見出しているのか、
自分の嗜好、志向、思考にどれだけ自覚的でいられるか。

別の言い方としては自分の報酬系を知れ、という言い方でも語られている。
何に喜びを見出すのか。自分が楽しいと思うのはどういったこと、状況なのか。
全てのストレスから開放されることを目指す必要はなくて、
報酬を得るための過程で多少のストレスは避けられないこともある。
ただ、自覚できているかどうかよね。

この感覚ってすごく共感できて、努力とか頑張るとかすぐ言う人たちの限界ってあるんだよね。
その人にとって、それが努力であったり、頑張ったりすることである以上、
同じ行為が楽しい人たちには絶対に敵わない。

だからこそ、努力を努力と思わずにやれる方法だったり、領域を見つけることって
すごく大切だと思うのよね。

好きこそものの上手なれって話よ。ことわざって良いこと言ってるよね。

楽しめないけど努力しなきゃいけないこと、領域に関してはどうすんの?って話に関しては、
習慣化するのが低ストレスへの近道だと思う。
細かく記録して毎日やるを繰り返してやるのが当たり前にするっていうやつ。
習慣化の力も本質的にはそれをすることのストレスの低減だと思ってる。

ただ、不思議なもので、自分が何に喜びを見出すかを自覚していると、
こうしたら、こう考えたら、別に苦にならないな、って自分でわかるようになってくる。
結果的に、こう考えたら楽しめちゃったりするなぁ、ってなってくるのよね。

こうなればしめたもので、結果的にストレスなく、楽しみながら継続できるようになる。

要するに、自分の報酬系を知るということは、自分で自分をハックするっていう感覚に近い。
自分を客観視するメタ自分による自分のコントロールっていう感覚がもてると色々楽だし楽しいと思ってる。

コミュニティは30人が限界

これに関しては、へぇ、そうなんだって感じ。
話題の箕輪編集室は400人規模になっているらしいけど中どうなってるんだろ。
まぁ、全員が主体性を持つ必要もないコミュニティだから
傍観者は傍観者として成立しているのかもしれないけど。

一人一人が責任感を感じられるレベルは、だいたい30人くらいが限度だと言われている。
P.39

自分は自分の道を行く

本書でも補足されているけれど、全員が違う方向に向かって進んでいく、
他の人のことは気にしない、という前提。
同じ方向に向かう競争の中で、他人を気にしないのではない。
ここって結構大きな違い。

もはや進む方向がみな違うのが当たり前なんだよということ。

コモディティ化と向き合い、人類の価値を拡張していく。そうした中では、先ほども述べた「淡々とやること」というのが、すごく重要になる。つまり、相対的な順位争いではなく絶対的な価値、わかりやすく言うと、「自分は自分の道を信じてやらないといけないし、他人は関係ない」ということだ。

それって結構孤独なことかもしれないけれど、孤独との付き合い方を知ることもまた重要なことなんだろうな。

合理性、非合理性

合理性万歳主義がはびこっている気がするけど、合理性だけで人は生きるのではない。

合理性はある目的を達するためとか、特定のフレームの中で価値のあることに過ぎない。
それだけじゃ世界の半分も説明できないと思うんだよね。

よく趣味について考えるのだけど、趣味って何をもって趣味というのかな、ということ。

自分が出した結論は、趣味とは見返りを求めない行為であるということ。
例えば何かの役に立つから、勉強のために本を読むというのは、趣味ではない。
読みたいから、読む。読んだら楽しかった、それで満足、そういうのが趣味。

釣りが好きだから、楽しいから釣る。それは趣味。
それ、なんの役に立つんですか?という質問が意味をなさない世界で成立しているのが趣味。
だって、何かの役に立たせることが目的化した行為は趣味ではないから。

で、落合陽一いわく、合理性を求めていない行動に関しては自覚的にやるべきだ、と。(P.102)
自覚的に、自分の中で合理性を追求することと、問題解決以外の非合理的なことを明確にしておいたほうが、
人生は豊かになる。

これは、もう本当にそうだと思う。
趣味性という非合理的な無駄が人生を豊かにするし、その集積が気がつくとあなたをユニークな存在にしている。

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

店舗もチャネルの1つでしかない、「個客」を中心にしたチャネル展開のデザインができるか否かが問われている。 奥谷孝司・岩井琢磨/世界最先端のマーケティング

奥谷さん、岩井さんの早稲田ビジネススクールコンビが出した著作。
タイトルと表紙がちょっと地味というか、キャッチーさに欠ける部分があるものの、
内容は、実に堅実な分析。

奥谷さんを見ていると、実務家として最前線で戦いながら、
嗜好としてはアカデミアンな側面をお持ちな印象で、本書にもその感じが出ている。
(もちろんいい意味で)


世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略

世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略

オンライン企業のオフライン進出

本書で一貫しているのは、オンライン企業のオフライン進出を、
単なる実店舗運営とは異なる視点での展開と分析しているところ。
それは単なるマルチチャネル展開ではなくて、チャネルシフト戦略なのだ、と。

「チャネルシフト戦略」とは、
1.オンラインを起点としてオフラインに進出し、
2.顧客とのつながりを創り出すことによって、
3.マーケティング要素自体を変革しようとする
戦い方である。
P.2

アパレル業界で例に出ていたBONOBOSは、
顧客が事前にオンラインで商品をセレクトし、そのフィッティングと購入に店舗に訪れるというもの。
従来のショールミングとも異なるオフライン店舗の活用方法。

また、「店舗スペースの効率化」も実現している。従来のアパレル店舗では、ある程度の余剰を見込み、店舗には相当量の在庫を持っている。しかし、ボノボスは店頭在庫が少なくて済むため、店舗のすべてのスペースを、顧客の体験のための空間として使い切ることができる。結果的に好立地の店舗でも、在庫のための保管スペースにかかるコストを抑えることができる。
P.49

実際自分も、最近オンラインECサイトの実店舗をオフライン展開するプロジェクトに関わっているのだが、
店頭ストックのスペース確保と在庫管理は適正とは程遠いレベルで非効率。
全く異なった発想でオフライン店舗のあり方を考えた方が面白いことができそうだ。

実際、EC側でほしい商品を指定してもらい、店舗でリアルに試着体験みたいなオペレーションを
どう実現するかを考えた方がやる意味ありそう。

スーパー、生鮮食品の小売業態の変化

AmazonGoのような無人店舗の話題が盛り上がっているが、
店頭で実際に商品を見ながら、アプリでコードをスキャンすると、決済および、自宅に配送してくれるという
なんとも近未来なスーパーがすでに中国には実在する。

アリババ(阿里巴巴)が出資する中国の食品スーパー、ヘマーセンシェン(食馬鮮生)だ。ヘマーセンシェンのオフライン店舗を訪れた顧客は、スマートフォン向けに提供されているアプリを立ち上げ、店頭で商品の値札をスキャンしていく。スマートフォンGPS(全地球測位システム)を活用し、顧客がいる店舗を特定して、その在庫が表示されるようになっている。支払いは、アリババが提供する電子マネーのアリペイで完了する。これによってヘマーセンシェンは、顧客と購入データを紐付けて把握できる。購入した商品は、そのまま店舗で受け取ることもできるが、宅配も選択可能だ。しかも店舗から5キロメートルまでなら30分以内に届ける、というサービスを展開してる。

小売の、特にオフライン店舗の役割が劇的に変化してきていること、
そして日本は結構遅れ気味だということがこれを見るとよくわかる。

いわゆるファッションビルとか百貨店に関していうと、テナントがオンラインへ誘導することを禁じる傾向が強い。
オンライン、オフラインのシームレスな連携をテナントに禁じるというレガシーな流通が変化の足を引っ張っている。
紙の本と電子書籍の関係もまた、旧態依然としたレガシーな流通(とその流通への配慮、無駄な忖度)が足を引っ張っている好例。

変化したのは店舗ではなく、顧客管理

クロスチャネルとオムニチャネルでは、顧客接点である店舗は何も変化していないということである。変化したのは店舗ではなく、顧客管理である。つまりシングルチャネルからクロスチャネルまでは「店舗を軸に顧客の管理を行っている」のに対して、オムニチャネルからは「顧客を軸にチャネルの管理を行う」ことになる。これは、大きなパラダイム・シフトである。
P.102

オムニチャネルは、つまるところ顧客管理なのよね。顧客を中心にタッチポイントを全て把握し、活用しようという試み。

したがって、顧客を軸にチャネルを統制するのであれば、来店前の情報チャネルや、購入した後の接点も含めて考える必要がある。店舗はもはや、顧客の買い物行動における、1つの通過点に過ぎない。顧客の選択に影響を与える、店舗・アプリ・商品・メディア・SNS、その全てが情報であり、チャネルであると考えねばならない。顧客の買い物行動を軸として、これらのチャネルを配置、連動させるという視点が必要になる。
P.105

この顧客管理を中心に考える考え方って、通販業界では当たり前のものだし、何十年も前からやってきた知見が詰まってる。
普通の企業が顧客データが集まるようになったもんだから、カタログ通販会社がやってきたようなことが
より大きなスケールで話題になっているという印象。

だから、今は何かと厳しいカタログ通販の会社の人とか、転職する好機だと思うよ。
今まで顧客情報を直接管理できなかった人たちが、CRMぽいことをやりたがってる時代なんだから。

顧客管理におけるアプリとID-POSの違い

購買情報を取得するだけであれば、ポイントカードを軸にしたID-POSで事足りる。
ただ、それだと片手落ちなのよね。
入手したデータをもとにこちらからアプローチできる双方向性こそが重要なポイント。
直接顧客にアプローチしづらいID-POSではダメなのよ。

アプリの大きなメリットとして「コミュニケーションの容易性」がある。ID-POSでも、顧客が何を買ったのか、どんな商品が好みかは確かにわかる。しかしそこで獲得できるのは、いわば「購入データ」という「点」に過ぎない。カードホルダーの顧客へのコミュニケーションはダイレクトメールや、せいぜいeメールだ。つまり購入データだけを取っても、顧客との対話が生まれないのだ。対話が生まれなければ、顧客とのエンゲージメントは深まらない。
P.167

そして、社内に散らばっているユーザーのID(ミニCRM)の統合をという話になるんだけど、
これが最もハードル高い領域。
部署によって、てんでバラバラに顧客情報を持ってたりするんだよね。
それらを会社として1つに統合する意義はとても大きいんだけど、よほどのトップダウンがない限り動かない。
でも、やるとなったら、統合させるメリット、インsんセンティ部をしっかりユーザーに用意してあげることが大切。

もちろん、MUJI Passportのユーザーが全員IDの紐付けをしてくれるわけではない。実際の結果は、各IDごとにせいぜい20〜30%程度の統合率だった。それでもマーケティング上は大きな意味がある。ある程度の母集団が出来上がるので、統計的な分析に値するデータとなるのだ。
P.173

ちなみんこのMUJI Passportで20〜30%というさらっと書かれている数字こそ実務家は痺れる数字なんじゃないだろうか。
こういう具体的な数字ってなかなか表に出てこないんだよね。
ID統合しましょうって時に、どこらへんが落とし所なのかも想像つかないわけよ。
そこにMUJI Passportで20〜30%というファクトがあると、1つの指針になるわけ。
こういう数字こそ、実務薄める上では一番役に立つ。

配送サービスレベル

日本通信販売協会JADMA)が、2013年に会員社12社の顧客を対象に実施した「配送満足度調査」のデータは、顧客の「本音」が見えていて興味深い。そこで顧客が求めている配送サービスへの希望を見ると、「配達時間の指定」が68%、「配達日指定」が62%と、配達日時間指定に関する要望が高い。その一方で、「当日配送」は4%、「翌日配送」は9%と予想外に低いのだ。
P.214

これ、とても大事なところ。
Amazonの影響もあってだけど、早く届くことに注力しすぎになってしまったと思う。
結果的に物流会社の現場を疲弊させ、値上げへ。
回り回って自分たちの首を絞める展開になってしまっているが、
顧客はそこまですぐ届くことを重視しているわけではないのだ。

まだまだ宅配ボックスの普及も進んでおらず、大多数の人にとって、荷物を受け取ること自体が面倒であって、
時間や日付を決めてきてくれる方がよっぽど楽なんだろうぁ。

世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略

世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略

生産性をあげるってどうすりゃいいの?という人はまずこれを読む。 沢渡あまね/チームの生産性をあげる。

文字通り、チームの生産性をあげるためのノウハウをまとめた本。

働き方改革が叫ばれているけれど、単純に残業禁止、とかしてもどこかにしわ寄せがいく。
ある人は持ち帰って家で仕事をして帳尻を合わせざるを得ないかもしれないし、、、。
タイムカード上の労働時間を削ったからといってそれすなわち働き方改革、生産性向上とは限らないということ。

そもそも業務フローから丁寧に見直していくべきよね、
そしてそれはこうやってやるといいよ、という具体的メソッドがまとまっている本なので、
見よう見まねで取り組んでみやすい内容になっている。

チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策

チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策

業務の見える化

たった3つのドキュメントを整備するだけ。
①業務一覧
②インシデント管理簿
③年間業務スケジュール表

この3つを整備するだけで業務を見える化できる。
で、作ったリストをメンバーみんなで確認。
そうすると、私たちの業務ってこれだけ??っていう違和感が発生する。
そっからが本番。隠れた業務の洗い出しをして、違和感の消えたリストができあがれば、
それが改善の元になる業務リストのできあがり。

そのとき、発生頻度を測定することも重要。
結構多い、かなり多い、みたいなあいまいなこと言うこと多いけど、
それが実際、どういう頻度で何回起きているのか、数えてみると案外少なかったりする。
思い込みは厳禁。

人は目先の仕事に対応したがる

本来の仕事、やるべき仕事よりも、割り込んできたインシデントの対応を優先してしまう。
これは本当によくあること。そして目の前の仕事でいっぱいいっぱいになって、忙しい、忙しいとなってしまう。
忙しいから○○できない、などとなるともう末期症状。

だからこそ、こういった都度発生する作業を管理することが重要。
いかにそれが生産性を下げているのか、対応方法、処理方針を決めてあげないと、
個人の判断では目の前のことに引きづられる。

そして、そうやってオペレーション全体を見て考える視点を持っている人が少なすぎる。
なので、リーダー格にはこれ読ませようかな、と思った今日この頃です。

チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策

チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策