ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

テクノロジーや自然環境、国際紛争まで幅広い分野の“いま”を切り取ったルポ。 トーマス・フリードマン/遅刻してくれて、ありがとう

『フラット化する社会』の著者の最新作、というわけでとりあえず買った。
ちょっと、表紙が地味すぎるよね、というのが読む前も読んだ後も感じることなんだけど、
まぁ、それは良いとして、上巻はテクノロジーの進化とそれによる変化のルポ。
いくつかの具体例を交えながらの話は結構面白い。

下巻になると政治と紛争の話が増える。
私にとっては途端につまらなくなる。
でもそれがアメリカで生きる人々と、ガラパゴス日本で生きている自分の
興味関心の乖離なんだろうな。

自分のグローバル感覚の無さも浮き彫りになったような気がする。
ただ、別にそれでも自分は困らないし、インターネットの普及によっても、
別に世界はフラットになっていないのかもしれないとすら思う。
だって、そういったグローバルでの紛争や貧困を自分ごととして捉えられるような状況ではないから。
結局、国や地域は、分断されていることの証左かもしれない、なんて思ってしまった。

変化が早すぎる

私たちはテクノロジーの変化がものすごく早い世界に生きている。
過去の人類の歴史を振り返ると、それは早すぎるほど早い変化。
数百年スパンで起きてきたような変化が数年で起き続けているような、
そんな変化大爆発みたいな世の中になっている。

あらたなかたちの安定は、動的な安定にならざるをえない。自転車に乗っているときのように、じっと立っていることはできないが、動き出せばかなり楽になる安定のかたちがいろいろある。
P.65

”パドルを水に入れたままにしなさい”と聞いた初心者は、パドルを舵にするのだと思って誤って解釈し、パドルを艇尾のそばで水に入れて抵抗を発生させ、それで舵を取ろうとします。これはきわめてまずい位置です・・・・・・
急流で安定を高めるには、急流と同じ速さか、あるいはもっと早く進むことが重要です。パドルを水に入れて抵抗を発生させたり、舵に使ったりするたびに、勢いが失われ、転覆の危険が増します。
P.349

コネクテッド・カウ

常時接続された乳牛の話が面白かった。
大規模酪農場での繁殖率を改善するプロジェクトなのだけど、
乳牛は発情から人工授精の完了までの期間が極めて短いんだとか。
21日ごとに12〜18時間ほどしかなく、主に夜間。
これをいかに効率的に管理し、発情を検知するか。

富士通が編み出した解決策は、無線接続された歩数計を取り付けること。
発情すると、歩数が大幅に増えるのでそれで検知できるようにしたらしい。
こういう事例紹介はすこぶる面白い。

宅配でのセンサー利用

車、1台に200個のセンサー、ドライバーは完全に監視下におかれてる。

配達車には200台のセンサーがあり、ドライバーがシートベルトを締めているか、どれくらいの速度で走っているか、いつブレーキをかけているか、似合いとの境のドアは開いているか、車は前進しているか、バックしているかを知らせてくれます。通っている通りの名前や、停止してアイドリングしている時間と移動している時間の比率もわかります。
P.94

GitHubでとオープンソース

マイクロソフトが.NET(ドットネット)と呼ばれるテクノロジーを開発し、ソースを公開。
マックやLinuxでも動くようにすると宣言したところ、
GitHubのコミュニティがマック版を一夜にして作り上げてしまったという話。

オープンソースコミュニティのパワーを物語るエピソード。

地球環境自体も激変

テクノロジー分野だけの話ではなくて、環境面でも激変しているという話。
こう言うのはなかなか自分ごとにならないけど、こうやって定量化されるとぞっとするね。

グリーンランド氷床の誘拐は加速しているという。「2003〜2010年に解けた氷の量は、1983〜2003年の倍であるだけではなく、20世紀中に失われた総量に相当する。
P.290

でも、対策がうまく効いてるものもあるらしく、
オゾン層はフロンを世界的に禁止してから工業化以前のレベルの
5%以下の消失というレベルまで回復しているらしい。

しかし、人口はわずか30年の間に20億人以上が増える予想がある。
人々が都市部で暮らし始め、経済的にもミドルクラスになってくると、
環境への影響は幾何級数的に進む。

未来の工場

近未来、労働が機械に代替されていく世界を風刺したジョーク。

未来の工場で働いているのは、1人の人間と1匹の犬だけだ、人間は犬に餌をやるためにいる。犬は人間が機械に触らないように見張るためにいる。
P.342

貧困の救世主はニワトリ

ビル・ゲイツは財団の活動を通じて、ニワトリの飼育が貧困の救済にかなり有効であることを学んだらしい。

極端に貧しい暮らしをしている人々がニワトリを飼うと、暮らし向きが良くなることが、はっきりとわかった。それどころか、私がそういう立場だったら、必ずそうする--ニワトリを飼う
下巻 P.86


いま子どもに必要なのは英語でもプログラミング教育でもなく教科書が理解できるだけの読解力 新井紀子/AI VS. 教科書が読めない子どもたち

数々の賞を受賞しているので今さら言わなくても良いようなことなのだけど、名著だ。
評判が良いのはわかっていたけど、なんとなく後回しにしてきたのだけど、
いよいよ読んでみたら、本当に面白かった。もっと早く読めばよかったて言うくらい。

AIとか機械学習万歳本が溢れている中、この本は冷静に今のAI、機械学習にできること、
できないことを見極めようとする話をしてくれる。
闇雲に夢を煽らない。むしろ数学者として、今の手法の延長線上には限界がある、と言う。

今のままではシンギュラリティは来ない、でも、上位20%程度のことはこなせてしまう。

AIは万能じゃないよ、人を超えるなんて夢のまた夢だよ、
でもね、人間もまた思った以上にポンコツかもしれない・・・
っていう厳しい現実がここにはある。

子を持つ親としては、厳しい現実だと思うが、
せめて、人としての読解力は身につけさせたいな。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

一学年に子どもの数は約100万人。半分の50万人がセンター入試を受験します。その上位20%に東ロボくんが入ったのです。ホワイトカラーを目指す若者の、中央値どころか平均値をAIが大きく上回った。この先、労働市場はどうなるのか。どうすれば、東ロボくんに負けた80%の子どもたちに明るい未来を提供できるのか。そのことと真剣に向き合わなければならない、そう決意しました。
P.62

数学は4000年の時間をかけて、論理、確率、統計と言う表現手段を獲得しました。けれども、反対の言い方をすると、数学が説明できるのは、論理的に言えることと、確率・統計で表現できることだけだということです。つまり、先述のとおり、数学で表現できることは非常に限られているということです。
P.117

Siriなどの音声インターフェイスは意味を理解しているわけではない。

意味を理解してリアクションしているのではなくて、統計と確率のアプローチで、
からしい応答をしているだけ。その精度は上がってきているけれど、意味は理解していない。

現在の情報検索や自然言語処理は、基本的に論理で処理させることは当面諦めて、統計と確率の手法でAIに言語を学習させようとしています。つまり、文章の意味はわからなくても、その文書に出てくる既知の単語とその組み合わせから統計的に推測して、正しそうな回答を導き出そうとしているのです。そして、統計の元になるデータは、多くの人が日々Siriに話しかけることでどんどん大きくなり、それを用いて自立的に機械学習を重ねることで、その精度が上がっていく仕組みになっています。ただし、その精度が100%になることはありません。確率と統計には、そもそもそんな機能がないからです。
P.122

AI神話の元は人の脳も電気回路だから

確かに脳みそが電気回路である以上、人間も世界を0と1に還元して認知、思考しているはずなんだけど、そのメカニズムはわからない。
わからないけど似たようなメカニズムが作動しちゃうことって有り得ないのかな、と
素人は思ってしまうが、、、、。

脳のシステムはある種の電気回路であることは間違いなさそうです。電気回路であるということは、onかoffか、つまり0と1だけの世界に還元できることを意味します。基本的な原理は計算機と同じかもしれません。それが、「真のAI」や「シンギュラリティの到来」を期待させている一面はあると思います。けれども、原理は同じでも、脳がどのような方法で、私たちが認識していることを「0,1」の世界に還元しているのか。それを解明して数式に翻訳することができない限り、「真の意味でのAI」が登場したりシンギュラリティが到来したりすることはないのです。
P.165

AIに勝てそうな分野の知性が低い

今の子どもたちは教科書が性格に読めない。読解力がない。
これはもう悲惨な現状といわざるを得ない。

「同義文判定」にしても「定義から具体例を考える」にしても、中学生の半数以上がサイコロ並みなのです。そして、高校に入った後は、その能力は伸びていないのです。
P.258

サイコロ並み、つまりまったく役に立たないということ。
サイコロ回してこれかな?って答えてるのと同じレベルの精度。

私たちのRSTの全国調査で明らかになったのは、日本人の決定的な教科書読解力の不足です。読解力こそ、AIが最も苦手とする分野であることは、この本の中で再三述べてきました。しかし、残念なことに多くの人が、AIに対して優位に立てるはずの読解力で、十分な能力を身につけていません。さらに、日本の教育が育てているのは、今もって、AIによって代替される能力です。
P.272

上記のような状況なので、このままだとどんどんAIに代替されてしまう。
読解力と偏差値は非常に高い相関があることもわかっているらしい。
英語でもプログラミング教育でもないのよ、大多数に必要なのは読解力。

統計、確率万歳という盲信は危険

データの特徴を増幅させるからね、そのデータの特徴に上位集中したりするんだよね。
レコメンドエンジンが売れてる商品ばかりお勧めするのと同じような感じ。
決して正しくも万能でもない。
(それでも読解力のないサイコロ並の人間よりはマシかもしれないが・・・・)

自動車保険や生命保険の保険料、就職活動で面接まで辿り着けるか否か、教員の解雇の基準、さらには容疑者が再犯をしそうかどうかまで、ビッグデータ解析が使われ、人間の判断の「支援」をしています。それは数学に基づく「客観的な評価」だと信じられています。ですから、多くの人は、機械による統計的な判断に疑問を持つことなく受け入れてしまいます。けれどもそれは大変危険な行為です。
なぜでしょうか。(中略)ディープラーニングのような統計的なシステムでは、「教師データ」に基づき過去のデータを分析して判断しているに過ぎません。「過去の判断」を踏襲するだけなのです。社会が歪んでいれば、その歪みを増幅してしまう。教師データの設計者の価値観が正解データやアノテーションの設計に反映されてしまうのです。数学者に女性が少なければ、「将来つくべき仕事」として、ビッグデータに基づくAIは女子高校生に対して「数学者」という選択肢を決して推薦しないでしょう。
P.284

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

「働かざる者、食うべからず」でも、「寡婦と孤児は庇護すべし」 波頭亮/AIとBIはいかに人間を変えるのか

これもあのNews Picks Bookシリーズの1冊なんだけど、
他のに比べると普通の本だから、あんまり人気ないみたいね。

たぶん、ここに書かれていることは1年ごとに古臭くなっていくんだと思う。
でもこの界隈の議論の元になる基礎情報とか抑えておくには便利な本って感じ。

ニューロンの数

しかしその一方で、「グーグルの猫」のニューロンの数が10億に達しているとはいっても人間の脳のニューロンの数は1000億以上であり、それらのニューロンを繋ぐシナプスに至っては100兆に達する。物理的な実装を伴うCPUなどの演算装置を作ろうとすると、こうした人間の脳の途方もない巨大さはAIにとって高いハードルとなる。AIが人間並みの認知や判断、思考をおこなえるようになるにはまだまだ先は長いというのも事実であろう。
P.52

これを見たときはへーって思いつつも、物理的な量の問題であればそれは時間の問題じゃないか、とも感じた。
AI vs 教科書が読めない子どもたちの著者の新井紀子さんは、もっと根本的な問題として
AIは「言葉の意味を解さない」という限界があると言っていた。
計算機である以上、論理、統計、確率、で語れないものは処理できないという限界があるのだ、と。
ニューロンの数が増えれば勝手に乗り越えられる問題なのか、そうではないのか、気になるところ。

個人的には数学者である新井さんのお話は非常に腑に落ちるのでAIに興味あるなら、
そっちも読まれることをおススメしたい。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

ベーシックインカムと貧困

低所得者だけに給付する方が必要な財源が少なくて済むのだから、富裕層にまで配る必要は無い」という批判をする向きもあるが、そうした批判は妥当ではない。富裕層に対してはBIとして給付する金額以上の増税をすることによって、実質的な負担増を担ってもらえばよいだけのことである。
これは健康保険の受益と負担の関係と同じである。健康保険の保険料は、月収6万3000円未満の人は1ヶ月約5600円であるのに対し、月収135万5000円以上の人の保険料は1ヶ月14万5500円と、収入の多寡によって26倍もの負担額の差があるが、受益の方は全員同一で、実際にかかった治療費の3分の1が自己負担という制度になっている。
P.142

この話もベーシックインカムのための増税が妥当かどうかよりも、
今の健康保険ってこんな金額で差がついてるのねっていうのがわかりやすかったからメモ。
こういう色んなファクトをわかりやすくまとめてくれている本ってとても便利。

以下の数字も、自分的には驚き。

相対的貧困率(等価可処分所得の中央値の半分以下の人の割合)は2011年の時点で16.0%に達している。これはOECE平均の11.6%を大幅に上回る水準であり、日本国民の6人に1人が等価可処分所得122万円以下での生活を強いられているということになる。更に一人親世帯の子供の相対的貧困率は50.8%とOECD加盟国中で最悪である(OECD平均は31.0%)。
P.172

迫り来る貧困。
人は自分とかけ離れた環境に対して十分な想像力を持たない。
だから貧困なんて想像つかないと思うんだよね、NewsPicksに金を払える程度に収入がある人たちには。
自分もまったくわからない。
努力の足りない人らの貧困は死なない程度に生活保護でもされていて、って感じだけど、
ひとり親の世帯で貧困で学習機会を奪われて、貧困が連鎖みたいなのは、すごく良くないことだと思っている。

そこから抜け出す機会が常に提供されている社会の方がいいな、と思うのでした。

実は、「働かざる者、食うべからず」の教えが記されている旧約聖書には「寡婦と孤児は庇護すべし」という教えも記されている。
P.222

これも知らなかったんだけど、仰るとおりだと思うな。
「働かざる者、食うべからず」でも、「寡婦と孤児は庇護すべし」

信条や、価値観について語っているから、今の自分たちと否応なしに比較し、考えるきっかけになる。佐藤将之/アマゾンのすごいルール

Amazonジャパンの立ち上げメンバーが語るAmazon本、ということで手にとってみたのだけど、これがすこぶる良い。
何かこう、大上段に構えた戦略とかそういう話じゃなくて、
会社の中で当たり前のように回っていたこととか、
どういう価値観で動いていたのか、とか、
そういう話が随所に出てくる。

なんかそういう話の方がリアルで学びも多いんだよなぁ、と。
なので、これすごくおススメの1冊です。

なんか、色々読みながら考えさせられるんですよね、それはきっと
信条や、価値観について語っているから、今の自分たちと否応なしに比較してしまう。
そんで出来てないことたくさんあるな、って思ってしまう。

そういう考えるきっかけを与えてくれる本は素晴らしい。
だから、この本はマネージャー層が読むと、とても良いきっかけになる気がする。

アマゾンのすごいルール

アマゾンのすごいルール

階層や決裁者の少ない組織編制

オペレーションやリテールなど各部門に専任のHRやファイナンスがあります。ですから、人やお金の話を、人事や財務としっかり詰められます。そして、お金を例にすれば、「オペレーションのほうで倉庫を新設したいのはわかるけど、リテールのほうで新しいサービスを始めるので・・・・・・」といった影響は受けずに済むわけです。
P. 24

これは、本当にすばらしい組織だな、と。
この辺の仕切りをうまくやらないと、部門間調整に明け暮れて、皆やりたいこと、やるべきことが
しっかり進まない状況になってしまう。

しかも、そういう調整をする時って、どうしたって売上に直結するところばかりが見られがちで、
オペレーションとか裏方は後回しにされがち。
でも、本当はそれじゃいけないんだよね。

それぞれの部門がそれなりに自立した決裁で進んでいくようにしないとなぁ、と
システム開発の予算配分などで最近よく悩まされるのです。

クリスマスの特別感

これは単なるメモなのだけど、クリスマスの本気度が違うよって話。
本場の気合の入れ方は日本とは段違い。プレゼント10個あげたりするらしい。

子供が数人いる家庭が「1回のクリスマスで100万円使う」というデータは、きわめて妥当な数字のように思えます。
P.31

でも、文化ってそういうもんだし、そういうのって現地での体験とか、
こういう話を聞かないと気づけないんだよね、と思うのでメモ。

アメリカにはキャンピングカーに乗って1年中旅し、ホリデーシーズンだけ倉庫などで雇われて働き、終わるとまた旅に出るーーという季節労働スタイルの人たちがたくさんいます。彼らは「ホリデーテンプワーカー」と呼ばれています。アメリカの売り手たちは、そんなふうに、さまざまな労働力をかき集めて怒濤のクリスマスシーズンを戦い、乗り切っているのです。
P.32

仕組みづくり

「善意」は働かない。働くのは「仕組み」だ
P.54

社員個々の善意を前提にしていては、規模を拡張することも、継続することも出来ない。
大切なのは、いかに仕組みをつくるかということ。
その仕組みは、規模が今の100倍、1000倍になっても機能するのか、という視点で考えること。
マネジメントが考え、行う仕事はこの仕組みづくりが最も重要。

OLP

Amazonが従業員に求めるリーダーシップ14か条が本当によく出来ている。
とりわけ共感したものを抜粋。
自分の部下たちにも教えたいな、と思った。

これ、Amazonはサイトで公開してるので
そちらで全文読めます。

www.amazon.co.jp

それにしても、素晴らしいな。

Customer Obsession
リーダーはカスタマーを起点に考え行動します。カスタマーから信頼を獲得し、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合に注意を払いますが、何よりもカスタマーを中心に考えることにこだわります。
 

Ownership
リーダーにはオーナーシップが必要です。リーダーは長期的な視野で考え、短期的な結果のために、長期的な価値を犠牲にしません。リーダーは自分のチームだけでなく、会社全体のために行動します。リーダーは「それは私の仕事ではありません」とは決して口にしません。
 

Are Right, A Lot
リーダーは多くの場合正しい判断を行います。強い判断力を持ち、経験に裏打ちされた直感を備えています。リーダーは多様な考え方を追求し、自らの考えを反証することもいといません。
 

Learn and Be Curious
リーダーは常に学び、自分自身を向上させ続けます。新たな可能性に好奇心を持ち実際に追求します。
 

Think Big
狭い視野で考えてしまうと、大きな結果を得ることはできません。リーダーは大胆な方針と方向性をつくり、示すことによって成果を導きます。リーダーはお客様に貢献するために従来と異なる新たな視点をもち、あらゆる可能性を模索します。
 

Bias for Action
ビジネスではスピードが重要です。多くの意思決定や行動はやり直すこともできるため、大がかりな分析や検討を必要としません。計算されたリスクをとることも大切です。
 

Earn Trust
リーダーは、注意深く耳を傾け、率直に話し、人に対して敬意をもって接します。たとえ気まずい思いをする事があったとしても間違いは素直に認め、自分やチームの間違いを正しいと言ったりしません。リーダーは常に自分たちを最高水準と比較、評価します。
 

Dive Deep
リーダーは常に各業務に気を配り詳細も認識します。頻繁に現状を確認し、メトリクスと個別の事例が合致していない時には疑問を呈します。リーダーが関わるに値しない業務はありません。

Have Backbone; Disagree and Commit
リーダーは、賛成できない場合には、敬意をもって異議を唱えなければなりません。たとえそうすることが面倒で労力を要することであっても例外ではありません。リーダーは、信念をもち、容易にあきらめません。安易に妥協して馴れ合うことはしません。しかし、いざ決定がなされたら、全面的にコミットして取り組みます。
 

Deliver Results
リーダーは、ビジネス上の重要なインプットにフォーカスし、適正な品質で迅速にそれを実行します。たとえ困難なことがあっても、立ち向かい、決して妥協しません。

OLPが現在の14か条にまとまる過程で消えていった言葉もあるらしい。

消えていったものの中で私が好きだった1つは、「Roll Up Sleeve」。直訳すれば腕をまくるという意味ですが、「誰か困っている人がいたら、自分が手伝うよ」というメンタリティーのことを指します。
P.134

上司の役割

部下のパフォーマンスを引き出して、最高の結果を生む、その演出全てが上司の役割。
自分が手を動かそうとしちゃう人はそれがわかってないことが多いよね。

アマゾンの昇進プロセスは、上司の推薦からスタートします。ですから、上司の重要な役割の1つは、「推薦状に書けるような実績を部下に積ませること」です。
私はよく自分の部下であるリーダーたちに、このように説明していました。
「君たち上司の役割は、舞台演出のようなもの。それぞれが演じる演目を用意し、それに合わせた舞台を用意し、俳優である部下たちに最高のパフォーマンスをさせてあげて、多くの人々に認めてもらうことだ」と。
P.121

アマゾンのすごいルール

アマゾンのすごいルール

Amazonがしていることを押さえておけば、かなり多くの領域の先端事例に触れられる。 成毛眞/世界最先端の戦略がわかる amazon

とりあえず、買って読んどけって言う本。
著者が言う通り、amazonがしていることを追いかければ、最先端の戦略、事例が見えてくる。
それはECだけではないし、さらに言うなら小売業界だけの話でもない。
クラウドだけでもないし、人工知能だけでもない。
その領域は特定のジャンルにとどまらず、全て突っ走ってる企業だから。

断片的な情報はニュースになっているけれど、
改めて丁寧にまとめられている本書を読むと全体感が見えてくる。

気にして色んな動向をウォッチしている方だとは思うけれど、
それでもこういった形でまとまったものを読むのは有意義だな、と言うのが読後の素直な感想。
とても便利な本なのである。

amazon 世界最先端の戦略がわかる

amazon 世界最先端の戦略がわかる

あらゆる領域で圧倒的に強い

もし、amazonへの富の集中が規制され、分割されたら、って言う文脈で、
ウォール・ストリート・ジャーナルの人が呟いたジョークが面白い。

アマゾンが2025年に分割されるとしたらどうなるだろう。商取引、ウェブサービス、メディア、物流サービス、人工知能(AI)、ゲノム解析・・・・・・分割しても(それぞれの領域で)独占か。
P.55

本当にそうなりそうと思わせるほど、今現在あらゆる領域で先頭集団にいる。
だからこそ、彼らの動向を把握していくことはこの先に起こるであろう変化を推測することに通じる。

物流メモ

年間宅配数の内、再配達される品物は2割ほどだと言われている。数としては、7.4億個に達する。再配達だけで、年間9万人、時間にして1.8億時間が費やされ、そのコストは2600億円にもなる。再配達は、ネット通販会社がこれから解消しなければならない大きな課題だ。
P.98-P.99

こう言う定量的な数字はメモしておくと何かと便利だよね、本書の本質とは関係ないけど、
こう言うのもとても便利な本だなという印象。

ADRS知らなかった!

Amazonダッシュ、とかダッシュボタンは知ってたけどADRS(アマゾンダッシュリプレニッシュメントサービス)は知らなかった。
ダッシュの機能が内蔵された機械で、消耗品がなくなってくると自動でアマゾンに注文するらしい。
洗剤きれそうになったら、届く、とか、プリンタのインク切れそうになったら、届く、とか。そういう感じ。

すでに米国ではそういうプリンタや洗濯機が出ているらしい。
それがスタンダードになったら、すごいね、確かに便利だけど、ものすごい囲い込みだなぁ。

おまけ

この本に興味がある人はアマゾンのすごいルールもおすすめ。

アマゾンのすごいルール

アマゾンのすごいルール

どういった組織でどういった価値観で動いているのか、
中の人だったからこその具体性を持って語ってくれている本。
ものすごく勉強になったんだよね、これも。

amazon 世界最先端の戦略がわかる

amazon 世界最先端の戦略がわかる

出版業界が生んだ名物編集者は文芸担当のような作家つき編集ではなくビジネス書から生まれたってのが今の時代を象徴してる。 箕輪厚介/死ぬこと以外かすり傷

出版業界が生み出したスター編集者、箕輪厚介の処女作。

ビジネス書というか、エッセイというか、そんな感じ。
彼自身が様々な著者と仕事をした上で自分のものにしてきた
マインドセットみたいなもんをまとめた本て感じ。

死ぬこと以外かすり傷

死ぬこと以外かすり傷

彼のサロンとかもそうだけど、
このままじゃダメだ、とか、何か行動したいと思うんだけど、
なんてモヤモヤを抱えている人たちには
場や機会を提供してあげることが刺さるんだなぁ、と。

信者ビジネスなんて揶揄されるけど、
それだけで切り捨てるような話じゃないと思うんだよね、オンラインサロンて。
まぁ信者っぽさも無くはないけど、それだけじゃない感じがした。

出版業界には昔から名物編集者ってのがいた。
幻冬舎見城徹なんてその筆頭だったわけだよ。

そして一昔前だと、名物編集者は文芸系の編集者が多かった。
集英社の鳥嶋(マシリト)さんは漫画だけど。

で、箕輪氏はというと彼は文芸編集者でも漫画編集者でもない。
なんならいわゆる作家を担当する編集者じゃない。
彼は、ビジネス書出身。

僕はこれがとても面白い。

今の時代、創造的なクリエイターは新しいサービスとか作って運営してるんだよなぁ、と。
News Picks Bookの著者のラインナップとかも時代の先端で今まさに戦っている才能って感じがする。

この今、すげー頑張ってる人たちを切り取るっていうのがありそうでなかった。
エスタブリッシュなすごい人たちではなくて、現在進行形の人たち。

成功して上がりな人の回想ではなくて、今めっちゃ全力で走ってる人たちの語り。

そういった才能に寄り添って本を編集する箕輪氏はまったくもって編集者だよなぁ、と。
なんか業界の人ほど彼をイロモノ扱いしたりするけど、ものすごく正当な編集者の系譜の中にいる気がするよ。

マインドセット的な煽りとかはとりあえず置いといて、
以下の部分は本当にそういう世の中だよなと思ったのでメモ。

昔のように家族で同じテレビ画面の前に座り、会社や学校で昨日の番組について話題にすることはなくなった。今の人はスマホという小宇宙の中で生きている。スマホは飼い主が見たいものしか差し出さない。ゲームが好きな飼い主にはゲームを、ゴシップが好きな飼い主にはゴシップを。バカはますますバカになる。
P.59

賢いやつはすぐに世界が広がるし、バカはますますバカになる。賢いやつも、バカも両方ドライブかかっていく構造になってるよね。
だからこそ格差は加速度的に開いていく。

そういう世界でどう生きるのか、を突きつけてるんだよ、この本は。

死ぬこと以外かすり傷

死ぬこと以外かすり傷

今年出た小売業界関連本で圧倒的ナンバーワンだよね、これ。ダグ・スティーブンス/小売再生 リアル店舗はメディアになる

ECが発達し、必ずしも店舗に行かなくても物が手に入る時代。
リアル店舗の役割はどう変化し、どんな可能性があるのか。

豊富な事例や最新の数字をもとに小売の未来を考える本。

学びが多すぎてびっくりした。
名著だよ、これ。

小売再生 ―リアル店舗はメディアになる

小売再生 ―リアル店舗はメディアになる

アリババすげーって話

2016年11月11日、独身の日に突入した最初の1時間だけで、アリババは何と50億ドル(約5500億円)を売り上げた。表記間違いではなく、確かに50億ドルである。しかもたったの60分間で。
P.40

これ流通額も凄いけど、Googleさん主催のセミナーでゲストに来ていたアリババの人が、
バナー制作のAI化の話をしてたんだよね、これがまたスケールがぶっ飛んでいて衝撃だった。

バナーのデザインとかを機械学習させて、AIによる自動バナー作成を実用化しているという話で、
圧倒的な人海戦術が取れそうな中国で、圧倒的に効率化が進められているという衝撃。
アプローチが正しすぎるし、日本どうすんだって思ったよね。

chinapass.jp

そしてもうこのECの勢いは止められない。

コミュニティとFacebook

Facebookでコミュニティは作れないよって話。

そこにコミュニティはない。「フェイスブック上にコミュニティを築く」という考え方があるようだが、フェイスブック上で息の長いコミュニティづくりに成功したブランドを未だかつて見たことがない。(中略)投稿にたくさんの「いいね!」がついたり、コメントやシェアの対象になったページがいくつもあったとしても、それはコミュニティではない。
P.74- P.75

直球のFacebook批判なのだけど、さもありなん、という気がする。
コミュニティは重要なキーワードで、ブランドとファンのコミュニティの育成は、
重要なテーマであり続けると思っているんだけど、
それを作りたいなら、その場所はFacebook上じゃないんだよってこと。

あと、もう行き過ぎたデジタル・マーケティングも問題だよね、と。

飲料大手のペプシコ社長、ブラッド・ジェイクマンは、「デジタル・マーケティング」は愚か、「広告」という言葉も忘れるべきだと言ってはばからない。現に、広告という考え方自体、人々が目にしたくないもので、世の中を「汚す」行為を前提としているとジェイクマンは言い切る。
P.79

買い物体験の肝は確実性と偶然性の絶妙なバランス

猿が簡単な作業をするとご褒美がもらえる、という実験で、もっともドーパミンが出たタイミングはどこか、という実験。

猿がご褒美を受け取ったときに脳内のドーパミンが最高レベルに達すると仮説を立てていた。ところが、実際はそうではないことがわかった。(中略)言い換えれば、脳内でドーパミンが放出されるのは、ご褒美そのものではなく、ご褒美への「期待」だったのである。
ここから話はさらに面白くなる。作業をした後にご褒美が毎回必ず与えられた場合、ドーパミンのレベルは平均的になった。ところが、ご褒美が与えられる確率が100%未満になったとたん、サルのドーパミンのレベルが上昇したのである。そしてご褒美が与えられる確率を50%にしたところドーパミンは最高レベルに達したのである。
P.160-P.161

小売業の自滅

消費者が小売を殺そうとしているのではない。小売業者が小売を殺し、消費者はその犯罪の瞬間に立ち会ってしまった無実の目撃者に過ぎない。小売業者が短絡的に売り場面積当たりの売上高に気を取られている限り、買い物客は幻滅させられ続け、小売業者は泥沼にはまっていくのである。
P.182

売上は皆あげたいのだけど、売上高自体をKPIにするとなんかおかしなことがたくさん起きてくる。
意図していようがいまいが、シナジーを生んでいる組み合わせが多々あると思っていて、
画一的なKPIで視野狭窄に陥ると全体最適が損なわれやすいってことをもっと自覚するべき。

売上高は、様々な要因の結果であって、後からついてくるものなんだよね。
売上高につながる要因を、要素を整理して、それらの指標をKPIにしたほうがなんぼかマシなものが出来上がる。

未来型の小売事例として、キッチンやバス、アウトドア用品などを実際に試してから購入できるパーチという店を紹介している。

パーチのスタッフには多種多様な経歴の持ち主が揃っている。製品知識よりも性格を重視している。ムラドによると、製品知識は後から勉強すれば得られるが、顧客を喜ばせる姿勢は不可欠だ。「きちんとした社風、しっかりとした舞台と体験があれば、小売は面白くなります。『売り場面積当たりの価値をどうやって計算するか』なんて話とはまるで違うんです。
P.201

未来のショッピング体験

▶︎身体的な関わり合いや五感に訴える様々な働きかけを通じて、魅力ある明確なブランド・ストーリーを伝える。
▶︎没入型の環境で実際に体を動かして製品を体験できる機会を提供する
▶︎客の話を聞きながら、製品、サービス、別の購入候補などを網羅するブランドのエコシステム全体に誘う入り口の役割を担う

ここで商品販売について全く触れられていない点に注意していただきたい。もちろん、将来の小売スペースがモノを売らないと言っているわけではない。だが、実店舗内での商品販売は優先事項でなくなるのだ。むしろ、あらゆる販売拠点や販売チャネルでの販売促進につながるような効果的な体験空間づくりこそ、店舗のゴールになる。
P.184

店舗はただの販売スペースではなくなる!

現にイェルプでは、パーチの評価スコアが各地にあるフォーシーズンズ・ホテルのスコアを上回っていると即座に付け加えるあたりから、同社の強豪に対する考え方が垣間見える。つまり、パーチにとって競合とはホームデポやローズといった大手ホームセンターではないのだ、真の競争相手は、分野に関係なく、市場で圧倒的な体験を売りにしている会社なのである。
P.202-P.203

そして、体験こそが価値を持つ。

デジタルとコマース

「そもそもみんな朝から晩まで携帯電話を使っているのが現実です。そんな人々が店に来た時だけ突然使うのをやめると思いますか?」
P.224

だから店舗の中でも携帯を使うことを前提に店舗での体験をより良いものにするためのアプリを用意してるんだって。セフォラの事例。

本当は、誰もデジタル体験など必要としていないのである。小売業者が取り組むべきは、独自性とインパクトと価値のある体験を作り出すことなのだ。そのなかには、支援や実現にデジタル技術が「利用できるものもありうる」というだけの話だ。小売業界の経営者は、デジタルの欠如を問題と騒ぎ立てるのではなく、自社が展開するほとんどの店舗には目を引くような体験が欠如していることを憂え、対策を講じるべきなのだ。
P.303

小売再生 ―リアル店舗はメディアになる

小売再生 ―リアル店舗はメディアになる