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一見無駄に見える一定の不確実性も抱えておくことは、1周回って合理的なことなのだ。 佐藤航陽/未来予測の技法

タップスの社長佐藤航陽の著作。
『お金2.0』の影に隠れてあまり目立たないけれど、
こちらもコンパクトでわかりやすい良書。

国家の概念も揺さぶられる

国境を越えていく超巨大な多国籍企業や、
ビットコインなどの非中央集権的、分散型管理の通貨などが出てくると、
国家の概念自体が揺さぶられてくる。
社会課題も民間でどんどん解決されていき、資金の流動性もどんどん高まっている。
やりたいことがある人は資金をどんどん集めやすい社会になってきている。

銀行に借りずとも、ベンチャーキャピタルなどの投資の枠組みもあるし、
クラウドファンディングなどで自ら調達する道もできた。

そうなってくると国の役割って??
すでにAmazonから徴税できない問題とかも起きているし、
国の力が及ばない領域は出始めてる。

未来予測の難しさ

「飛行機の実現までには百万年から一千万年はかかるだろう」
ニューヨーク・タイムズがこの記事を掲載してわずか数週間後、ライト兄弟は人類で初めて空を飛び、この予測を覆しました。
P.44

人が未来を見誤る典型的な事例だけど、派手に見誤っていて、現代から見ると滑稽なケース。
当時の人でさえ、このずれを笑ったそうだが、笑った人々もまた宇宙船の実現は夢のまた夢だと思っていたという。
それくらい、未来の予測は難しい。
しかも、現代はインターネットによって情報と資本の流動性が一気に高まり、
信じられないくらいのスピードで社会が変化していっている。

いかに現代が変化の早い時代かはフリードマンの『遅刻してくれてありがとう』でも
冒頭から非常に強調されていた事実だ。

digima.hatenablog.jp


ただ、その一方で、人の行動、意思決定は俯瞰してみると、
びっくりするくらい似通っている部分もある。
データを分析していくといくつかのパターンで認識されてしまうほど。

なので分析→パターンを認識→寄せていく、というやり方で
やりながら自ら変化していくことがビジネスでは有効。

合理性vs 不確実性

広告配信の最適化を例に、人によるマニュアルの運用とシステムによる最適化のどちらが
優れた成果を出すかという話は、非常に面白い。
というか、実際自分たちもやってきた道なので象徴的なエピソードであり、かつ、真実だな、と思った。

システムは膨大なデータから人では予測し得ないパターンを見つけ出し、最適化していく。
それは短期間ではシステム優位の成果を出す。
ただ、次第に効率はよくても母数が取れなくなってくる。
そして長期的には再び人が逆転するという結果に。

「最適」な配信しかしないことを突き詰めていくと、配信対象の母数が減っていくのだ。
顕在化したニーズの中で確度の高いものは見極められても、
需要自体を喚起するような行動はとれないということ。

というわけで、あまりにも短期的な合理化や最適化を進めると、
いかに危険かというお話。

「今」に最適化しすぎる思考は事業を滅ぼす。
一見無駄に見える一定の不確実性も抱えておくことは、1周回って合理的なことなのだ。