ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

情報が網羅的に整理されていて便利だけど面白くはないんだよね。 ユルゲン・メフェルト/デジタルの未来

世界中の企業が直面しているデジタルの変革。
デジタル・トランスフォーメーションをどのように成し遂げ、
デジタルとどう向かい合っていく必要があるのか。

デジタル化するかしないかはもはや選択肢ではなくて、
デジタル企業へ生まれ変われなかった企業は無くなるだけなんだよ、と。

世界中の一流巨大企業をクライアントに持つマッキンゼー様が、
グローバルでの変革事例と、学びを開陳してあげるから、
よく見て学びたまえよ、という本。

コンサル会社が開陳する情報やデータなんてすでに彼らにとって
なんの価値もなくなった情報に過ぎず、
平たく言えばやや古い話を綺麗にまとめた本とも言える。

だもんだから、正直そんなに面白くないんですよ。
網羅的で整理されていて正しいことがまとめられているんだけど、
別に面白くはない、ってコンサルそのものみたいな本だな。

なんというかこうさっぱりしていて、
頭にも入ってこないのよねぇ。

なんていつもマッキンゼーの本とは相性が悪いのだけど、
それでも情報は網羅されてるから気づけることは多いのかもしれない。

デジタルの未来 事業の存続をかけた変革戦略

デジタルの未来 事業の存続をかけた変革戦略

データ分析から規格統一で膨大なコスト削減へ

シェールガスの採掘費用にはかなりばらつきがあったのだけど、
データを収集、分析してボーリングの筒のデザインなど、様々な要素を整理していったら、
掘削の穴1つあたり70万ドルのコストダウンができたらしい。
採掘の穴は1300あるからこれだけでほぼ10億ドル。

単位がデカい。。

eSIMとモバイル事業

スマートフォンをめぐるハードウェアメーカー VS 通信事業者の主導権争い予想。
今盤石な大手キャリアもいつ、ゲームのルールをひっくり返されて転落するかわからない。

まだまだそういった大変革が起こり続けていくんだろうな、と思うと楽しみではあるけれど、大変な時代だよね。

将来的には彼らは自社のスマートフォンにeSIMを搭載して接続事業者をあらかじめ決め、顧客はクリック1つで事業者を変更できるようになる。それはハードウェアのメーカーが回線容量とインフラストラクチャを市場で買い、通信事業者は退場させられる、という構図を示唆している。
P.166

デジタルの未来 事業の存続をかけた変革戦略

デジタルの未来 事業の存続をかけた変革戦略

業界のダメなところ、おかしいところを正しくやるだけで成功するよというお話。 平山真也/成功に奇策はいらない アパレルビジネス最前線で僕が学んだこと

斜陽産業と言われるアパレル業界で、
躍進を続ける Dickies(ディッキーズ)を率いる著者の仕事論。

成長しないのが当たり前という諦めムードが業界全体に漂う中、
アパレルでも成長はできるんだ、ということを語っている。
むしろほとんどのアパレル企業はやるべきことをやらずに
嘆いているだけだ、と。

成功に奇策はいらない――アパレルビジネス最前線で僕が学んだこと

成功に奇策はいらない――アパレルビジネス最前線で僕が学んだこと

実際に、行っていることは本当にシンプル。
どんなブランドでありたいのかを考える。
ブランドの価値を毀損するようなセールはしない。
販売員の地位を向上する。

と言った、言葉にするといたって普通のこと。

特に販売員の待遇は日本のアパレル業界は最悪。
キャリアが10年あっても給料が25万円程度で安く使われ、
厳しい売り上げノルマを課せられて、
達成しないと自ら補填させられる企業もあるという。

それでいてどうせセールで叩き売られる商品が並んでいて、
上代なんてあってないようなもの、なんてことになったら
まぁ、消費者もうんざりするわな。

ちなみに本書でも出てくる
ヤン・カールソン『真実の瞬間』はマジで名著。

digima.hatenablog.jp


しかしまぁ、こういう企業は素晴らしいけど、
こんな話を読んでもやっぱり業界全体が終わってる感は拭えない。
大手のアパレルももっと改革を前面に押し出せればいいのだけど、
WORLDも業績の改善のイメージだけで、
業界のいけてないところを改革したイメージとは程遠い。
意外とオンワード樫山はオフィスとかいけてる雰囲気醸し出してるけど
全体的に待遇がイケてるイメージはまだまだ。

もう少し時間かかるのかな。

成功に奇策はいらない――アパレルビジネス最前線で僕が学んだこと

成功に奇策はいらない――アパレルビジネス最前線で僕が学んだこと

売る前提で買うという消費行動を喚起した日本発のユニコーン企業のルポ 奥平和行/メルカリ

日本のスタートアップ史上稀に見るユニコーン企業となったメルカリのルポ。
試行錯誤と紆余曲折が語られているけれど、本当はもっとジェットコースターみたいだったんだろうな。

メルカリという名称はラテン語で市場を意味するってのも本書を読んで初めて知ったんだけど、
こういうトリビアは好物だったりする。

それと、本書を読んで本当にグローバルで勝負しようとしているんだという決意を改めて強く感じた。
頑張ってほしい!


メルカリ  希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

世界一周

創業者の山田さん、ウノウが買収されてその後退職してから、世界一周旅行に行っている。
本書によると、世界一周旅行に強い代理店があるらしい。

あー、自分も行ってみたいなぁ、と素朴に思ってしまった。

そしてググってみたら、、、、結構ある。
そして見てたら行きたくなってしまった。

世界一周堂
https://www.sekai1.co.jp/

メルカリ山田進太郎コースとかあったら面白いね。

そういえば本書でも触れられているけれど、
山田さんはずっとブログを書いていたそうな。
調べてみたら今でも書いてる。

suadd.com

Twitterはこちら。

twitter.com


メルカリが変えたもの

「再販を前提にきれいに使ったり、購入時のタグを捨てずにとっておいたりといった行動が広がってきた。『どう利用するか』『どう廃棄するか』が重要になり、常識が変わるかもしれない」
P.8

とにかく手軽にものが売れる。不要なものが現金化できる。
売る前提で買う、という消費行動が増えてきているということ。

自分もなんか売ってみようかな。

高田馬場 コットンクラブ

共同創業者の富島さんを山田さんが口説いた店として本書に登場!
なんどもいったことのある店が突然舞台になっていると面食らうね。

カフェ コットンクラブ 高田馬場
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-17-14 陽栄高田馬場ビル B1~2F
2,000円(平均)1,000円(ランチ平均)

シリコンバレームラ社会

シリコンバレーは開放的なイメージを持たれがちだが、完全な「コネ社会」「ムラ社会」だ。有益な情報、優れた人材に出会うためにはインサイダーにならなければいけない。
P.185

実は閉鎖的。
福満しげゆき的に言うならばコネコネ社会である。

いや、でもそれって合理的なんだよね。
信用している人の紹介ほど確実なものはない。

紹介された人は紹介してくれた人の信用を背負っている。
何かあればその人の顔を潰すことになるから下手なことはできないし、
下手をすればそんな奴とは思わなかったと自分がぶった切られる。
それが信用の世界。

わざわざ紹介してもらえるのは信用してもらってるから。
逆もまた然り。
信用している相手に対して自分ができることなら力になってあげたい。

でも信用を失うと、そう言うルートが閉ざされる。
信用を失うのは一瞬なので、気をつけないとね。。


メルカリ  希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

一見無駄に見える一定の不確実性も抱えておくことは、1周回って合理的なことなのだ。 佐藤航陽/未来予測の技法

タップスの社長佐藤航陽の著作。
『お金2.0』の影に隠れてあまり目立たないけれど、
こちらもコンパクトでわかりやすい良書。

国家の概念も揺さぶられる

国境を越えていく超巨大な多国籍企業や、
ビットコインなどの非中央集権的、分散型管理の通貨などが出てくると、
国家の概念自体が揺さぶられてくる。
社会課題も民間でどんどん解決されていき、資金の流動性もどんどん高まっている。
やりたいことがある人は資金をどんどん集めやすい社会になってきている。

銀行に借りずとも、ベンチャーキャピタルなどの投資の枠組みもあるし、
クラウドファンディングなどで自ら調達する道もできた。

そうなってくると国の役割って??
すでにAmazonから徴税できない問題とかも起きているし、
国の力が及ばない領域は出始めてる。

未来予測の難しさ

「飛行機の実現までには百万年から一千万年はかかるだろう」
ニューヨーク・タイムズがこの記事を掲載してわずか数週間後、ライト兄弟は人類で初めて空を飛び、この予測を覆しました。
P.44

人が未来を見誤る典型的な事例だけど、派手に見誤っていて、現代から見ると滑稽なケース。
当時の人でさえ、このずれを笑ったそうだが、笑った人々もまた宇宙船の実現は夢のまた夢だと思っていたという。
それくらい、未来の予測は難しい。
しかも、現代はインターネットによって情報と資本の流動性が一気に高まり、
信じられないくらいのスピードで社会が変化していっている。

いかに現代が変化の早い時代かはフリードマンの『遅刻してくれてありがとう』でも
冒頭から非常に強調されていた事実だ。

digima.hatenablog.jp


ただ、その一方で、人の行動、意思決定は俯瞰してみると、
びっくりするくらい似通っている部分もある。
データを分析していくといくつかのパターンで認識されてしまうほど。

なので分析→パターンを認識→寄せていく、というやり方で
やりながら自ら変化していくことがビジネスでは有効。

合理性vs 不確実性

広告配信の最適化を例に、人によるマニュアルの運用とシステムによる最適化のどちらが
優れた成果を出すかという話は、非常に面白い。
というか、実際自分たちもやってきた道なので象徴的なエピソードであり、かつ、真実だな、と思った。

システムは膨大なデータから人では予測し得ないパターンを見つけ出し、最適化していく。
それは短期間ではシステム優位の成果を出す。
ただ、次第に効率はよくても母数が取れなくなってくる。
そして長期的には再び人が逆転するという結果に。

「最適」な配信しかしないことを突き詰めていくと、配信対象の母数が減っていくのだ。
顕在化したニーズの中で確度の高いものは見極められても、
需要自体を喚起するような行動はとれないということ。

というわけで、あまりにも短期的な合理化や最適化を進めると、
いかに危険かというお話。

「今」に最適化しすぎる思考は事業を滅ぼす。
一見無駄に見える一定の不確実性も抱えておくことは、1周回って合理的なことなのだ。

当時のノルマ必達、生き馬の目を抜く野村の営業スタイルが覗き見できて超面白い。 横尾宣政/野村證券 第2事業法人部

オリンパス粉飾事件で逮捕された著者が、
実名で記した手記。

オリンパス粉飾事件に関する部分の真偽はわからんが、
まだネット証券がなかった時代の猛烈な仕事ぶりが赤裸々に語られている。

いやー、ほんとまともな神経してたら務まらんね。

野村證券第2事業法人部

野村證券第2事業法人部

推奨銘柄は本部指示でノルマ必達

本部からこれを売れと言われたら、売る。
とにかく営業して買ってもらう。
結果的にそれでお客が得するか、損するかは関係ない。
あと、いくらこれを買わせる、あるのはそのノルマのみ、って感じ。

個人で数億円運用してたって歯牙にもかけられない。

野村は手数料商売でとにかく売買してくれないと儲からない。
このコミッションを得るために細かな値動きで売買させまくる。
同じ銘柄を買ったり売ったり、買ったり、売ったり、
そんなことしてても手数料で野村が儲かるだけだと顧客がクレームをつけても、
出来高作るのが大事なんだと一喝されたりしたらしい。

顧客へ発送された運用報告書を顧客の郵便ポストの前で待ち受け、
顧客の手に渡らないように破り捨てる、とかもただただ苦笑いしかない。
(↑記載されている損失が気づかれないようにw)

そんなはちゃめちゃな世界がのぞき見できるのはめちゃくちゃ面白い。

後半は裁判絡みの話が多くてつまらん。
でも前半は最高の回想録だね。

野村證券第2事業法人部

野村證券第2事業法人部

ファクトリエのまともさにむしろアパレル業界の異常さが際立つ 山田敏夫/ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

ファクトリエの山田さんの本を引き続き。

黒子として表に出ることのなかった工場との連携、
価格も工場に決めさせ、セールなし。

それも全て、日本発の真のブランドを作りたいから。
ヨーロッパのブランドは職人に支えられている。
でも日本の工場の地位は低い。

その構造から変えたいと奮闘しているのがファクトリエだ。

日本のアパレルがどんどんつまらなくなってきている昨今、
こういう企業は応援したくなる。

山田さん自身はファッションウォーカーで働いていたことがあるらしいというのも驚き。

本書は山田さんの思いがつまっている。
言ってること、やってることはすごく真っ当なんだよね。
ファクトリエのまともさにむしろアパレル業界の異常さが際立つ印象。

ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

行動だけは自分で決められる

ウォーレン・バフェット氏の投資先を決める基準が書かれていました。彼が判断を下す基準は、「自分で決めたことをやる人間か」というたった一つなのだそうです。
P.33


出典がなんなのかはわからないけれど、自分との約束を守るというのはシンプルだがとても難しいこと。
でも基本中の基本でもある。強い意志と行動力、やりきる力。
最終的には行動が全てなんだよなぁ。行動しなくては何も変わらん。


アパレル業界の実態

皆さんは、Tシャツを1枚つくるのに、2720リットルの水が必要だとご存知でしょうか?
P.156

あらゆる業界で2番目に水を使うのがアパレル業界で世界の排水量の20%はアパレル産業らしい。

今、日本には年間27億点の服が供給されています。一方で年間消費点数は13億点。
P.159

実に半分以上が余剰在庫。
どう考えても業界全体で供給過多。
セール販売と廃棄を前提とした流通になってしまっている。
これはどう考えても業界の構造がおかしい。


ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

アパレル業界は変われるのか・・・ファクトリエの試みに期待。 山本典正・山田敏夫/メイドインジャパンを僕らが世界へ

日本酒界のホープ、平和酒造の山本さんとアパレル界のベンチャー、ファクトリエの山田さんの対談。

お互いの共通点は、メイドインジャパンの真のブランドを作り、世界へ届けること。

ファクトリエの山田さんは思いで突っ走ってる感じがすごい。
アパレル生産の国産比率は3%、国内の工場は次々に潰れている中、
真のブランドを作ろうと立ち上がる。

が、工場を巡り直談判しても門前払いされることも多かったという。
アパレル業界でこのチャレンジはすごい。

メイドインジャパンをぼくらが世界へ

メイドインジャパンをぼくらが世界へ


*ファクトリエと工場の取引
半分は一旦工場が在庫リスクをもつ仕組み。
黒子に徹してきた工場に自分たちで自分たちの商品を売る、という意識を持って欲しいという試みでもあるらしい。

作るのは最低ロットでいいと言っています。工場にあまりリスクを負わせたくないということがあるからです。彼らにしても、自分たちのブランドで売れるかどうか心配じゃないですか。だから、三十枚でも、極端な話、十枚でもいい。そのうちの半分をぼくらが買い取るということです。
P.142

結局ファクトリエ側の在庫が売り切れれば、余った工場の在庫は引き取るらしいので工場側のリスクは少なめ。
ちゃんと工場に儲けが残る値付けをしてもらい、胸を張って勧められる商品を作ってもらう。
セールはしない、正価で売り切る。

歪みきったアパレル業界の中で、非常にまともなビジネスを始めてる。
周りが歪んでいる分、正しさが際立つし、成功して欲しい。


職人の立場

フランスに行ったときに職人、例えばワインの作り手、料理人、手工業に携る方たちは、アーティスト扱いなんですよ。ものづくりをする人たちに、フランス国家最優秀職人章(MOF)という日本でいう人間国宝みたいなものがどんどん与えられていて、MOFの職人たちを国民がスターのように思っていて、いろいろなところからひっぱりだこという状況があるんですね。
P.179

日本の人間国宝はあげるのが遅すぎるきらいがある。
もっといろんな分野でさっさとあげて、スターにしたほうがいい。
後継者がいないで職人の技術が失われるなんてちょっと国の損失なんじゃないの。
ビジネスとして成立しないものは淘汰されるべき?
いやいやいや、成立するような仕組みを整えてあげることも大切なのではと思う部分はある。
なんか文化を育てることが苦手なのかな、とすら思う、この国は。

メイドインジャパンをぼくらが世界へ

メイドインジャパンをぼくらが世界へ