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本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

とにかくリアリティのある最高のリーダーシップ本。悩めるリーダーや管理職はこれを読め!! スティーブン・マーフィ・重松/スタンフォード式最高のリーダーシップ

スタンフォード大学で人気のリーダーシップに関する講義を書籍化したものらしい。
基本的にリーダーシップ系の本は山ほどあるけれど、
しっかりと見極めないとかなり玉石混交で、
ヒドイのだとただの自己啓発本みたいなやつも多い。

その点、これはスタンフォードの講義がベースになっているので、安心っちゃ安心。

で、実際読んでみたら数あるリーダーシップ本の中でも
かなり誠実、というかリアリティのある内容だな、という感想。

部下を持ち、管理職になって、これからマネジメントやリーダーシップに関して
学ぼうとする人には是非お勧めしたい。

本当に学びの多い1冊でした。

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

そもそも部下はリーダーに近づこうとしない

部下たちは決して、あなたに対する不満や本音を教えてくれない
(中略)
部下たちは、あなたの指示に対して、表面的には従うかもしれない。それが組織のヒエラルキーだからだ。だが、彼らの心の中で、あなたはリーダーとして認められていない。
P.39

まず、これを認識することが重要なんだよなぁ、と思うのです。
この認識の上ですべて考えないと始まらないんだよね。

チームとは感情的な生き物

集団の中で個人は変わる。つまり、育ってきた環境や教育などによる「その人らしさ」が、集団の中ではぼやけてしまうのだ。
P.56

集団心理が求めるカリスマ的なリーダーシップはある種の錯覚。
それは個々のメンバーの思考停止状態でもある。合理性ではなくカルト性で集団心理は動いてしまう。
これは人間誰しもが持つ「弱さ」でもある。

4つのリーダーシップを1つ1つ身につける

カリスマ的なリーダーシップで集団を率いていくという古い形の強いリーダーは終わり。
これからの時代は4つのリーダーシップを身につけることが重要なのだ、と。

①積極的なリーダーに必要な「個人としての土台」
→Authentic Leadership
②部下を前に出す「謙虚さ」
→Servant Leadership
③「自分の力で変えられるもの」を変えていく勇気
→Transformative Leadership
④人、もの、価値観など、様々な「違い」を理解するための知恵
→Cross-Border Leadership
P.72 - P.73

リーダーは弱さを見せてもよいが、弱さを勘違いしたリーダーはまずい。
例えば決断を下すべき時に、チームみんなで決めようと自分の意見を言わないのは、弱くてもいいと勘違いしているリーダー。

自分のことは意外とわからない

自分が思う自分と、周囲がこう思う自分、
その両方を足し合わせたものが本当の「自分」なんだという考え方。
自分が思っている自分は半面しか見えていないということ。

共感の違い

心理学の世界では共感にもエンパシーとコンパッションという違いがあるらしい。
エンパシーは泣くほど落ち込んでいる人に共感して一緒に泣く、みたいな共感。
コンパッションはわかるよ、と共感しつつも一線を引いて、客観的に見ながらアドバイスできる共感。

リーダーに必要なのはコンパッション。
リーダーがエンパシーでは共倒れになるだけ。

滅私型リーダーの思わぬ低評価

自己犠牲的なリーダーはこんなに頑張っているのに、とチームに対しても不満を募らせていく。
チームとリーダーに対立構造が出来てしまうとお互い努力すればするほど分断が進んでしまう。
まじめな人ほどこのパターンに陥りやすい。

またチームに対して自己犠牲しながら働くプレイングマネージャーは次第に自分の成果が出せなくなる。
そうなると、なんであんな人が上司なのか、とさらに部下から突き上げをくらう。
これが自己犠牲型プレイングマネージャーの負のスパイラル。

こういう事例をちゃんと紹介するのもすごくリアリティがある。
いちいちこの本で語られていること、知ってる人の顔が思い浮かぶんだよね。

マルチタスクは生産性が低下する

人間はマルチタスクをこなしているのではなく、タスク・スイッチングをしているだけ。
本来マルチタスクなんてできないんだよ、と。
たしかに優先順位つけて片っ端から片付けているだけだよね。
で、その優先順位付けが下手くそだったり、途中の仕掛段階でスイッチングを繰り返す人って、
ものすごく業務に無駄が出てくる。


スタンフォード式 最高のリーダーシップ

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

ちょっと理想的すぎる気もいたします、、、という進化型組織論 フレデリック・ラルー/ティール組織

人の発達段階の応じて組織のあり様も変わってきた、という整理のもと、
それでは次に来る進化した組織モデルは何かという話をしている本。

なかなかの分厚さにたじろぐが内容はそんなに難しい話ではない。
それなりに話題になったので解説本がたくさん出ているが、
この話をリアルに感じる経営層はどれくらいいるのだろう。


上下関係もなければ目標も予算もない組織。
信頼関係で結ばれ、自律的に高いパフォーマンスを出していく、
なんてのは正直夢物語のように思える。

もちろんいろいろな事例は出て来るものの、
皆が皆、これを目指せるとは思えないというのが正直なところ。

まぁ発達段階によるとするならば、十分に発達した、
それこそ進化型従業員が欲しいよ、、、なんて言いたくなってしまいますが。。。

まぁ元々X理論、Y理論というものがある。

従業員は本来怠け者で、なるべくなら仕事をサボりたいものだ(X理論)。
労働者は意欲的で、自発的で、自制心を発揮できる(Y理論)。
P.182

これってどっちが正しいのか?
どっちも正しいのである。

なので、まぁどういう組織を作るか次第で、XにもYにもなるんだろうね。


OKR導入のイメージを掴むには最適な本。 クリスティーナ・ウォドキー/OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

OKR、目的と主要な指標を定め、組織全体の目標と進捗を可視化する手法。

実際に導入したくて学んでる。

本書はストーリー仕立てでどのように導入し、
定着させていくかが語られる。

weeklyでやることをフォーカスし進捗や達成度、自身の度合いを確認し合う。
組織の皆が、他の人の状況も把握できる状態を保ち、
自分の仕事が事業目標とどうつながっているのかを理解することができる仕組み。

目標管理制度があっても、それが可視化されていて、
他のスタッフが把握できるかと言うとそこまでなっていない。
結局会社とその人の1対1のクローズドな目標管理って限界あるんだよね。

個人だけで仕事するわけじゃないから、
周囲の人間とも共有できていないと色々と齟齬が起きる。

もっぱら自分の組織では他チームの仕事に対する無知、が横行しているので、
そこをなんとかしたいと言う思いもあるな。

と言うわけで絶賛、勉強中。

毎週自分の目標が達成できそうかどうかの自信度を自らつけさせるって言う運用が
結構なるほどって思った。

人生の全てを市場価値で計ろうとすると見誤るよと言うお話。 ヤニス・バルファキス/父が娘に語る経済の話

この本が評判いいのは知っていたけれど、
この著者、財政破綻したギリシャの元財務大臣なのね。

あの難局をハードネゴシエーションして乗り切った人が
娘に語る経済の話って思うと俄然興味が出てきた。

市場取引が生まれ、市場経済が発展し、
全てが市場価値で計られがちだけど、
この世の中の価値基準は必ずしも市場価値だけじゃないよって言う話。

そこを見誤ると幸せになれなそう。

学部が経済学部だったからマクロ、ミクロ両面で経済学の考え方、みたいなものは
知っているけれど、経済学ってそれこそ学部とかで縁がないと、
かなりよくわからないものなのかもしれないよね。

例えば比較優位とか、効用の最大化っていう概念は仕事していく上でも
とても役立ったけれど、逆にそういう感覚がない人も多数いるなぁとも思う。

生きていく上で経済活動と無縁には過ごせないので、
ある程度のリテラシーはあるに越したことがない。

という訳で、むしろあんまり知らないって人におすすめでした。

リアルな場所からオフラインが無くなる。 藤井保文・尾原和啓/アフターデジタル

読むまではデジタル世界の、後?ってどういうことだろう。
なんかこんなにすごい未来が来るよ、ハッピーよ、みたいな話なのか、
一体何なのか、と思って様子見してた。

で読んでみたらなるほど納得。さっさと読めばよかったよ。
ビジネス書の中では今年3本の指に入る名著だよ。

アフターデジタルは一言で言うと、リアルの場からオフラインが無くなる世界。
だからもうめっちゃデジタルなんだよ。

そして中国の最新事例はアイデアが詰まりまくっていて自分の脳も刺激される。

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

信用スコア

日本でも続々LINEスコアとか出てきているけれど、
ユーザーのスコア化とそれに紐づいたサービスというのが
どんどん始まってきている。

スコアの高い人は優遇される、良いことをするとポイントが上がる、という社会。
逆にスコアの高低が明示されたときに低スコアの人は一体どうなるのか、恐ろしくもある。
ある種のデジタル監視社会。

サイコパスというアニメ作品の超名作があるのだが、
そこでは近未来シビュラシステムという全能のシステムが人々の適性を判断し、
人の職業をシステムが決める管理社会を描いていた。

#1 犯罪係数

#1 犯罪係数

  • 発売日: 2015/12/18
  • メディア: Prime Video


そんなデジタル監視社会はすでにかなりリアルな所まで来ている。
それがユートピアになるのかディストピアになるのかは、権力者の匙加減次第なのだろうな・・・。

歩くだけでポイントがたまるアプリ

このアプリが秀逸なのは、1日1回リセットされるということ。
歩いてたまったポイントを自らアプリを起動して換金しなくてはいけない。
つまり、ユーザーは毎日必ず換金するために起動するという仕掛け。
これがアプリのDAU(Daily Active User)を最大化するということ。
これはもう、超強烈な仕掛けだよね。

O2Oの時代は終わり

店舗というリアルチャネルであっても、ユーザーの行動のすべてをデータとして取得できる時代です。我々にとってはモバイルもPCもコンビニも、ただのユーザーインターフェースでしかありません。例えば、顧客がスマホで水を1本購入することも、無人コンビニで顧客が水を1本購入することも、だれがいつどこでどの銘柄を購入したのかがすべてデータとして分かるのであれば同じことですよね。
P.61

MAによる自動化の限界

データを活用し、UXを改善していかないと、顧客の体験価値が改善されていかない!!
レコメンドの精度だけの話じゃ差別化もできないんだよね。

個別のユーザーに1 to 1 で自動最適化する点では多くの企業が基盤を整え始めている状態ですが、それでもビジネスが変わっていかないのはなぜかというと、自動最適化しても「より自分に合ったものが提供されていくだけ」であり、そもそものサービスの価値、体験価値は改善されないからです。
P.183


アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

皆失業して貧困なのではない、働きながら貧困なのだ。 ジェームズ・ブラッドワース/アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

イギリスの最低賃金労働の現場に著者自ら潜入し、
その実体験を綴った潜入ノンフィクション。

タイトルが扇情的だけど、アマゾン、ウーバーのほかに、
訪問介護、コールセンターでも労働している。

帯に「労働市場規制緩和や移民政策で先を行くイギリス社会は、日本の明日を映し出している」
とあるのだけど、確かに日本の未来を感じる側面がちらほら。。。

先進国とは名ばかりの最低賃金労働の世界。
果たしてこれでいいのか考えさせられる。。。

皆失業して貧困なのではない、働きながら貧困なのだ。

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

潜入取材と言えば、日本だと横田増生さんが著名。

ユニクロ潜入一年

ユニクロ潜入一年

潜入ルポ amazon帝国

潜入ルポ amazon帝国

ユニクロ潜入一年は名著だと思う。

digima.hatenablog.jp

ゼロ時間契約は諸悪の根源

まず最低賃金労働の世界に共通しているのは、「ゼロ時間契約」と言われるもの。
週の労働時間が契約に明記されていないのだ。
つまり、仕事はいつでもなくなる可能性がある。
働いて生活費を得なければ生きていけない、その日ぐらしに近い人たちに対して、
雇うけれども労働時間を保証しない。
長時間労働も問題だが、最低労働時間が保証されないこともまた暴力なのだ。
あなたは態度が悪いので明日からのシフトを減らします、もしくは0です、といったことがまかり通る。
まさに労働者は生殺与奪を握られている状態だと言える。

ちょうど同じ本を読んだ方のブログを見つけたのでこちらもご参照あれ。

surume.org

Amazon 科学的管理のいきつく先

1人当たりの生産性を定量化し、そこが一定の値に達しない人は淘汰されていく。
態度が悪かったり、ミスしたり、休んだりすると、懲罰ポイントが与えられ、6ポイントたまると解雇。

アマゾンのルールは実際にはルールなどではなかった。その典型例が、休憩のために割り当てられた時間だった。通常の1日のシフトのあいだ、労働者には30分休憩1回と10分休憩2回が与えられた。30分休憩のあいだは無給だったが、短いほうの休憩中は時給が発生した。10分休憩の実際の長さは15分で、倉庫のいちばん奥から食堂まで歩くための時間として5分(無給)が追加された。現実的には、サッカー場10面分の広さの倉庫の奥から歩き出し、空港と同じようなセキュリティ・ゲートを抜けて休憩エリアにたどり着くには7分ほどかかった。休憩終わりにピッカー・デスクに戻るのに2分かかることを勘案すると、「15分休憩」のあいだに実際に休めるのはおよそ6分だけだった。
P.69

人は高ストレス下では何かに依存する

Amazonに潜入していた筆者は、潜入後、一日中歩き回って運動量が増えているにもかかわらず、体重が増えたという。

1日15キロ以上歩いていたにもかかわらず、月の終わりまでに体重が6キロ以上増えた。さらに、私はまたタバコを吸いはじめていた。チョコレートバーや強めの紅茶のように、タバコは一時的にやる気を高めてくれる悪癖のひとつだった。
P.91

低収入の人ほどタバコを吸っている、彼らは自分を律せず、まともな金の使い方も知らないといった
風に揶揄されることがあるけれど、それは必ずしも彼らの意志や能力が低いからではないということ。
著しく悪い環境で高ストレスに晒されている状態が長く続くと、人は依存性のあるものにはまり易くなる。
これは非常に恐ろしい。

訪問介護の悲劇

ここで紹介される事例では働く人も、サービスを受ける人も
不幸な仕組みが出来上がってしまっている。

労働者は毎回本部からここに行けと指示される場所が違う。
その都度アサインされ、それらを手早く片付けて次に向かわなければいけない。
同じ人が担当するわけではないので、深いコミュニケーションは成立しない。
まともに話し相手になっていたら次の訪問に間に合わない、それくらい詰め込まれている。
そうなると訪問介護士は次第に誘導尋問のように尋ね始めるんだそうだ。
「お腹はすいていませんよね?」
そうすると、顧客はたいてい迷惑をかけまいと、「すいていない」と答える。

サービスとして終わってる。。。誰も幸せにならない。

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

アパレル関係者は必読。で、どこを攻めるのかフォーカスしないと駄目だね 福田稔/2030年アパレルの未来

ローランドベルガーのパートナーが著者。
というわけで、アパレル業界のファクトが色々書かれていてとっても便利な本。
マクロな市場規模推移とか目先の仕事に追われていると意識しないで日々過ごしちゃうけど、
マクロの変化を意識するのとか大事よね。

そしてこれを読んでどうするかなんだよ。
今のままで良いアパレル企業は非常に少ないはず。
どこを狙うかフォーカスしていかないと・・・。

2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

押さえておきたいファクト

・グローバルで見ればアパレルはまだ成長市場、成長チャンスは海外。
・2015年に143兆円→2022年195兆円 という予測
アメリカ、中国が世界最大の市場で両国合わせて市場構成比40%、しかも成長余地あり
・国内市場は衰退 現在9.2兆円、バブルのピークで15兆円。2030年は8.2兆円予想
・国内市場は人口減だけでなく、アパレル支出額が年間で1%減少した場合は7.2兆円、2%減で6.2兆円もありえる。
・中国から日本への越境EC注文 2017年1兆2978億円(125.2%) アメリカから日本への越境EC注文7128億円(115.8%)

イギリスから生まれた「デジタル・ファストファッション

ブーフー、エイソス、ミスガイデッドはオンライン特化型のファストファッション
画像解析や在庫、価格管理にAIを活用しているのも特徴。
で、筆者はこれらを「デジタル・ファストファッション」と呼んでいる。

グローバルでも通用する8セグメント

価値観の多様化が進んできているが、セグメントは大体8個、国によってそれぞれの構成比が異なるものの、
基本的にはこの8セグメントは共通なんだそうな。
これって結構面白い話。

P.177-P.183



2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日