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ネットワーク経済に関する定番書、テーマ自体は未だに古びていない。カール・シャピロ、ハル・R.バリアン/ネットワーク経済の法則

ネットワーク経済と言えばこれ、みたいな定番書らしい。

ネットワークの外部性が効くビジネスだったり、規格の標準化だったり、
そういったテーマを整理したのが本書。

同じテーマで最新事例を取り上げた本があったら良いんだけどなぁ。
テーマ自体はまったく古びてないので、やっぱり外せない1冊なんだとは思うけれど、
ちょっと古いんだよなぁくらいに思いながら読んでいた。
でも、気づいたらたくさんメモとってました。やっぱり名著か。

「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針

「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針

  • 作者: カールシャピロ,ハル・R.バリアン,Carl Shapiro,Hal R. Varian,千本倖生,宮本喜一
  • 出版社/メーカー: IDGコミュニケーションズ
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 33回
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ディレイによる価格差

価格のお話。
売上の最大化を考えた時、高い金を払ってくれる人からは高く、
そうでない人からはそれなりに徴収したい。
複数のバージョンを作るとか色々なやり方があるけれど、
出版社がやっていることもその1つだよ、と言う説明。
そういえばこの本インフォメーションンの日用品化、みたいな訳語が出てくるんだけど、
多分、コモディティ化のことなんだろうなぁと思うともう少し翻訳どうにかしろよ、と思う。

同じインフォメーション製品にバージョンの変化をつけるには「ディレイ」(遅らせる)というやり方もある。出版社はまず最初にハードカバーの本を売り出し、そして次に何力月か遅れでペーパーバックを出版する。どうしても早く読みたい消費者は高価格のハードカバーを買うけれども、待てる人は低価格のペーパーバックを購入する。
P.14

権利の保護は至上目的じゃない。

うっかりすると勘違いしそうな話ではある。
標準化競争時の特許とか、間違えがちな分野なんだな、とこの本を読むと思う。

知的財産を管理するときの目標は、自分の知的財産の「価値」を最大にしてくれる条件を選択することにおくべきである。権利保護の効果を最大にするための条件ではない。
P.16

ネットワーク外部性

プラスに働くと強いけれど、マイナスに働くリスクと常に隣り合わせ。
ユーザーの数が価値だから、ユーザーの離脱に対してもネーッとワーク外部性は働く。
だから、衰退も加速度的に進む可能性があるんだよな、と思う。

互換性のある製品ユーザーのバーチャルネットワークがネットワーク外部性を生み出すために、広く支持されているハードウェア、ソフトウェアのシステムは劣勢なシステムに対して競争の上で相当有利な立場を確保することができる。
P.32

インフォメーション市場の特徴

製品を生み出すための初期投資(サンクコスト)が高い。
でも、一度生み出した商品の複製の費用は極端に低い。
規模の経済を効かせてコストリーダーシップをとるか、
代替性の低い商品を提供するか・・・
ただ出版は言うほど効率良く儲からないのだけど・・・。

インフォメーション市場の高額の「サンクコスト」と低い限界費用という特徴はインフォメーション業界の市場構造にとって重要な意味を持っている。結局のところ、インフォメーション市場で今後も生き残れる構造は次の二種だけだ。
一、「支配的企業」のモデルでは“最良の”製品を作っているかどうかは別にして、規模の経済のおかげで小さな競合企業に対してコストの面での有利さを十分に生かしている。誰もがその例として好んで取り上げるのがマイクロソフトだ。デスクトップコンピュータのOS市場をコントロールしているからだ。
二、差別化される製品の市場では同じ「種類」ではあるが他社とは異なるインフォメーションを生産している企業が数多くある。これがもっとも一般的なインフォメーション製品の市場構造だ。たとえば、出版、映画、テレビ放送、それにある種のソフトウェアなどの市場がこのモデルにあてはまる。
P.51

ネットワーク効果はスイッチングコストの源泉

ユーザーのスイッチングコストを高めることで囲い込みが生じる。
ユーザーが増えることでスイッチングコストが増していくと言うのが、
ネットワーク外部性の本質とも言えるってことか。

ここまで議論したネットワーク効果は、一般的に言ってスイッチングコストの源泉である。もしメーカーのある製品がある組織内の至るところに浸透すれば、これとは別の新しいものにスイッチするのに非常にコストがかかる。このようになれば、そのメーカーは企業に対して価格設定と契約の条件において強力な影響力を発揮できるようになる。
P.91

マイクロソフトのスライディングスケール

この考え方は初めて知ったし、ちょっと脱帽。
生産台数に対するロイヤリティ契約だから、インストールするかしないかは関係ない。
つまり、メーカーはインストールしない理由が無い。

マイクロソフトオペレーティングシステムの市場で競争を繰り返していた時代にさかのぽると、同社はスライディングスケールを利用してクローンメーカーにDOSをライセンスしていた。このスライディングスケールとは、メーカーが「生産した」マシンの数を基準にするもので、プロセッサ数ライセンスとも呼ばれていたマシン上にDOSがインストールされているかどうかは問わなかった。というのはマイクロソフトのOEM先のメーカーが、自分たちが販売したプロセッサ(マシン)の数に対してのみ、マイクロソフトにDOSのライセンスに対するロイヤリティを支払うようになっていたからである。価格がつけられた根拠はマシンの「生産台数」であって、DOSがインストールされたマシンの数ではないということに注目すること。つまり、出荷前にメーカーがマシンにOSをインストールしようとするとき、自然のなりゆきでDOSが選ばれる、ということだ。ライセンス許諾のポリシーにしたがって、その前に支払いが終わっているからだ。
P.141

アンバンドリングの可能性

バンドルすることで幅広いリーチをとっていたとも言える。
それが雑誌ブームだったはずだけど、今やそれが効かなくなってきた。
じゃあアンバンドリングなのか??
本当にそれで勝負できるのかは疑問。
もしかすると、更なるバンドリングが求められているのかもしれない。
紙と電子のバンドリングとか、読み放題サービスもバンドリングと言う視点で考えることができそう。

インフォメーションは一般的にバンドル化して販売されている。雑誌は記事をバンドル化したもので、定期購読は雑誌そのもののバンドル化と言える。
P.142

バージョン化によるマネタイズ

その後Webサービス分野の常套手段になるやり方。
Dropboxとか、Evernoteとか。
無料で普及し、有料バージョンでマネタイズ。
ただ、商品自体が経験製品である出版の場合、途中まで読ませる、くらいのことしかできない。
全部無料で読ませちゃったらもうお金にならないんだよな。

①消費者には売られているものの内容を理解するためにサンプルが必要だ(経験製品効果)。
②提供する側にはこれらの新たなビットを用意するためのコストがほとんどかからない(限界費用ゼロ効果)。
しかし、無料サンプルをどんどん配布しながら、どのようにして無料でダウンロードしている人たちに支払う気にさせて、売上を上げることができるというのか。これに対する答えはバージョン化にある。
つまりローエンドバージョンは無料にするが、その範囲、使い勝手、品質そして数量を限定するのである。
P.166

メトカーフの法則

ネットワークの価値はユーザーの数の二乗に比例して増加する!

メトカーフの法則は、法則というよりも経験則によるものだが、確かにその理論については納得できる。もしネットワークにn人がいて、その一人一人にとってのネットワークの価値が「他の」ユーザーの数に比例するならば、ユーザー全員に対するネットワークの価値の総計はn*(n-1)=n^2-nに比例する。単一のユーザーに対するネットワークの価値が同じネットワークの他のユーザーにとっては1ドルであるとすると、規模が10のネットワークでは価値の総計がおよそ100ドルとなる。
さらに規模が100のネットワークでは10000ドルの総価値となる。
ネットワークの規模が10倍になると、その価値は100倍になるのである。
P.326

自己達成的な予測

噂が自己実現すると言う点においては金融と似ている。

ネットワーク市場では期待感が決定的に重要で、しかも簡単に自己達成的になりやすい。
つまり普及するはずと期待される製品やテクノロジーが「実際に」普及する。
P.374

自分の設置ベースとの戦い

耐久性品の場合、自らの設置ベースとの戦いになる。
普及すればするほど、自分が邪魔をする。
更にシェアを広げるためによくとられる手法はディスカウントだけど、
今度はディスカウントへの期待から価格が下がるまで買われなくなるという悪循環の恐れも。
1つの解決策は、売るよりも貸す、という作戦。

自分自身の設置ペースと戦うというのは耐久製品を販売している企業の場合、今に始まった問題ではない。スタインウェイ(Stein- way)がピアノの販売でもっとも苦戦している相手は中古のスタインウェイだ。
P.491

「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針

「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針

  • 作者: カールシャピロ,ハル・R.バリアン,Carl Shapiro,Hal R. Varian,千本倖生,宮本喜一
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