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本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

これ以上ないほどわかりやすくコンサルの思考を教えてくれる教科書。論点思考+仮説思考+脳科学 安宅和人/イシューからはじめよ 知的生産のシンプルな本質

マッキンゼー、Yahoo CSOの安宅さんが書く、知的生産のための考え方をまとめた本。
書かれていたことはいちいち納得感のあるものだし、素晴らしいんだけど、
きっとコンサル業界では当たり前のことなんだろうな、とも思う。


イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

解の質と問いの質

多くの人は、マトリクスのタテ軸である「解の質」が仕事のバリューを決める、と考えている。そして、ヨコ軸である「イシュー度」、つまり「課題の質」についてはあまり関心を持たない傾向がある。だが、本当にバリューのある仕事をして世の中に意味のあるインパクトを与えようとするなら、あるいは本当にお金を稼ごうとするなら、この「イシュー度」こそが大切だ。
P.26

いかに良い問いを立てられるかがはるかに重要。
間違った課題設定に対する正しい解答ほど悲惨なものはない。

一方で、そのイシューに対して現実的な解答を出せそうか、という難易度のバランスも重要。

どれほどカギとなる問いであっても、「答えを出せないもの」は良いイシューとは言えないのだ。「答えを出せる範囲でもっともインパクトのある問い」こそが意味のあるイシューとなる。そのままでは答えの出しようがなくても、分解することで答えを出せる部分が出てくればそこをイシューとして切り出す。
P.72

解の出ない問い、大きすぎる問いを前に呆然としていても、生産性はなきに等しい。
食べられるサイズに問いを分割し、現実的に解けるもので、解いた時の価値ある問いを探すことが重要。

脳と理解

この脳の話はショッキングだ。
普段から意識して鍛えないと脳はいくらでも劣化するというか、
使わないと使わない状況に対して最適化されていってしまうんだな。怖い。

脳は脳自身が「意味がある」と思うことしか認知できない。そしてその「意味がある」と思うかどうかは、「そのようなことが意味を持つ場面にどのくらい遭遇してきたか」によって決まる。
有名な実験に「生まれたばかりの猫をタテ縞しかない空間で育てると、その猫はヨコの縞が見えなくなる」というものがある。その結果、その猫を四角いテーブルに乗せると、ヨコ線である端が見えないのでテーブルから落ちてしまう。
P.40

ストーリーの組み立てとイシューの分解

イシューに関連するデータを集め、データが出尽くしたらその意味を考え、
ストーリーを組む、というやり方が一般的だけど、これだと全くダメ。考え方は、これと真逆。

劇的に生産性を高めるには「このイシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どんな論理と分析によって検証できるか」と最終的な姿から前倒しで考える。
P.107

要するに仮説思考なんだね。

そしてイシューはMECEに分割してサブイシューを作っていくのだけど、
このMECEというのが厄介。もれなく、被りなく、なんだけど、この切り方はいかようにもできて、
ここで意味のない分け方をしてしまうと結論が違ってきてしまう。

売上を分解しようとすると、「個数*単価」「市場*シェア」「ユーザー数*ユーザーあたりの売上」「首都圏売上+関西売上+他地域売上」など、無数の切り分け方ができる。どれも「ダブりもモレもなく」になってはいるが、それぞれの検討が同じ答えにたどり着くことは決してない。
P.109 - P.110

人に伝えるために

WHYの並び立てアプローチ
案件Aに投資すべきだということを人に説明する場合、少なくとも以下の3つの視点は説明が必要。
このWHYを並び立てることで意思決定者に重要な要素をMECEに伝えることができる。
・なぜ案件Aに魅力があるのか
・なぜ案件Aを手がけるべきなのか
・なぜ案件Aを手がけることができるのか

もう一つの型が、空、雨、傘、タイプ。
空が曇っている(課題の確認)
雨が降りそうだ(課題の深掘り)
傘を持って行こう(結論)

必要な情報の粒度を見極める

いたずらに細かく、精度が高ければいいというものではないのだけど、
これまたわからない人が多い。
50なのか、100なのか、300なのか、といった粒度で把握したいときに、
92か105かわからないから答えられないみたいな人。
求められている情報の粒度が全くわかっていない。
概算=正確じゃない、みたいな。
ずれてるとまずい、と誤差を許容できないがゆえに、工数が爆発して無駄な時間を使う。

「数字は細かく取ればいい」というものではない。最終的にどの程度の精度のデータが欲しいか、それをこの段階でイメージする。「50%か60%か」を見極めようとしているときに0.1%刻みのデータは必要ない。
P.162

不連続な差しか認知できない

脳は「異質な差分」を強調して情報処理するように進化してきており、これは脳における知覚を考える際の根源的な原理のひとつだ。そしてこれが、分析の設計において明確な対比が必要な理由でもある。(中略)分析の本質が比較というよりは、実は私たちの脳にとって認知を高める方法が比較なのだ。
P.173

答えを出すことに価値がある問いを立てる

調査、分析の設計の問題なのだけど、それがわかると何がいいのか?
YESならこう、NOならこう、という判断やアクションにつながるのか?
それがないと欲しい答えを探してるだけの話になっちゃうんだよね。

生物学には質問を肯定する結果が出ないと何の役にも立たない実験が多い。このような実験のことをアメリカの科学者はFishing Expedition(魚釣の遠征)という。魚が釣れなければ草臥儲けとなるという意味である。理想的な実験とは、論理も実験も簡単で、どんな結果が出ても意義のある結論ができるものである。
P.182

プレゼンの心構え

どんな説明もこれ以上できないほど簡単にしろ。それでも人はわからないと言うものだ。そして自分が理解できなければ、それをつくった人間のことをバカだと思うものだ。人は決して自分の頭が悪いなんて思わない。
P.222

論点思考+仮説思考+脳科学

基本的にはコンサル脳なお話なのだが、とことんバカでもわかるように噛み砕いてくれているからわかりやすい。
BCGの元日本代表だった内田和成さんの論点思考、仮説思考もこのようなコンサル脳の解説としては秀逸なので、
ぜひ合わせて読んでみて欲しいな。

論点思考

論点思考

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法


イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

AIとか機械学習万歳ではない、地に足のついた需要予測の考え方入門 山口雄大/需要予測の基本 SCMとマーケティングを劇的に変える。

AIや機械学習が登場する前から需要予測の考え方はあった。
在庫とは常に両刃の剣であって、
足りなければ機会損失を生み、余れば収支を圧迫する。

そもそもどういった考え方で需要を予測していくのか。
本書は実務寄りの需要予測の考え方をまとめた本。

前年比予測の注意点

前年比予測は使いがちだけど、前年の規模(母数)が小さければ小さいほど、
大きく変化してしまう。
昨年より50個しか売れていない商品にとって5個の増減は10%に相当するが、
500個売れた商品であれば1%に過ぎない。

母数の小さなものほど前年比で見るとブレまくるから気をつけてね、ということ。

予測の対象とする単位期間において、需要が150個以下の場合は、前年比予測手法は非常に使いづらいという感覚を持っています。
P.69

こういう具体的なTips、というか実体験に基づく感覚値が載っているのがこの本の良いところ。

月刊ロジスティックス・ビジネス

ABCマートのオムニチャネル事例が紹介されていたのだけど、
同時にこの専門誌も紹介されていた。

magazine.logi-biz.com

直販しかしていないらしい・・・。
ひとまずオンラインニュース版もあるようなので、そちらの
RSSをフォローしてみる。

online.logi-biz.com

SKUマネジメント

SKUマネジメントは取り扱うSKUの総数自体を管理、削減すること。
SKUが増えれば増えるほど管理負荷は増大していく。
品目数が増え過ぎていないか、という視点で常に見直しをかけないと、
増え続けてしまうものなので。

SCMのパフォーマンスは、管理能力と管理難易度で決まるとも言われていますが、管理難易度は、管理するSKUの数に比例します。多くの場合、SCM改革というと、管理能力の増強が取り上げられるのですが、管理難易度がメインテーマになることはあまりないと感じています。
P.159

統計検定

巻末に学習に役立つ資格が書いてあって、統計検定というものがあることを知った。

www.toukei-kentei.jp

これ、良いかもしれない。

業務委託と派遣の違い、基本のき。 佐藤広一、星野陽子/労働者派遣 いちばん最初に読む本

自分の領域ではないもののお仕事の関係でお勉強。

派遣ってどういうこと?業務委託とはどう違う?
偽装請負って??
みたいな基本中の基本を整理したかったので。

図解でわかる労働者派遣 いちばん最初に読む本

図解でわかる労働者派遣 いちばん最初に読む本

請負と派遣の違い

契約上は業務委託なのに実態は派遣という状態を偽装請負と言う。
これは違法です。
ではその違いとは?

クライアントである自社が、労働者に対して

業務遂行方法に関する指示を行なっているか?
労働者の労働時間等に関する指示を行なっているか?
企業秩序の維持・確保等に関する指示を行なっているか?
業務に必要な資金を自らの責任において調達・支弁しているか?
業務について民法会社法その他の法律に規定された事業主責任は果たしているか?
単なる肉体的な労働力の提供ではないか?
全て該当しなければ「請負」

何か該当したらそれは実態として派遣なので、偽装請負の疑いが出てくる。

専ら派遣の禁止

派遣先が特定されてしまっている状況はNG。

「専ら派遣」とは、派遣労働者の派遣先を特定の会社に限定する行為のことをいい、この行為は労働者派遣法で禁止されています。
P.30

労働契約申し込みみなし制度

違法に労働者派遣が行われた場合は、その時点の派遣労働者の労働条件を内容とする労働契約の申込み、つまり直接雇用の申し込みをしたものとみなされます。

違法であることを知らず、過失がなかった時は無効、とのことですが・・・




図解でわかる労働者派遣 いちばん最初に読む本

図解でわかる労働者派遣 いちばん最初に読む本

経験からの学びを増やすには、経験の分量だけ増やしてもダメ 杉浦正和/入社10年分のリーダー学が3時間で学べる

タイトルが安っぽいのだけど、そういうシリーズ名だからしょうがない。
著者は早稲田のビジネススクールの先生。

タイトルに反して中身はしっかりと理論を俯瞰しているので
入門書としてとても良い気がする。

入社10年分のリーダー学が3時間で学べる

入社10年分のリーダー学が3時間で学べる

リーダーシップはフォロワー次第

リーダーは、単独では存在し得ない。
フォロワーがいなければリーダーは成立しないから。
で、リーダーシップにある1つの正解があるわけじゃないのも、
フォロワーなどの状況によるから。

フォロワーの段階も、
最初は意欲があって、能力がない段階。
やがて能力が上がってくると、意欲がブレやすくなる。
で、そこを乗り越えると意欲も能力も高い状態に。

人によってどの段階かによって接し方も変わってくる。

リーダーシップのスタイルは、フォロワーの状況を見極めて、それに応じて「シフト」すると効果的です。特に、フォロワーの意欲と能力のありように応じてリーダーシップのスタイルを微妙に変えていくことが効果的です。
P.30

自分の認知バイアスについて知る

自分もまた認知バイアスを持ています。むしろ、「あるがままに」物事を見るということはほとんど不可能といっていいでしょう。私たちは、何らかの色眼鏡をかけてしか、物事を見ることはできません。
P.43

自分にはバイアスがかかっているから、気をつけよう、と振り返るしかない。
バイアスからは逃れられないから、バイアスかかってないかな、と定期的に振り返るしかない。
でも、それが大切なのよね。常にバイアスかかってないかなって違う角度から検証してみる癖が重要。


経験の量だけ増えてもダメ

経験からの学びを増やすためには、経験の分量だけを増やしていけばよいのでしょうか?
中原淳は様々な経験を積むだけでは不十分で、その経験から知識を生み出すための「内省」を行い、経験学習サイクルを循環させることが重要であるとしています。
P.192

経験から内省し血肉になっていく。
メモの魔力とかは内省の究極系なんだよな。

digima.hatenablog.jp


入社10年分のリーダー学が3時間で学べる

入社10年分のリーダー学が3時間で学べる

バーチャルは虚像ではない、ってのはなんか重要な概念な気がしたよ。 落合陽一/デジタルネイチャー

なんだか一気に著作が増えている感がある落合陽一だけど、
本質は変わらない中で、深さやとっつきやすさを調整している感じ。

デジタルネイチャーはわかりやすさよりも書きたいように書いている感じの本。
News Picks Booksのとかは、読者のレベルに合わせてますって感じがするから。


エジソンに注目

エジソンの発明に対するこの視点はすごく面白い。
シネマトグラフ的なものからキネトスコープ的なものへの転換が起きそう。
コンテンツの消費自体もどんどんパーソナルなものになってきている気がする。

エジソンの映像装置は当時の社会には受け入れられなかった。なぜならキネトスコープは、個人が覗き込むと映像が見える双眼鏡の装置ー今でいうVRバイスに近いメディアだったからだ。
P.42 - P.43

労働の二極化

単なる事実として、二極化はもう始まっている気がする。
ベーシックインカム的な収入が一定水準を超えるとそういう割り切りも、
満足感の高いものになるんだろうな。

人々の労働は、機械の指示のもと働くベーシックインカム的な労働(AI+BI型・地方的)と、機会を利用して新しいイノベーションを起こそうとするベンチャーキャピタル的な労働(AI+VC型・都市的)に二極化し、労働者たちはそれぞれの地域で全く違った風土の社会を形成するはずだ。この予測は、いわば近代の撤退戦を強いられている日本には顕著であるはずだ。
P.58

ストレスマネジメント

これも真理なんだけど、世の中の大多数が労働を苦役と捉えている気がする。
楽しいことやったほうがいいのにね。
だから鬱とかで潰れる人はなんかご愁傷様って感じではあるけど、
嫌ならやめてもっとやりたいことやんなよって思っちゃう。

ワークライフバランスが声高に叫ばれる近年においても、うつ病などで精神を病む人が後を絶たないのは、社会が未だにタイムマネジメントに支配され、ストレスマネジメントの発想が定着していないからだ。この問題は、残業を禁止し仮に22時に帰宅させたところで解決しない。
P.65

リアルとバーチャル

なんか、これすごく重要な気がした。
リアルとバーチャルの違いってなんだ??
バーチャルが虚像とだけ捉えていると見誤る。

コンピュータを基軸にして「物質的(Material)/実質的(Virtual)」という対義語に定義し直すべきだと僕は考えている。「物質」も「実質」もどちらも同じ現実であり、物事の本質を指している。解像度が同一ならば両者の違いは、コンピュータによる体感の実像の有無に過ぎないということだ。
P.167

戦略、マーケティング、オペレーション、全部詰まってる名著なのよ。 平尾勇司/Hot Pepper ミラクル・ストーリー

Hot Pepperという事業がいかに立ち上がり、
どのようにしてスケールしていったのか、というサクセスストーリーなのだけど、
事業をどうマネジメントしていくのかということに関して、
かなり色々書いてくれている名著。

新しくはないけど、もっと読まれるべき本の1つだと思うのよね。
本当に実用的だと思う。

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

売ってから考えるのでは遅すぎる

1/9サイズの3回連続に決めて顧客への案内を徹底したという話。
広告のメニューを規格化してイレギュラーを排除した。
それが一番売りやすくて、生産効率が高いから。

売ってから考えるのでは遅すぎる。生産効率を考えて売り方を設計しなければならない。商品の選択と集中のみならず、商品企画の選択と集中を行ったわけである。
P.51

創造性と型

「一番大切なのは、間違った型をつくらないことだ。正しい型をつくることがマネジメントだと思う。そして、全員でいっせいに訓練して型を習得すれば、それが組織力になる。」
上田は反論した。
「それって、人間の自由な創造性を阻害してませんか?」
「違う、基礎ができれば応用ができる。人間の創造性を最大のレベルに引き上げるために基礎の型を訓練するんだ。つまらない失敗や壁にいつまでもぶつかって前に進めないことこそ、時間の無駄だよ。それこそ創造性発揮の機会を失っていることになる。
P.95

本当にこれなんだよなぁ。
踏んじゃいけない地雷は避けられる。
絶対やれば成功することはないけど、絶対やっちゃまずいことはある。
そこを全部体験しながら学ぶ必要はなくて、型として教え込んでしまった方が早い。
それをいかに徹底して擦り込んでいけるかがオペレーションの優劣につながる。

誰がバカなのかわかる組織

フラットな組織のいいところをここまで明確に説明されてるの初めて読んだ。

「会社は現場が見えていない」とメンバーが発言した瞬間に会社とは直属上司の版元長かその1階層上の、たった一人の事業部長になる。現場がわかってない会社のバカは版元長か事業部長ということになる。つまりフラットな組織とは、誰がバカなのかが誰の目にも瞬時に明らかになる組織である。これをツーステップ組織と呼ぶ。
P.118

そして意思決定の文献かは絶対にダメだという。
確かにどんどん上手く回らなくなるし、ボトルネックが見えづらくなるんだよね。
改革も進まない。

どんなに大きな組織になってもこの「誰がバカかわかる」意思決定構造を決して崩してはならない。この一気通貫の組織構造単位を守りながら事業を細分化することはあっても、ただ単に組織構造を多層化し、専門化してならない。意思決定の分権化は絶対にしてはならい。
P.119

マネジメントの仕事

マネジメントの仕事は、メンバーが最小の努力で最大の成果を上げられる仕組みを作ること。
でもこれ、本当に理解してないやつ多い。

「土日に出社しないとできないのは、メンバーの問題ではない、お前の見通しの甘さと戦略の誤りが問題なのだ。お前のマネジメント能力の問題をメンバーに転嫁するな。今後一切の超過勤務を禁止する。」
P.125

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

分かりやすい話は気をつけろ。世界はそこまで怖く、暴力的で、残酷ではない! ハンス・ロスリング/FACTFULNESS ファクトフルネス

常識のレベルで四度いた方が良いよって本がある。
読んで何も損しないし、話題にもなってるし、
それなりのアンテナ張ってたら読むでしょ?普通ってレベルの本。

で、今年のそういう本のうちの1冊がこの『FACTFULNESS』なんじゃないかな。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

世界はそれほど悪くない

本書が一貫して伝えていることは、
世界は少しずつよくなってきているということ。
でもそのことは正しく認識されていなくて、
世界は悲惨で過酷なものだという認識に支配されている。
全て、バイアスと正しい知識の欠如によるもので、
著者のハンス・ロリングはその誤解を解く活動をずっとしていた。

本書に収録されているいくつかのクイズがある。
それを、ほとんどの人が正解できない。
ランダムに選ぶよりも正答率が低い。
チンパンジーよりも正答率が低いのだ。
それくらい、世界は悲惨だという思い込みは強い。

実際これを読むまで、自分ももっといわゆる後進国は悲惨だと思い込んでいた。
もちろん支援が必要な人たちはいる。でも、確実にその数は減っているし、世界は良くなってきている。
これは人がいかにバイアスト先入観に縛られているかを暴く本でもある。

それぞれの3択問題には不正解の選択肢が2つあるが、チンパンジーはどちらも同じ確率で選ぶ。かたや人間はというと、不正解の2つのうち、よりドラマチックな方を選ぶ傾向が見られた。ほとんどの人が、世界は実際よりも怖く、暴力的で、残酷だと考えているようだ。
P.17

これも象徴的、ただ、間違えるのではなくて、より悲惨な回答を選ぶ。
完全に思い込んでるんだよ。悲惨で残酷なものばかり報道されるから。


分断本能

人はドラマチックな本能のせいで、何事も2つのグループに分けて考えたがるからだろう。いわゆる「二項対立」を求めるのだ。良いか悪いか、正義か悪か、自国か他国か。世界を2つに分けるのは、シンプルだし直感的かもしれない。しかも双方が対立していればなおドラマチックだ。わたしたちはいつも気づかないうちに、世界を2つに分けている。
P.51

2項対立ほど分かりやすいものはない。勧善懲悪。
正しいことと間違っていること。
でも現実はそんな単純じゃない。
白でも黒でもなくて、灰色の濃淡ってのが現実なんだよね。
白にも黒にも言い分はあって、正しい事と正しい事の対立も多い。
それぞれの正義ってやつだね。


世界の貧困

20年前は世界の人口の29%が貧困層だった。
でも今は9%まで改善している。
大幅に改善しているのに、そのことを誰も知らない。

教育とか学びとか

「そうしたものが世界の一部だから」学ぶ。
このフレーズが気に入った。
歴史も、人の感情も、思考も、科学も、何もかも、
そうしたものが世界の一部だから学ぶのだ!

スウェーデンに火山はない。だが、公的な資金で火山を研究している地質学者はいる。学校でも普通に火山について教えている。ここ北半球にいる天文学者も、南半球でしか見られない星について学ぶし、学校でも南半球の星について教えている。なぜだろう?そうしたものが世界の一部だからだ。
P.315

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣