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匿名経済から顕名経済へ。社会のあらゆる所で、大きな変化が起きている! 國領二郎/ソーシャルな資本主義 つながりの経営戦略

匿名経済から顕名経済への変化、
人のつながりが生み出す新たな価値、
それを支えるオープン・アーキテクチャ、など
著者が考える「ソーシャルな資本主義」にまつわる
関心領域がわかりやすくまとめられた好著。

雑誌に寄稿された記事などを読む機会がたまにあったくらいで、
まとまった本を読むのは初めてだった。
雑誌の論稿はそれぞれが断片的だが、
こうやって1つの大きなテーマの下で、まとめ上げられると
あの時言っていた話は全体のこの部分に位置することだったのか、と
かなりすっきりと頭に入ってくる。

そういう意味では、「ソーシャルな資本主義」という概念の
射程の広さが把握しやすく、様々な領域で大きな変化が起きていることがわかるので、
この本をインデックスとして、自分の関心領域を深めていくのが良いかもしれない。
あるいはざっくりとネットやデータ、
人のつながりが起こしてる変化を捉えたい人へおすすめ。
従来と全く異なるパラダイムシフトが至る所で起きていることが感じられるはず。

ソーシャルな資本主義

ソーシャルな資本主義



匿名経済と顕名経済

20世紀の経済は、一言で言えば大量生産、大量消費。
誰が作って誰が買っているかはわからない経済。
企業は匿名のマスに商品を売るという一方向性。
企業あるいは商品の信頼を勝ち取るために広告を打つ。
そんな20世紀型匿名経済に大きな変化が起きている。
匿名経済から、顕名経済への変化だ。
インターネットやテクノロジーの発展に伴い、
企業にとっての顧客は顔の見えない誰かではなくなっている。


カタログ通販の顕名性

カタログ通販は匿名経済の時代においても、
顕名性に基づいたビジネスだった。
そう考えると、昨今のネット通販が盛り上がる理由も納得できる。
元々通販ビジネスは顕名経済と相性が良い。
顕名の世界でのビジネスなので、益々やりやすい環境に
なってきた、ということなのだろう。


顕名経済

継続的なつながりの中から価値を協創する新しい経済。
匿名経済では情報や物の流れが企業→顧客への一方向だったのに対し、
顕名経済では、双方向になり、そこにつながりも生まれる。
背景には何でもつなぐことのできるネットの進化がある。
ただ、実際に何でも繋がるのではなく、
信頼しあったもの同士が繋がることができる。
「信頼」を得て、「見せてもらえる特権」を持った企業が競争力を得る。


情報はつながることで意味を持つ

情報は相互につながることで意味を持ち、
そこにはネットワークの外部性がある。
単純化したモデルを描いてみるととてもよくわかる。
今世の中には100個の情報があったとして、
情報が1対1で結びつくつながりの数があると仮定する。
この場合つながりの数は順列組合せで、N*(N-1)/2 になる。
よって、つながりの総数は100*99/2=4950 あることになる。

ある企業が50個の情報を得たとする。
そうすると、情報の単純な量としては50%のシェアだが、
つながり数は50*49/2=1225、つながり数のシェアは25%にしかならない。
70個の情報でも、やっと50%弱にしかならない。
残り30%の情報を得ることで、つながりのシェアは一気に50%高まる。

つまり、情報を多く集めたところが、大きな価値を持つ。
価値のあるところに情報が集まり、ますます大きな価値を持つ、という連鎖が起きる。
ネットワーク業界でWinner Takes Allが起こりやすいのはこういうこと。


POSからPOUへ

従来のPOS情報(point of sales)は購入時点の情報だった。
しかしそこには本質的に限界がある。
そもそも購入と利用のタイミングや人は異なる、ということ。
時と場合によってはその差が決定的な違いになりえる。
買った人が男性でも、利用するのは女性かもしれないし、
夜に買っても使うのは昼かもしれない。
マーケティング情報としてはPOU(point of use)=利用時点の
情報がとれると大きな価値を持つ。
これがサプライチェーンの最後の空白を埋める情報。
これが取れるとディマンドチェーンが成立する。

POU情報は個人を特定できることは必須ではない。
ただ、同じ人の情報であることが紐づけられていると、大きな価値を持つ。
マイナンバー制度などとの絡みも示唆されていて、
こういった視点でマイナンバー制度に関して学んでみると面白そう。


つながる経済の価格革命

価格は需要と供給のバランスで決まる、というのが経済学的な考え方。
これに対して、価格はマーケターがデザインするものだ、とRajuという人が言っている。
デジタルの世界は複製コストが限りなく低いので価格戦略が多様化してきている。
また、所有から利用への変化も大きな要因。
誰が払うのか、という視点も面白い。
例えばKindleの通信料は、Amazonが負担して、
Kindleの利便性や優位性を高める役割を果たしている。

ソーシャルな資本主義

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