タイトルそのまんまなプラットフォーム型のビジネスに関するいろはをまとめた本。
理論的な整理と、具体的な事例をバランスよく盛り込んでいるわかりやすい仕上がり。
Winner Takes Allが起こりやすいのはなぜか。
バンドワゴン効果やネットワーク効果といった基本から丁寧に説明してくれる。
プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用
- 作者: 根来龍之
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: 単行本
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産業の構造がレイヤー化する
プラットフォームの定義とも言える重要なポイント。
プラットフォームにはその上で動く補完的なプレイヤーがいるということ。
プラットフォームビジネスは、その構造に特徴がある。産業の構造を「レイヤー構造」と捉えることができるのだ。レイヤー構造とは、ある価値を提供する製品やサービスの構造がいくつもの階層(レイヤー)に分かれていくことである。そして各階層にはそれぞれに担い手がいて、上下の階層のプレイヤーと協力し合いながらも、それぞれが独立したプレイヤーとして行動する。iPhoneとアプリの関係、グーグル検索とサイトの関係など、プラットフォームはいずれもレイヤー構造になっている。
P.27
補完的なプレイヤーは直接コントロールできない。
プラットフォームは他のプレイヤーの協力を前提としている。自分ですべてやる場合と、他のプレイヤーに依存する場合では、ビジネスのやり方が違う。ある部分を他者に任せるとなると、その部分は直接コントロールできない。だからビジネスのやり方が難しくなる。
P.28 - P.29
引用はしないが、途中、レイヤー構造の解説で仮面ライダーのベルトが
例として提示されるあたりが、根来先生のユニークさ。
仮面ライダーブレードからベルトの構造が変化し、補完的なパーツが出てきた。
これはライダーに限らず子供のおもちゃ業界では今や大成功パターンとして定着している。
これなんか、何からでも学ぶ機会やヒントは得られるといういい事例だよね。
マネーサイドとサブシティサイド
ユーザーが増えること自体がユーザーの便益につながっていくネットワーク効果がある場合、
サブシディサイドのユーザーにも十分な存在価値がある。
ネットワークのサイドは、収益貢献度によって分類することもできる。
収益源となるプレイヤーグループのことをマネーサイド、無料あるいはコスト割れでサービスや製品を提供されるプレイヤーグループのことをサブシティサイドと呼ぶ。サブシディトは補助金という意味の言葉である。(中略)
サブシディサイドはネットワーク効果を加速するためのサイドであり、マネーサイドは収益を得るためのサイドである。
P.72
バンドワゴン効果
プラットフォームは基本的にネットワーク効果で語られることが多いと思うのだけど、
本書ではバンドワゴン効果に関しても触れていて、ネットワーク効果とは明確に異なる定義をしている。
本書ではバンドワゴン効果を「ある選択が流行しているという情報が流れることで、その選択がさらに促進されること」と定義し、実質的な価値(便益)の工場が存在するネットワーク効果と区別し、流行に引っ張られる群集行動の一種と位置付けることにしたい。
P.74
プラットフォーム関連の書籍
また、同じく根来氏が関わっている本としてこちらも併読すると、
理解はより深まるのでは。
勝者がすべてを持っていくWinner Takes Allに関してはその名もズバリのこちらが古典。
ネットワーク経済の話、これも抑えとくべきだったわ。(10/14追記)
プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用
- 作者: 根来龍之
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/05/26
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