ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

プラットフォームビジネスについて学びたい人に向けた入門書。理論と具体的な事例紹介が合わさった良書。 根来龍之/プラットフォームの教科書

タイトルそのまんまなプラットフォーム型のビジネスに関するいろはをまとめた本。

理論的な整理と、具体的な事例をバランスよく盛り込んでいるわかりやすい仕上がり。
Winner Takes Allが起こりやすいのはなぜか。
バンドワゴン効果ネットワーク効果といった基本から丁寧に説明してくれる。


産業の構造がレイヤー化する

プラットフォームの定義とも言える重要なポイント。
プラットフォームにはその上で動く補完的なプレイヤーがいるということ。

プラットフォームビジネスは、その構造に特徴がある。産業の構造を「レイヤー構造」と捉えることができるのだ。レイヤー構造とは、ある価値を提供する製品やサービスの構造がいくつもの階層(レイヤー)に分かれていくことである。そして各階層にはそれぞれに担い手がいて、上下の階層のプレイヤーと協力し合いながらも、それぞれが独立したプレイヤーとして行動する。iPhoneとアプリの関係、グーグル検索とサイトの関係など、プラットフォームはいずれもレイヤー構造になっている。
P.27

補完的なプレイヤーは直接コントロールできない。

プラットフォームは他のプレイヤーの協力を前提としている。自分ですべてやる場合と、他のプレイヤーに依存する場合では、ビジネスのやり方が違う。ある部分を他者に任せるとなると、その部分は直接コントロールできない。だからビジネスのやり方が難しくなる。
P.28 - P.29

引用はしないが、途中、レイヤー構造の解説で仮面ライダーのベルトが
例として提示されるあたりが、根来先生のユニークさ。

仮面ライダーブレードからベルトの構造が変化し、補完的なパーツが出てきた。
これはライダーに限らず子供のおもちゃ業界では今や大成功パターンとして定着している。
これなんか、何からでも学ぶ機会やヒントは得られるといういい事例だよね。

マネーサイドとサブシティサイド

ユーザーが増えること自体がユーザーの便益につながっていくネットワーク効果がある場合、
サブシディサイドのユーザーにも十分な存在価値がある。

ネットワークのサイドは、収益貢献度によって分類することもできる。
収益源となるプレイヤーグループのことをマネーサイド、無料あるいはコスト割れでサービスや製品を提供されるプレイヤーグループのことをサブシティサイドと呼ぶ。サブシディトは補助金という意味の言葉である。(中略)
サブシディサイドはネットワーク効果を加速するためのサイドであり、マネーサイドは収益を得るためのサイドである。
P.72

バンドワゴン効果

プラットフォームは基本的にネットワーク効果で語られることが多いと思うのだけど、
本書ではバンドワゴン効果に関しても触れていて、ネットワーク効果とは明確に異なる定義をしている。

本書ではバンドワゴン効果を「ある選択が流行しているという情報が流れることで、その選択がさらに促進されること」と定義し、実質的な価値(便益)の工場が存在するネットワーク効果と区別し、流行に引っ張られる群集行動の一種と位置付けることにしたい。
P.74

プラットフォーム関連の書籍

また、同じく根来氏が関わっている本としてこちらも併読すると、
理解はより深まるのでは。

digima.hatenablog.jp

勝者がすべてを持っていくWinner Takes Allに関してはその名もズバリのこちらが古典。

digima.hatenablog.jp

ネットワーク経済の話、これも抑えとくべきだったわ。(10/14追記)

digima.hatenablog.jp



ソーシャル担当の部下にとりあえずこれ読んどいて、と渡せる1冊。 株式会社オプト/Instagramマーケティング

ソーシャルマーケティングの根っこにあるような話を知って欲しくてってなると、
『グランズウェル』、『エンパワード』とか読んどけって話になるのかも
知れないが、そもそもそういう小難しい話はちょっと、、、ってなることも多いと思うのよね。

でもまぁ担当としてやっている子とかにそんなに抵抗無く、
でも最低限の「いろは」は伝えたい、そんな時にどうしようかなーって
本屋巡っていたときに見つけたのがこの本。

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ


どれくらいそういうニーズがあるのかわからないけど、
そんなに高尚な本読めないレベルで現場って回ってること多くない??
だから噛み砕いた入門書って価値あるんだよね、と思う。

本書はInstagramのアカウント運用に関する基本を100の法則として紹介する本。
すごく普通で当たり前なんだけど、入門書って普通で当たり前のことが、
普通で当たり前に書いてあることこそが価値なんだよね!と声を大にして言いたい。

だってそれを自分で説明して教えるの面倒だし、しんどいじゃない?
でもとりあえずこれ読んどいて、話はそれからだってできた方がお互い楽。

ちなみに私はこの本を読んでInstagramにはヌード写真の投稿がNGだってことを知りました。

そんなことはさておき、超実用なマニュアル的な話だけではなくて
投稿する写真のコンセプトの引き出し方、といったちょっと抽象的なテーマも入っているのが味噌。
ちょっとだけ、考えさせる要素も入ってるから良いきっかけになるかも。

それと、Instagramって公式のインスタアプリでは対応していない色んな機能が
別アプリでできたりすることが多いのよね。
例えばFacebookのシェアみたいなリグラムってやつも公式アプリは未対応だし、
日時指定した投稿の予約公式アプリでは今のところできない。
でも、できちゃうアプリがあるんだなー。
これを知ってると知らないでは運用の手間も大違い。

そういう外せないポイントをまとめてくれているので、
初心者向けの入門書としては信頼と安心のクオリティだと思う。

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ

アパレル業界の基本の「き」をまとめた教科書。 久保茂樹/役に立つアパレル業務の教科書

著者は業界のシステム開発に30年以上も携わった人らしい。
それもあって、業務の流れがフローチャートで図示されており、直感的に流れが理解しやすい。

ECはおまけ程度に触れられているだけという印象だが、
店舗運営のメカニズムからすれば、ECはシンプル。

逆に、これだけの店舗運営、生産管理の業務システムを持っていながら、
業界全体のITリテラシーは低いってのが、不思議でならない、という印象も持った。

評価替え

シーズンやトレンド性が強く、商品寿命が短いアパレル製品は、
売れ残った在庫品の評価金額を替えることができる。

3000円の原価の商品でも、売れ残って時間が経過してしまうと、
もはや3000円の価値もないから、という理屈。
評価損を計上し、期末在庫金額を圧縮することができる。

メンズ重衣料の評価減の割合は、カジュアル(軽衣料)よりも下げない傾向があります。
P.118

という傾向もあるらしい。
何をどういった基準で評価損計上していくかは、
アイテムのカテゴリなどに対して一定のルールを定めて行うもの。

品番別動向把握

アパレルに限らないと思うけど、小売の在庫管理、売上管理の仕組みはすごい。
商品が細々しまくってるからここの動きを以下に簡単に把握し、アクションしていくかというのは
事業の成否を決めるといっても過言ではないわけで。

プロパー消化率の向上、滞留在庫の削減では、品番別動向分析である投入商品の販売推移を追跡していく業務が不可欠です。投入から販売までの情報把握を品番単位で押さえ、在庫日数、初回投入日から累計消化率、期間販売点数の動向、期間消化率の増減推移から販売立ち上がり動向、売れ筋、滞留状況を把握します。消化率アップのためマークダウンや移動判断、さらにマークダウン後の値下げによる利益インパクトのシミュレーションなどを行います。
P.149

商品画像があった方がいいよね、とか使い勝手を考えれば考えるほど奥が深いシステム。
でも、肝だよね。

とりあえず、業界の仕事を理解させるには良い本だったので、周囲にもおすすめしとこう。

業界全体のダメな所とそんな中生まれて来た成功例の対比。業界外の人が読んでも面白い! 杉原淳一・染原睦美/誰がアパレルを殺すのか

日経ビジネスのアパレル業界特集が1冊の本になった。
レガシーなアパレル企業の不振と、その中でも成長する新興組への取材を通じて、
アパレル業界の現状を浮き彫りにする本。

誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか

日経ビジネスの特集には、一部本書に収録されていない記事もあるようなので、
興味があるならサイトも見た方が良いかも。

business.nikkeibp.co.jp

そもそも需給のバランスが崩れてる

1991年に15.3兆円あった市場が、2013年には10.5兆円に縮小している。
そんな右肩下がりの市場なのだが、モノの供給は増えている。

一方、供給されるアパレルの数量は1991年時点で約20億点だったが、2014年には約39億点に増えている。つまり市場規模が3分の2に落ちているのに、市場に出回る商品の数は倍増している、ということだ。
P.18

この現象、実に面白い。
出版業界も、市場はピーク時の6割だけど、新刊の刊行点数は増え続けている。
なんかシュリンクする市場の断末魔というか、似通った印象を受けた。

それとアパレル市場で特徴的なのは単価の崩壊だろう。

1991年を100とした場合の購入単価指数は、2014年には60程度まで落ち込んでいる。
P.22

色々あるけどこのエピソードは象徴的

2016年、ある大手アパレル企業の取締役会でこんな一幕があった。一人の社外取締役が会議の場に持ち込んだ3点の服は、同社傘下の別ブランドの商品だったが、違いはブランド名が書かれたタグだけ。ほかの取締役たちは、指摘されても苦笑いを浮かべるしかなかった。
P.40

結局OEM依存しきってるからブランドとは名ばかりだし、何もモノづくりしていない。
その異常事態に業界全体が慣れてしまってる。

販売員を使い捨てる

販売員は不可欠な存在なのに、抱えたくなかった。
内部に抱え込まず必要に応じて派遣してくれればいいよ、という感覚。
その気持ちもわからんではないが、販売員のしてる仕事は、
例えば付加価値のない事務処理とはちょっと違うはず。

見誤ってはいけないのは、アパレル業界は不振に陥ったから、現場がブラックになったのではない。何十年にも渡って、現場の販売員を使い捨てにする風潮を放置し、彼らの存在を軽視してきたために販売力が削がれ、業界不振の原因になったのだ。
P.67

委託販売という発明

オンワード創業者の樫山も1951年までに紳士既製服の量産体制を整え、賛美歌に由来する「オンワード」(前へ、という意味)の商標を登録した。この頃、樫山は百貨店を主な販路と見込み、当時としては画期的な「委託販売」を思い付く。一旦商品を百貨店に買ってもらうが、売れ残った商品をオンワード側が引き取る仕組みで、彼が発展して現在の「消化仕入れ」につながっていく。
P.96

今、課題の多い制度も、できた当時は画期的な発明だったと思う。
委託販売というシステムもこれをこれを当時実現した樫山さんは天才だと思うし、
そりゃあ大きくなるはずだわ、と思う。
でも問題はその後70年近く経っているのに同様のイノベーションが起きていないことなんだろうな。
業界全体が制度疲労にどっぷり浸かり続けてる。

トウキョウベースのこと

業界全体が不振に喘ぐ中、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長中なのがトウキョウベース。
経営者は潰れてしまった元百貨店の創業家一族らしい。
この人達の考え方は、アパレル業界臭がしない。
すごくフラットにビジネスやってる感じ。それで成果出てるのは素晴らしいよね。

販売員は、お客さんの「服を買う理由」の一つになれないと意味がない。そうでなければネット通販に簡単に取って代わられる。ただ、これまでのアパレル業界で販売員の給料が低かったのは仕方がない面もある。例えば生命保険の場合、お客さんが向こうから来てくれるわけではなく、営業が自分で需要を切り拓かないと売り上げが確保できない。一方、アパレル業界はお客さんが来てくれるので、どうしても待ちの姿勢になる。だからこそ社内では『販売じゃなくて、営業をしろ』といつも言っている。我々の取り扱うアパレルは嗜好品で、そもそも顧客ニーズはない。そこをどう切り拓いていくかを考えるのが『営業』だし、それが店頭で接客する販売員の仕事だ。
P.200

このそもそも顧客ニーズはないって言い切る姿勢が凄い。
でもただ置いてるだけじゃ買ってってくれる訳ない。
ニーズがないという前提から始めることで様々な知恵が生まれてくるっていう側面もあるんだろうな。

誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか

お金がなくても、知恵で解決。IT時代のPDCA高速サイクル。 梅木雄平/グロースハック

お金がなくても、知恵で解決。
そんな成長のための成功事例集。

確かにちょっとした塩梅でうまく回り始めることってある。
まぁ結果だけ聞いてしまえばなるほどねって話なんだけど、
そこに至るまでの地道なPDCAがあるのよね。

それを高速で回していける体制作り自体が肝なんだろうな。

例えば、購入ボタンの表現1つでも違う

メルカリの事例として紹介されているけど、
購入と表記したボタンを置くのと、購入手続きへと言う表記とでは、
コンバージョンが全然違う。

購入って言葉だとそのまま購入確定してしまいそうと言う不安が心理的なハードルになるらしい。
こう言うちょっとしたことが及ぼす影響は驚くほどでかい。
で、こう言うの正直、システム系の人たちって苦手なイメージ。
他にも検索結果の保存機能を実装することで、検索も1.5倍ほど増えたとか。

そう言う成功事例が具体的に紹介されているのでわかりやすい。

あとはアプリダウンロードを口コミで広げる為に、
FBの友達リストデータを使って、友達に一斉送信する仕掛けとか、
会員にならないと価格が見えないセールサイトとか、
続きが読みたいときにはシェアさせるマンガボックスとか。

GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー

GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー

本書内で紹介されていたGILTの本も面白そうだったので、こちらも読んでみようかな。
でも昔買ったことがあるような気がしないでもない。。

ま、いっか。

全ての悩める中間管理職へ 部下へのフィードバックのいろはを教えてくれる良書。 中原淳/フィードバック入門

部下への指導をどうすりゃいいのか、これは管理職の永遠の悩み。

しかも、部下が期待に沿った行動を取らないとき、
その部下にとって耳の痛いこともしっかり伝えなくちゃいけない。
わかっちゃいるけど、これって相当タフな仕事。

本書はそんな部下へのフィードバックのあり方をまとめた入門書。
理論的にどうあるべきなのか、を知っておくことは指針になるし、
とてもわかりやすいので全マネジャー必携の書かもしれない。

昔とはそもそも環境が違う

長期雇用、年功序列、タイトな職場関係、この3条件はいわゆる高度経済成長時代とは異なっている点。
昔はうまくいった、というのはこの条件に浅られているパターンが多く、
これが崩れた現代の中間管理職が難しさ、やりづらさを感じるのは至極当然!
悩んでいるのはあなただけではない、ってこと。
そして、昔のやり方では通用しない、というのも事実。


管理職はいつだってグレー

マネジャーの仕事とは「白黒つかないもの」なのです。マネジャーはいつだって「グレー」を生きています。
P.38

白黒はっきりつくような問題はそもそも現場で解決できるわけで、
管理職の仕事はそうではない問題の調整。
ある意味どちらの言い分にも正しさがあることをどう仕切るかの問題。
経営者の意思決定もそう。
正しい意見の中から進む道を決めるのが意思決定。

中間管理職の仕事の難しさは、一言で言えば、「他者を通じて物事を成し遂げなければならない(Getting things done through others)」ということです。
P.45

優秀な現場がマネジャーになるとついつい自分が手を動かしてしまうって問題が起こりがち。
そもそも自分がやってしまったらそれは現場としての働き方で、
マネジャーとしての役割を果たしたことにはならない。

人を動かして、成すべきことをする。
だからめっちゃもどかしい。。
でもこれは本当に重要なことだから、職場全体で理解しなきゃいけない。


フィードバックのために必要なSBI情報

シチュエーション、ビヘイビア、インパクトの頭文字でSBI。
どのような状況で、どのような振る舞いが、どんな影響を与えたか。
この3点を客観的事実としてしっかりと伝えることからフィードバックは始まる。

このSBI情報を収集するのに有効なのが、1 on1の面談を定期的に行うこと。
隔週に1回程度が望ましいらしい。
これ、大変だけど、結果的にもっとも効率が良いかもしれない。

1on1はYahooの取り組みが有名で、最近本も出ている。
合わせて読むべきかも。

ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法

ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法


振り返りのポイント

部下自身に過去、現在の状況を言葉にさせることが重要。
その上で、何が起きたのか、なぜ起きたのか、これからどうするのか、の3点を認識させる。
部下自ら、考え、言葉にさせないとダメ。
自分自身で気づけるように問いかけをするのが上司の仕事。

フィードバックで最も多いケースは、「顧客が悪い」「メンバーが悪い」などと環境や周囲のせいにすることです。それに対して、「環境や周囲のせいもあるかもしれないけど、あなた個人の行動にも問題があったのでは?」「このような悪い環境の中で結果を出すには、個人としてどう振る舞うのがいいんだろうね?」といった落とし所を考えておけば、堂々巡りになる確率を減らせるでしょう。
P.144

フィードバックの直後に無駄に褒めてはダメ!

フィードバックは、鏡のように、淡々と事実を述べるのが正解です。フィードバックを聞き入れて、問題行動が改善されたというならば、大いに褒めていいと思いますが、フィードバックの直後は無駄に褒めないことを心がけてください。
P.146

これってつい陥りがちな話。
きついこと言ったバランスを取ろうとつい褒めてしまう。
でもそうするとフィードバックの論点がぼやける。
だからダメなんだそうな。

そしてフィードバックはマネジャーにとってもストレスフルな仕事なわけだけど、
必ずしも皆がフィードバックに基づいた改善をできるわけでもないってのは意識しといた方がよさそう。
変われない人はいる。
だから、フィードバックの結果、改善したのかどうか、それは期限を切って見守るのが良いとのこと。
3〜5回、言っても何も変わらないのであれば難しい。
その際は配置転換も含めて検討しなくてはいけない。
フィードバックは常に配置転換とともに検討されるべきで、
最終的には異動させることも選択肢に入れておかないとマネジャーが潰れる。

あまりメディアに出てこないけど、偉大な経営者だと思う人=CCC、TSUTAYAの増田宗昭との対談集。 川島蓉子/TSUTAYAの謎

TSUTAYAを運営するCCCの社長、増田さんへのインタビュー。

増田さんてメディアへの露出度がそんなに高くないし、
こういう本が出るのは珍しい気がする。

TSUTAYAは今や紀伊国屋書店を抜いて売上高もNo.1の書店になっている。
フランチャイズの強みっちゃ強みだけど、書店という業態においては後発でありながら、
首位を取る一大グループにまで成長させるのは驚異的。

そんなTSUTAYAの増田さんのこと、
この本で読んで初めて知ったことが結構多かったので楽しかった。

ちゃんと蔦屋家電で狙ったこととか、
今っぽいビジネスの話もしているのだけど、
それはまぁ、読めばよかよ。

TSUTAYAの謎

TSUTAYAの謎

最初は鈴屋に就職

ファッションが好きだったし、大学に通いながら上田安子服飾学院というところに通って、服も作っていたしね。なぜ鈴屋に入ったかというと、ライフスタイルプロデューサーの浜野安宏さんの『ファッション化社会』という本に出会ったから。浜野さんはこの本の中で「すべての産業はファッション産業になる」って言っていたんだ。だから僕は、ファッション産業で、まずは働いてみようと思った。
P.87

こういうのも読むまで知らんかった。
そして軽井沢ベルコモンズ青山ベルコモンズの立ち上げに関わったらしい。
そして、浜野安宏って人、初めて知った。

増田さんが読んだというこの本以外にも、かなり出してるな。
結局この人にQFRONTの仕事とかも頼んでるっぽい。
本書に出てくる増田さんに会社の成長と個人の成長を混同するなとアドバイスした浜野さんて、
この浜野さんなんだね、とやっとわかった。

生活地へ―幸せのまちづくり

生活地へ―幸せのまちづくり

想いの実現

想いの実現

新 質素革命

新 質素革命

データ分析

5300万人の会員を誇るTカードのデータ分析、
購買データから約300項目の変数で分解するらしい。
分析した結果を波形で表すそうな。(P.154)
これがペルソナみたいなもんなんだろうね。
だとするといわゆる似た波形=オーディエンス拡張みたいなことにも繋がってくるわけだ。

まぁ、ここが持ってる趣味嗜好のデータに敵うところはないんじゃないかな。

ワープの話など増田さん個人の話

実家が置屋経営してた、とかも知らんかった。

増田さんは相手の目線にワープできるって話をしているんだけど、(P.200)
その人の気持ちとか言おうとしていることがわかるっていう話。

これって特殊能力なの?って本人も自覚ない中、川島さんは特殊能力として話しているのだけど、
相手がどう言って欲しいかとか、どういう気持ちでいるか、とかは
結構自分もわかる気がする。。
だからこのワープの感覚、わかるんだよなぁ。

いわゆる文系脳の最たる能力なのかもしれないよね。
作者の気持ちを考えなさい的な国語教育はクソだけど、
本読みは色んな人の思考をトレースするから、
結果的に他人の思考とかが推測できるってのはあるかもしれないなぁ。

TSUTAYAの謎

TSUTAYAの謎